ソルティライフ ソルティライフ
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いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
イラスト・Tadami

謹んで地震災害のお見舞い申し上げます。

この度、東日本大震災により被災された皆さまにお見舞い申し上げるとともに、
被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。


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MONTHLY COLUMN 大西洋の島で触れた、大らかな水との戯れ
キャビンの棚 自己欺瞞と対峙しなくては釣りはできない「パブロフの鱒」
船厨 イワシが豊漁だとか。「イワシのバジルソースがけ」
海の博物誌 すべての保険のルーツは海上保険
YAMAHA NEWS マリンクラブイベント「マリーナ参観日」に参加しよう!/行ってみたい海遊びランキング!
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MONTHLY COLUMN
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 ポルトガルの首都・リスボンからおよそ1800マイル沖合に浮かぶマデイラ島は、大西洋をクルージングする多くのセーラーがおとずれる魅力的な島のひとつ。
 マデイラとは「木」を意味する言葉だが、どちらかといえば殺伐とした山々のイメージからはその名前は不釣り合いに思える。というのも、ポルトガル人が発見した当時は森林で覆われていたらしく、そのように命名されたが、後の入植者たちが島を覆っていた木々を7年間かけて焼き尽くしたのだという。「マデイラワイン」は、そのときに残った灰が葡萄畑に最適な土壌に変えたことから生まれた世界三大酒精強化ワインのひとつだ。
 イベリア半島をスペインと東西に二分するポルトガルは、15世紀のはじめ、インド航路とアフリカ西岸の開拓を国家事業として次々と艦隊を派遣していった。その指揮を執ったのが「航海王子」と称されたエンリケ(英語の表記ではヘンリー)である。
 エンリケ航海王子の探検事業の開始はその後二世紀にわたる大航海時代の幕開けといえる。彼はポルトガル南部のサグレスに航海研究所や天文台を建てたと言われている(この説には疑問もあるらしいが)。航路、島々の発見、航海者の育成、航海技術、帆船の進化など、エンリケがポルトガルに残した業績ははかりしれず、後にマゼランやヴァスコ・ダ・ガマをはじめとする航海者たちが大きな成果を残すことができたのもエンリケが先鞭をつけたからこそだろう。
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 こうした大航海時代の初期にポルトガルは、エンリケ航海王子が抱えていた航海者の一人、ジョアン・ゴンサルヴェス・ザルコによって大西洋に浮かぶマデイラ島を発見し、またアソーレス諸島をも発見し、領土としていった。
 ホテルの立ち並ぶ中心地からボートを出せば、あちこちの港でこの島特有の時間の流れを発見することができる。「カマラ・デ・ロボス」という小さな、しかし雰囲気のある港に立ち寄った。町中の小さなバーで冷たい飲み物を飲み干したあと、坂を歩き丘に上った。大戦時の英国の宰相・チャーチルが絵を描くのに好んだというテラスから、深い青色の水を湛えた湾を見下ろすとそこが自然を生かした素晴らしい港だということがすぐにわかる。おもちゃのような色とりどりの小舟が、湾のあちこちのポンツーンに舫われていた。
 こどもたちが、そのうちのひとつのボートを基地にして海水浴を楽しんでいる。誰のボートだろうか。父親の、それとも赤の他人の? こどもたちは誰に気兼ねすることなく、海を自在に遊んでいる。最近の日本では、特に東京の周辺では決してお目にかかることのできない大らかさが海辺を支配していることに羨望した。
 押しも押されもせぬ海洋国家として大航海時代を走り抜けたポルトガルは、イベリア半島を拠点に世界に領土を広げたが、今、残った領土はアソーレス諸島とマデイラ諸島だけだ。しかし、エンリケ航海王子はポルトガルの子孫に素晴らしい宝の島を遺したのだと、小さな風景の中に身を置きながら、想った。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「パブロフの鱒」
著者/ポール・クイネット
訳/森田義信 訳
発行/角川書店 刊
定価/1800円
 『パブロフの鱒』の著書、ポール・クイネットは世界をリードする臨床心理学者として知られている。釣りに関する著作は『パブロフの鱒』が処女作にあたる。
 「どうして私は釣りをするのか。どうして他の人たちは釣りをするのか。私にはまだ理解できない。しかし、私たちが釣りを愛し、釣りをすることで考えたり感じたりするということだけはわかっている」 ─ロバート・ヘイグ・ブラウン
 「パブロフの鱒」の章の挿入文に代表されるように本著の特徴は、フィッシングテクニックに関連する記事がまったく無いことだ。技術論が大部を占めるフィッシングエッセイが多い中でポール・クイネットはあえてこれには触れず、より大きな視点で「なぜ我々は釣りを楽しむのだろう」というテーマのもとに、人間の心理や歴史を紐解きながら、その答えを導き出そうとしている。
 「理論的アングラー」の章では、「釣りは自らの誠実さを図る最高の道具だ。ルールを破るのは簡単なことだし、誘惑も強い。証人はほとんどいないし、言い訳の方法なら無数にある。人間の深さを測るのにこれ以上の状況があるのだろうか」と問いかけ、罪の意識と恥の感覚、そしてそこに生まれる倫理的なジレンマなどという、釣りの本ではあまり見られない心理的な問題についても考察している。
 釣り人達は、たとえそこに魚がいる可能性が少なくても、自分だけは違うと思いロッドを握る。フィッシュオンの夢を現実にと、あらゆる可能性に賭け、ロッドを置く瞬間まであきらめることなく、充実の時を過ごすことができる。そしてもし、釣りに行けずにストレスが溜まるようだったら、本書をお勧めする。釣りを取り巻く環境と釣人への優しい愛情がユーモア溢れる筆致で描かれているこの作品は、アングラーをひとつ上の段階へと導いてくれる、良き処方箋となることだろう。



船厨
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 今年はカツオが獲れないらしい。新聞によると、和歌山県でその道50年の老漁師が「こんなに獲れないのは初めてのこと」といっているから本当に不漁なのだろう。和歌山だけでなく高知や千葉でも不漁らしい。
 魚種交代という学説がある。数年、十数年おきに海の魚の勢力図が変わっていくという現象をさす。昨年の秋はサンマが不漁だったがイワシは豊漁だった。ある魚を専門に獲る沿岸漁業従事者にとっては困った話だが、消費者にとっては、何らかのうまい魚が豊漁だと聞くと、やはり嬉しい。
 イワシは世界中で獲れ、食される代表的な青魚のひとつ。日本ではマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシが獲れる。中でもマイワシは刺身として、また寿司ネタとしても人気だ。ヨーロッパの港町ではグリルやソテーで料理され、レストランの人気メニューになっているところもある。ポルトガルなどでは日本と同じように炭火で焼かれてレストランの軒下で香ばしい香りを放っているシーンがよく見かけられる。
 今回、写真でご紹介したのは、アドリア海に面したスロベニアのピランという、小さな港町のレストランで供された鰯のソテーのバジルソースがけ。バリバリの醤油顔、日本代表のようなこの魚も白ワインとともに頬張れば、ヨーロッパの香りを素敵に放つ。
イワシのバジルソースがけ
●材料:マイワシ、バジルソース(市販のもの、または適宜のオリーブオイル、塩、胡椒、ガーリック、バジルで好みの味に仕上げたソース)、レモン
●作り方:
1)イワシは指で内臓を取り除き、サラダオイル、またはオリーブオイルにつぶしたニンニクで香りがついたらソテーする。
※小麦粉を軽くまぶし、ムニエルにしてもよい。
2)皿に盛りつけバジルソースをかけ、好みで厚めに切ったレモンを添える。



海の博物誌
 自動車を運転するときは、法律で自動車賠償責任保険、通称「自賠責」に加入することを義務づけられているが、船の場合はこのように法律で強制される保険はない。しかし、外国へ行くような本船は必ず保険に入っている。陸上輸送に比べると積み荷の価格が格段に大きいから、保険なしで航行するのは多大なリスクが伴うからだ。
 今ではごく当たり前のことになっている保険のルーツは、14世紀の中ごろ、イタリアのジェノア、ピサ、フィレンツェ、ベネチアなどに起源をもつ。地中海を縦横に行き来する貿易で栄えていたこれらの都市では、暴風雨や海賊のためにこうむる損害で破産したりするのを防ぐために、自然発生的に生まれたものである。その後、次第に形を整えて海上保険が確立し、続いてその他の損害保険や生命保険が誕生していったのである。



ヤマハニュース

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【編集航記】
 締め切りが間近の編集部では間もなくゴールデンウィークというタイミング。いつも海で遊ぶことで頭がいっぱいの編集部は、仕事もそっちのけでカレンダーとシースタイルのホームページの「空き状況」とを見比べながら、あれやこれやと楽しい妄想をかき立てているところです。読者の皆さんはこの休み、海にどんな航跡を刻んだのでしょうか。
(編集部・ま)

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