ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
A HAPPY NEW YEAR
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MONTHLY COLUMN 2011年のテーマは「安全とシーマンシップ」
キャビンの棚 ヘミングウェイファンに捧げられた夢物語「ヘミングウエイごっこ」
船厨 身体を優しい風が吹き抜ける「セントマーチン・リパブリック・ラム」
海の博物誌 観天望気~朝虹は雨、夕虹は晴れ
YAMAHA NEWS 「マリン事業50年の歩み」更新/「大漁ネット」更新
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MONTHLY COLUMN
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 12月のある日、シースタイルを利用して海に出たものの、風が強く白波も立っていたため早々と引き上げる、という経験をした。「たまの日曜日、遠くからマリーナまでやってきて、しかも楽しみにしていたゲストがいたので」との理由で無理をして事故を起こすという話はよく聞く。この日は私も栃木から友人を招き、彼もとても楽しみにしていてくれたようだったので、心を痛め、そんな事故の原因を引き起こす「気持ちの揺れ」を少しばかり味わったのは事実である。ドライビングをしている身としては、しんどいが出せないこともない海象ではあったけど、どちらにしろ釣りのできる状況ではなかったし、波に叩かれ船が上下に激しく揺れる状況にゲストが少しでも不安や恐怖感を抱いているときは出さない方がいい。トラブルというものは得てしてそういうときに起こるのだ。
 ヤマハ発動機では、昨年も一年間に起きたマリン関連、海事関連のニュースについてマスコミやマリン関連団体、業界、一般ユーザーなどを対象にアンケート調査を行い、「マリン10大ニュース」を発表した。
 2010年の1位のニュースは「尖閣諸島での中国漁船衝突事件」だ。2位は「浜名湖のボート転覆事故」、3位は「ウォーターセーフティーニッポン設立」となった。
 「尖閣諸島」の事件を国家の安全保障問題との解釈をすれば、いずれもニュースの上位3位は「安全」がキーワードとなる。そこで小欄としては年明けた2011年のマリンライフのテーマを「安全」としたいと考えた。
 浜名湖の三ヶ日青年の家で起きた事故は、あってはならない悲惨な事故だった。法的な原因究明や責任の所在についてはさまざまな意見や視点があるだろうが、先日、あるマリン専門誌の編集長と、この事故について話したとき「船長責任」という言葉が取りざたされた。結局、ボートが転覆するような状況のときにボートを出してはいけないというのが彼の見解だ。プレジャーボートによる海難の多くは、整備不良に次いで、初期の状況判断の誤りに起因することが多い。
 そしてこのニュースを受け止めるかのようにして10大ニュースの3位には「ウォーターセーフティーニッポン設立」のニュースがランクインした。
 ウォーターセーフティーニッポンはB&G財団や日本財団をはじめ、ウォータースポーツやマリンレジャーに関連する7団体によって3月に設立された。目的は「水の事故ゼロ運動」の推進で、ニュージーランドで古くから取り組んでいる「ウォーターセーフティーニュージーランド」の活動をモデルにしており、小欄でも取り上げたことがある。
 同事務局に聞いたところによると、最近では三ヶ日のような事故が起きるたび、水辺から子どもたちを遠ざけようとする保護者が目立ってくるのだという。「ヨット教室やカヌー教室など水辺で行う催しは危険なので子どもには参加させない」というわけだ。こういうケースで子どもたちから自然体験の場が奪われていくのは非常に好ましくない状況だと事務局氏は危惧している。
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 「いまの子どもたちは自然体験の場が非常に少ない。たとえば国立オリンピック記念青少年総合センターの平成17年度の子ども調査では、海や川で泳いだことのほとんどない子どもが平成10年の調査では9.8%だったのが、平成17年では26%に増えています。自分たちの身の回りには海や川といった素晴らしい自然があるにもかかわらず、子どもたちがそれを知らずに大人になってしまう」
 ウォーターセーフティーニッポンの活動意義は、「水辺の安全」について理解を深め、水辺での自然体験の機会を増大させることにある。同じく国立オリンピック記念青少年総合センターの調査によると、自然体験の機会が多い子どもほど道徳観や正義感が育まれる割合が高い。その意味からも大切な活動だと思える。出港する、しないの判断を含めたシーマンシップも、体験値が高ければ自然と判断できるようになる。
 2011年は「安全」をテーマに、といったが、それは“引きこもる”という意味とは、もちろん異なる。子どもも含め、海や湖、川など自然体験の場を多く持ち、経験を重ねることでシーマンシップを高めていただきたいと願う。


※写真は全てイメージで本文の内容とは関係ありません。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「ヘミングウエイごっこ」
著者/ジョー・ホールドマン
訳者/大森望
発行/早川書房
定価/700円(税別)
 主人公のジョン・ベアドはヘミングウェイを専門とする大学の英文学者である。ある日、バーである男からヘミングウェイの原稿の贋作づくりの仕事を持ち込まれる。一攫千金を夢見て、引き受けるベアドだが、仕事を進めるうちに彼の前に本物のヘミングウェイが現れる。
 ジョー・ホールドマンはSF作家として知られる。本書もSFには違いないのだが、かなりの異色。ただしホールドマンはちょっとしたヘミングウェイの研究者としても知られており、読み進めていくと、とうより一頁目から本書が小説ではあるものの、かなり興味深い「ヘミングウェイ蘊蓄本」としても成り立っていることに気づくだろう。
 開いたとたん、ヘミングウェイにまつわるバーについて興味を引かれ、1922年の原稿消失事件について触れられる。しかもこの小説にはヘミングウェイ自身が登場して、小説の中とはいえしゃべるのですから。その意味でも小説だけでないヘミングウェイという人物そのもののファンにとっては、たまらない一冊になるはずだ。
 軽妙な会話、情景描写一つ一つとっても読みやすく、楽しい。これは訳者の力量の成せるところか。



船厨
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 17世紀の初め、西インド諸島のバルバドス島にイギリス人がやってきてサトウキビの製糖工程に生じる廃蜜を利用して蒸留酒を作った。これがラム酒の始まりである。安くて強烈な酒はカリブ海を舞台に暴れていた海賊や、東洋航路の船乗り達に愛飲され、普及した。以降、ラム酒は「船乗りの酒」としてすっかり定着したわけだが、水兵の士気を鼓舞するため英国海軍の常備酒とされていた時代もある。最初はあまりにも酔っ払いが増えたため、水で割ったラム酒が支給されるようになったが、それを考案した海軍提督が着ていたコートのブランド名からその水割りはグロッグと呼ばれ、日本でも使われるグロッキー(ふらふらする)という言葉はこれに起因する。
 もう半年も前になるが、マリンファンが集まるあるパーティにひとりの青年がラムのボトルを一本差し入れてくれた。そのラムがこの「セントーマーチン・リパブリック・ラム」で、当の青年が輸入・販売しているものだった。ふたを開けて回し飲みをしたわけだが、グラスに注いだとたんに匂い立つ美しい香しさが印象的だ。
 青年によればセント・マーチンは山手線ほどの広さしか無い島なのだという。それなのに、島はオランダ領とフランス領に二分されていて、使用している言語も通貨も違う。と聞くとお互い仲が悪いのかと勘ぐりたくもなるが、島民は仲良く、島はいたって素朴らしい。そんな島で造られた酒だからだろうか、それともそんな話を聞いたからだろうか、その酒は香りも味も優しい。そして一口含めば、そんな優しい風が体内を吹き抜けるかのような酔いに包まれる。まだまだ日本では馴染みのない銘柄だけれどおすすめなのだ。
 もちろん飲み過ぎれば、「グロッキー」になるに違いないのだけれど。
「セントマーチン・リパブリック・ラム」
カリブ海に浮かぶセントマーチン島のグアバベリーカンパニー・プロデュースのブラックラム。飲める店、入手できる店はまだまだ少ない。都内のNISSIN(東麻布)、信濃屋(銀座・新宿・代田)、リカーズハセガワ(八重洲地下街)、武蔵屋(業務用(世田谷))、亀屋矢崎(吉祥寺)、リカーヴィラアイザワ(八王子)などで取り扱い。



海の博物誌
 日本や中国では古くから「朝の虹は雨の前兆、夕方虹が出ると翌日は晴れる」と言われてきた。ヨーロッパに「A rainbow in the morning is the shephers’s warning, a rainbow at night is the shepherd’s delight. ~朝の虹は羊飼の用心、夕虹は羊飼の喜び」ということわざがある。これを現在の知識で採点すると、まあ50点というところ。
 虹は、太陽を背にしたとき、前方に浮いている水滴に光が当たり、水滴がプリズムの役目を果たして光が七色に分かれるもの。したがって朝の虹は西の空に見える。つまり西の空に水滴があるということになる。日本の天気は西から東へと変わって行くので、西の空に水滴があるならば、雲があるということだから、やがて雨になるのではないか・・・とも考えられるが、実は、見えている虹は、せいぜい数キロメートルしか離れていないのである。数百キロも先の虹が見えるなどということはありえない。だから、朝の虹は雨の前兆というよりも「雨の降り始め」と言うほうが近い。
 一方、夕虹のほうは、水蒸気が東のほうにあるということで“日本の天気は西から東へ”の原則によれば、雲がさらに遠ざかっていく、すなわち天気は良くなるといえる。



ヤマハニュース

「マリン事業50年の歩み」年表を公開
ボート、ヨット、ジェット、船外機などヤマハマリン事業の歴史を紹介します。
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/history/

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」~今月は設計室便り
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/pro-fish/tairyo/


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【編集航記】
 あけましておめでとうございます。寒さも厳しくなりますが、それでも海の好きな皆さまのこと、新年を迎え、早くもボートやヨットなどマリンライフのプランを練っている方も多いのでは?さて、今年はソルティライフがいよいよ発行100号を迎えます。記念号なども企画中ですので、ご期待ください。今年もよろしくお願いいたします。
(編集部・ま)

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