ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
今月のタイトル画:松井さん(神奈川県横浜市)の憧れのマリンライフ
「テレビの“わんぱくフリッパー”にあったように、小さなボートに乗ってのんびりと釣る気のない針を垂らしていると仲良しのイルカが船の周りで”遊んでよ”とばかりに走りまわっている?そんなことができたら海もいいなあ」

A HAPPY NEW YEAR 2012
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MONTHLY COLUMN 紳士が楽しむ野蛮な遊び。
キャビンの棚 お節を眺めて疑問が湧いたら「さかな博学ユーモア辞典」
船厨 偉大なカタクチイワシに感謝しつつ「オイルフォンデュ バーニャカウダ風」
海の博物誌 大航海時代以来の宝さがし
Salty One Day Boating カメラファンにもおすすめ。寒さを忘れさせる富士の絶景
YAMAHA NEWS

広がる世界~RESONATING WORLDS~/被災地向け復興和船について/「出動!マリンクラブ釣査隊」福岡県・糸島半島のチヌ・ヤズ

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MONTHLY COLUMN
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 年末になると、その年のマリン関連ニュースを一覧にしてまとめ、10大ニュースのアンケート調査を行うのが恒例になっている。そういうわけで、今年も様々なニュースを集め、眺め、ひとつひとつを検証しながら年末の一時期を過ごした。
 2011年のニュースのトップはもちろん「東北地方太平洋沖地震」が引き起こした震災と復興関連のニュースだ。もちろん異論があるわけがなく、それらのニュースからは、恐怖、悲嘆、絶望、悔恨、さらには勇気、希望、気力…、人間が抱けることのできそうなあらゆる感情を見て、そして感じた。
 そんな大ニュースとともに、自分の趣味である「釣り」についてあれこれと考える機会を与えてくれたニュースがあった。釣り名人・服部善郎さんの他界である。
 昨年、服部さんには2回、お会いした。1度目は1月、服部さんのIGFA(国際ゲームフィッシュ協会)殿堂入りを祝う記念パーティで、2度目は3月のボートショーの際にマリンジャーナリストが主催したパーティで。次に服部さんの姿を見たのは残念ながら、8月、葬儀の祭壇に飾られた遺影だった。
 服部さんがIGFAの殿堂入りを果たされたのは一昨年のことだ。IGFAの殿堂入りは、IGFAが唱えるスポーツフィッシング精神の普及に顕著な功績を残した現役アングラー、及び故人に与えられるもの。過去には、釣り人のバイブル「釣魚大全」を著したアイザック・ウォルトン卿、IGFAにおける現代スポーツフィッシング精神の礎を築いたともされる作家、アーネスト・ヘミングウェイなどが殿堂入りしており、日本人としては、初代JGFA(日本ゲームフィッシュ協会)の会長、故・大西英徳氏以来、二人目の快挙だった。

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 1929年神奈川県横浜市生まれ。9歳の時、はじめて横浜港で投げ釣りを体験して始まった釣り人生だった。大学を卒業後、読売映画社に入社すると1962年、釣りの腕前を武器に日本で初めての釣り番組「日本の釣り」をディレクター兼主演で立ち上げた。僕がまだ生まれる前のことだ。
 パーティーの時、服部さんは「大きな水槽に魚を入れて、魚が釣りエサに食いつく瞬間を撮影して流したりしていたんだ。でも、そんな映像に興味がある人は、当時まだほとんどいなかったよ」と笑い飛ばしていた。
 その後、伝説のテレビ番組「11PM」に関わることに。再び釣りの腕を買われて、番組内に「イレブン・フィッシング」のコーナーを立ち上げることとなった。お色気を交えた情報バラエティ番組の中に登場する釣りコーナーは、瞬く間に人気を呼んだ。服部さんはいつしか「名人」と呼ばれるようになった。
 服部さんが「ウデよりフネだ」というキャッチフレーズとともに1987年に発売された「タックル23」というフィッシングボートのキャラクターを務めていた関係で、僕もヤマハ発動機の仕事を通して名人と同行取材をしたことがある。初めて同行したのは和歌山県・日御碕沖の真鯛釣りのイベントだった。その日は波も高く、釣果はまったくあがらなかった。また船酔いするイベント参加者も多く、魚体の撮影を諦めた僕はフライブリッジでやはり船酔い気味でうつらうつらとしていた。ところが、服部名人は諦めていなかった。船頭が、もう帰りましょう、といった後の数秒後まで可能性を求めて釣り糸を海に垂れ続けていた。そして、見事釣ったのである。最後の最後に。
 「おーい! カメラマン! なにやってんだ!」
 服部名人を温厚な方だと思い込んでいた僕は、風の強い船上に響き渡る怒声が誰のものかわからなかった。テレビ番組のディレクターを務めていただけあって、カメラマンのていたらくに腹を立てたのかもしれない。
 「ウデよりフネだ」の宣伝文句はなかなか素敵だが、やはり釣りはウデと情熱、そして執念なのだと、そのとき僕は思った。 そしてプロのなんたるかを教えられた。
 昨年の1月、都内のホテルで行われた名人のIGFA殿堂入りを祝う会には、およそ400名の、スポーツフィッシングを愛し、名人を敬愛する人々が集まった。芸能人や著名アングラー、JGFAのメンバー、出版関係者などが集まるその華々しいパーティーで、83歳となった服部名人は、当然のマナーとして、周囲から高齢者として気を使われていた。紳士である服部名人も笑顔でその親切に応えていたが、時折「年寄り扱いしないでくれ」という反骨の気持ちを表に出していたようにも見えた。その立ち居振る舞いに83歳という年齢を感じさせないダンディズムを感じさせた。
 「釣りは紳士が楽しむ野蛮人の遊びである」。服部さんの姿や釣りをしているところを思い出すと、うっすらと感じていた僕の釣りに対する、いくぶん偏屈な定義は、あながち間違ってはいないかもしれない。
 そんなわけで僕の「2012年の目標は、「野蛮に、しかし紳士としての振る舞いを忘れずに釣りを楽しむこと」としたい。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「さかな博学ユーモア辞典」
著者:金田禎之著
発行:国書刊行会
定価:本体:2000円(税別)
 冬といえばクエやヒラメ、ハタハタ、フグにアンコウと、鍋や煮物でその味を確かめたくなる魚が浮かんでくるが、正月にしか姿を見せないとなると、ニシンの子、数の子をおいて他ならない。子孫繁栄の象徴としてお節料理の一品に上げられているが、なぜ「数の子」と言われているのだろうか。そんな疑問が湧いてきたら本書の出番である。このニシンの他、鯛、海老、鰻、などお節料理に使われる魚はもちろん、日本人と関わりの深い魚介類約80種を掲載し、その語源を中心に古い文献からの雑学や漁法等をわかりやすく解説しているのが特徴。『紫式部は鰯が大好物』だったり、『ごり押し』の由来は、カジカの捕り方から来ていたり、タイの活魚輸送はすでに江戸時代に始まっていたりと、魚だけではなく、魚食や漁労文化についても知ることができる。
 さて冒頭の「数の子」であるが、ニシンは頭が角張っているので各地で「カド」「カドイワシ」と言われたのが、いつのまにか「カズノコ」になったという説、また単純に数が多いからと言う説の二つが有力らしい。また、お節料理の「数の子」と言えば今でこそ塩数の子だが、江戸時代、祝いの一品として親しまれたのは干し数の子だったという。時代の変遷と共に魚の食べ方の変化が読み取れるのも、この本ならではの楽しみ方。ちなみに子持ちコンブは「数の子」が卵になってコンブに付着したのを捕って売り出したのがその始まりだという。そうそう、この手の本はこうした他人に知らせたくなる話が詰まっているのも魅力のひとつ。“とどのつまり”まで読めば、博学になること間違いなしだ。



船厨
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 100号でみなさまにご協力いただいたアンケートによると、意外と「船厨」が人気のあることを知った。気をよくしている小欄であるが、お気づきのように「船厨」は決してプロが作った料理が紹介されているわけでもなく、むしろ、不器用なスタッフが台所を散らかしながら一生懸命つくった料理を紹介しているのが真の姿である。で、今回は「バーニャカウダ」。
 といってもこんな洒落た料理を以前から知っていたわけではなく、先日行われた某忘年会でたまたま出会った。なかなか旨かったので後からその料理のことを調べ、見よう見まねで作ってみたのだ。
 これはいわゆるフォンデュに似ているが、後からイタリア料理であることを知った。アンチョビ、ニンニク、オリーブ・オイルを使ったソースを温めつつ、野菜や魚介など好きな食材を浸しながら食す。名前から来るイメージとは裏腹にまことに簡単なのでぜひ試して欲しい。
 それにしても、この料理の主役「アンチョビ」はなんと偉大な食材なのだろう。アンチョビとは元はカタクチイワシの仲間の総称なのだが、日本ではこれを塩漬けにして発酵させた食材を指すことがほとんどだろう。ピザ、パスタにはもちろんのこと、100号で島田さんが作ってくれたアクアパッツァのように隠し味に使ったりする。
 この食材を使えば、たいていの料理に地中海を連想させる見事な風味と味が付く。感謝。
「オイルフォンデュ バーニャカウダ風」の作り方
■材料(2人分)
ソース:エクストラバージンオリーブオイル50cc、アンチョビ6尾、ニンニク3個
食材:ブロッコリー、カボチャ、フランスパン、ボイルしたホタテ貝柱、エビなどなんでも
■作り方
1)ニンニクを半分の大きさに切り、芯を取り除く。
2)鍋に1のニンニク、アンチョビ、オリーブオイルを注ぎ、弱火でじっくりと煮つめる。
3)オリーブオイルが煮え、アンチョビがほぐれたらすりこぎ棒などを使ってニンニク、アンチョビをすり下ろすようにして煮詰める。
4)出来上がった熱いソースに好みの食材を付けていただく。
※ソースを完全に冷ます、ミキサーにかける、生クリームを付け加えるなど様々なバリエーションがあります。ぜひオリジナルのレシピをお試しください。



海の博物誌
 30年前、ジョン・F・ケネディは「海洋開発は人類に残された最後のフロンティアだ」とアピールした。宇宙開発の次は海洋開発というわけだ。彼の狙いの中にはもちろん石油やガスも含まれていたが、海水や海底の鉱物が大きなターゲットだった。
 地球が有する海水は14億立方キロ。そのうち96.75%、13億5000万立方キロは水である。残り5000万立方キロのうち92%を塩化ナトリウムその他の塩素化合物が占め、そのまた残りが金などの高い価値を持つ物質である。
 その量は…マグネシウム200兆トン、臭素100兆トン、ヨウ素750億トン、アルミニウム150億トン、銅45億トン、ウラン45億トン、トリウム10億トン、銀4億5000万トン、金600万トン。
 実は、我々は莫大な宝物の中で遊んでいるのである。



Salty One Day Boating
車を河口湖の湖畔に止めて降りると、ひんやりとした空気が身体を包んだ。いつ降ったのだろうか。時折、湖畔の一部に残雪らしきものが見える。それでも寒さはそれほど感じられない。見上げると雲ひとつ無い真っ青に澄んだ空が広がっていた。こんな空の下でボートを走らせることができるのかと思うと、まるで子どものころのように胸が高ぶる。

 東西に細長い形をした河口湖の西寄りの南岸にシースタイルのホームマリーナ「奥河口湖マリン」がある。駐車場に車を入れて、受付事務所につくと、石油ストーブを利用してテラスに設置された、こたつのようなテーブルに案内された。簡易こたつに座っていた先客は2名。お二人とも地元・河口湖漁協の方で、湖での釣りについていろいろとお話を聞くことができた。
 今日の釣りはレインボートラウトの予定だったのだけれど、「ニジマスはあんまり釣れてないなあ」と、トラウトとはいわずに男らしく日本名を使ってつれない答え。どちらかというと河口湖ではブラックバスが人気だから、漁協も積極的に放流するのはブラックバスということらしい。それでもホームページによれば、訪れる一週間前にはニジマスが放流されていたので、淡い期待を抱きつつ、レンタルの手続きをした。
 河口湖はいわずとしれた富士五湖のひとつである。富士五湖の名が示すとおり、富士山とは切っても切れない関係にある。そもそもこの一帯は海であったのだけれど、火山活動によっていくつかの湖ができあがった。その後は新しい湖ができあがっては新たな噴火によって消滅したり。何万年もの間そんなことの繰り返しで、歴史を遡るにはちょっとした根気を有する。河口湖もそのひとつなのだが、現在の河口湖ができあがったのは5千年から2千年も前のこととなる。


 河口湖の広さは山中湖に次いで二番目だが、湖岸線は富士五湖一の長さを持っている。だから、湖をボートで一周してみると、あっという間だけれども、地形も変化に富みなかなか楽しいのだ。
 ポンツーンから舫を解いたばかりの時にはわからないが、奥河口湖マリンから東へ、富士五湖に浮かぶ唯一の島・鵜の島を目指すと、次第に富士山が、その勇壮な姿を表し始める。フネの上から富士山を眺めたことは何度もあるけれど、富士五湖から眺める富士山は格別だ。少し逆光気味に雪にあたる光が、山肌の陰影をことさら強調している。風がなければ有名な逆さ富士も拝めてしまう。
 ボートを走らせながら後ろを振り返ると、美しいウェイキがこれもまた独特な光を放っていた。海ではなかなか見ることのできない滑らかな波と光。波の立たない淡水湖ならではの美しい光景かもしれない。
 広い湖でないのにもかかわらず、撮影の被写体は次から次へと表れる …、さっぱり釣れなかったことの言い訳を考えながら楽しく写真を撮ってきた。確かに湖上でボートを走らせると寒かったけれど、スピードを出さなければそれほどでもないし、寒さを補う感動がこの日のボーティングにあった。
 昼過ぎに帰港した。さて、熱々のほうとうでも食べて、温泉で冷えた身体を温めにいくとしよう。


取材協力
ベルソン・奥河口湖マリン
●〒401-0331 山梨県南都留郡富士河口湖町長浜1911
●TEL: 042-665-2424
●ホームページ:https://marine.yamaha-motor.jp/sea-style/Common/Marina_Common.asp?marina_cd=0-84


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小さな湾にボートを浮かべしばし富士を眺める
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寒い。寒いけれどそれを補って余る楽しさがある冬の河口湖
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滑らかなウェイキと光は静かな湖ならでは
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これらミノーの他、スプーンを持ってきたけれど魚の反応は無し。次回に期待
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甲州名物「ほうとう」。うどんに似ているが塩を使わない、そのまま煮込めるなどの点で相違。温まる
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河口湖周辺には日帰り温泉も点在
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河口湖天上山公園からの河口湖


ヤマハニュース

広がる世界~RESONATING WORLDS~
ヤマハ製品を通じて感じられる地球の素晴らしさを映像で紹介
http://global.yamaha-motor.com/yamahastyle/resonating-worlds/

被災地向け復興和船について
東日本大震災の被災地に供給している復興和船の情報
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/pro-fish/tairyo/topics/

「出動!マリンクラブ釣査隊」福岡県・糸島半島のチヌ・ヤズ
レンタルボートで楽しむ、日本各地のフィッシングレポートをご紹介します。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/report/


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【編集航記】
 みなさま、あけましておめでとうございます。未曾有の震災など労苦を経て迎えた新しい年。社会にとって、個人にとっても、2012年は希望の年にしたいですね。「絆」という漢字が昨年のものだけでないことを祈り、2012年を歩みたいと願います。本年もよろしくお願いいたします。
(編集部・ま)

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