ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
今月のタイトル画:かわさきさん(福岡県)の憧れのマリンライフ「小島の入り江にログハウスを建て、専用の桟橋とプライベートビーチを持ち、好きなときにシングルハンダーヨットで海に出て、陸にあっては海の音を聞きながらJAZZをバックにビールを片手に本を読む。私の理想郷です」
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN 冒険者たち
キャビンの棚 再び海が燃える日は訪れるのか 「海が燃えた日」
船厨 春の味? 冬の味? 「ヤリイカのリングイネ」
海の博物誌 底に秘められた話(ポートのボトム形状)
新連載 Salty Who's Who 被災地の子供たちに海を取り戻したい。
YAMAHA NEWS

「ボートショー 2012」に1,000組2,000名様ご招待!/フィッシングボート「UF-29F」イメージ映像公開/「出動!マリンクラブ釣査隊」福井県・美浜沖のアオリイカ、キジハタ

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MONTHLY COLUMN
 1月21日、セーリングクルーザーで単独無寄港世界一周に挑戦していたオランダ人のラウラ・デッカーさんが518日間の航海を終えてカリブ海のサンマルタン島に到着したと、CNNのニュースサイトで知った。16歳という最年少記録だ。
 お会いしたことはないが、少女のことは覚えている。2009年に14歳でこの航海を行おうとしたラウラさんは、オランダ当局から計画に反対され中止を求められ、さらに両親がこの決定に応じなかったために当局に保護されたのだ(結局は計画を一部見直すことで許可がおりた)。正直に言うと、当時は「義務教育ぐらいは終えてから行けばいいのに」と思ったものだが、こうして無事に冒険を達成し、さらに帰港した時の彼女の姿を写真で見ていたら、やはり喝采を送りたくなった。
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 今も、昔も、人は海を舞台にたくさんの冒険を繰り広げている。
 昨年は「酒呑童子」の斉藤実さんが世界一周の航海から戻った。帰港時の斉藤さんは77歳だった。ベテランであるが、ヨットを始めたのは39歳の時。そして本格的な外洋レースに参加したのは53歳の時。それから斉藤さんは7回の世界一周を成功させ、今回は8回目の世界一周だったというから驚く。しかも強い向風、海流と戦いながらの西回り。地球の自転にも逆らうことになる。当初は無寄港で横浜開港150周年に合わせて帰港するはずだったが、様々なトラブルに見舞われて、3年の月日を費やした。そしてなんと、「ヨットで地球を8周」した男は次の目標に「北極海」を掲げている。
 昨年はもう一人、気になる冒険を達成した方がいる。北九州出身の立尾征男さんだ。立尾さんはアメリカのサンディエゴからハワイまでの約2200マイルを20フィートのセーリングクルーザーを改造した艪こぎのボートで渡りきった。成功時70歳。
 立尾さんもセーラーである。2001年にはヨットによる当時の世界最高齢での単独無寄港世界一周を成功させた。だが、立男さんはこうした冒険の快挙よりも、むしろ失敗によって名前が広まってしまった感がある。艪漕ぎボートでの太平洋横断への挑戦は、2度失敗し、海上保安庁に救助されることになった。当時のネットの掲示板などでも「人騒がせ」などと批判されていたことを覚えている。しかし、立男さんは失敗を成功への糧とした。スポンサーもなく一般のセーラーとして挑戦を続け、仕事の合間に船の改造を徹底的に施し、太平洋の横断は断念してルートも見直した。
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 僕たちは海に出るにあたり、まずは「安全の確保」を模索する。それが大切なのは当たり前のことだし、これからも折に触れて訴えていきたい。だが、冒険とは、個人が自発的に、あえて危険に立ち向かうことでもある。そしてそれは、特に海への冒険は、古代から続けられてきた人間の営みの一部だ。それなのに日本ではヨットでの冒険が手放しで賞賛されることが希だ。揚げ足をとられるようなことすらあり、太平洋横断の快挙よりも密出国が問題視された堀江謙一さんの時代から、それほど変わっていないようにも思える。
 2010年に16歳のオーストラリアの少女が単独無寄港世界一周航海を達成した時、シドニーでは多くのボートやヨットが湾の外で彼女を出迎え、その様子が映像で紹介された。まるでアメリカ杯ヨットレースの凱旋のようだった。斉藤さんはアメリカのニューポートにあるヨット・ミュージアムにおいてシングルハンドセーラーとして殿堂入りし、伝統あるクルージング・クラブ・オブ・アメリカでは最高級の名誉と言われる「ブルーウォーター・メダル」を受賞している。立男さんも艪漕ぎボートでホノルルに到着すると敬意を持って現地で報道され、その艪漕ぎボートがしばらくの間、陸上展示されたそうだ。
 無謀な挑戦と冒険を線引きした上で、冒険者たちにはこれからも声援を送りたい。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「海が燃えた日」
著者:武村洋一/山崎達光
発行:舵社
定価:本体:2000円(税別)
 確かに20年前、日本人は燃える海を見ていた。それまで映像や、一部の雑誌でしか知ることのなかった偉大なヨットレースに、日本のシンジケートが挑戦すると聞いた時、心をふるわせた方は多かっただろう。
 ニッポンチャレンジは計3回のアメリカ杯に挑戦した。いずれもチャレンジャーシリーズで敗退し、アメリカ杯への挑戦権を得ることは適わなかったが、全ての大会で残した4位という成績以上に、日本のセーリングファンを大いに沸かせてくれた。
 「海が燃えた日」は、当時ニッポンチャレンジにスタッフとして在籍した武村洋一氏とシンジケートの会長だった山崎達光氏の共著として上梓された。初挑戦から20年、最後の挑戦から12年。日本がどのようにして未知の世界に挑戦し、レースを繰り広げたのか、改めて3回にわたる挑戦の内幕が、それぞれの立場から綴られている。第三章では「なぜ挑戦しないのか」と題した著者による対談。それは若いセーラーをはじめ、継承者たちへ向けての熱きメッセージでもある。
 次回のアメリカ杯は2013年9月にアメリカのサンフランシスコで開催される。使用艇は当時のACボートとはかけ離れたカタマランだ。ヨットレースとしてのアメリカ杯は大きく様変わりしてしまったが、そこに「夢」や「感動」、「挑戦」「威信」「歓喜」といったキーワードがあふれるていることに変わりはない。
 日本人が再び海に炎を投じる日は訪れるだろうか。



船厨
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 イカ釣りがここまでブームになるとはちょっと前まで思いもよらなかった、という人は多いだろう。もちろんイカ釣りは古くから行われていたが、「エギング」という言葉が一般化して、多くの人がスポーツフィッシングとしてその魅力を見いだしている。人気の裏にはそれなりに奥が深くテクニックが必要なことの他に、なんといっても「食べてうまい」ということもあるのだろう。
 エギングでイメージされるのはなんといってもアオリイカか。でも、様々なイカが釣れる。ヤリイカもそのひとつ。旬は春とされるが、産卵間近に岸によってくるので陸っぱりでもよく釣れるようになることから冬場も人気のイカである。
 ヤリイカの特徴はその名が示すとおり、他のイカに比べて細長いこと。食べては食感にコシがあること。だからパスタのソースの具材にもいいと思う。細長いので輪切りにしてそのまま一口で食べることができるのもいい。
 リングイネを茹で上げて、ヤリイカのトマトソースを絡めた。暖かい部屋でよく冷えたワインにとてもよく合う。
 冬の味か、春の味か。そんなことはどうでもいーか。
「ヤリイカのリングイネ」の作り方
■材料(4人分)
リングイネ400g、ヤリイカ小4ハイ、トマト缶2個、タマネギ1/4、黒オリーブ適宜、塩、胡椒、オリーブオイル
■作り方
1)ヤリイカは内臓と骨を取り、洗って、輪切りにする。
2)粗みじんにしたタマネギを炒め、1のヤリイカを入れて炒める。
3)イカに火が通ったら中火にしてトマトと半分に切って種を取った黒オリーブを加えて弱火で10分ほど煮込み、塩と胡椒で味を調える。
4)アルデンテで茹でたリングイネを皿に盛り、ソースを絡めて出来上がり。



海の博物誌
 今年も間もなくボートショーが開幕する。ヤマハはもちろんのこと、各社からニューモデルが出品され、マリンファンにとっては楽しみなところ。
 さて、そのボート、走行性能や乗り心地の善し悪しを決するのは船底の形状にあるといっても過言ではない。そこで各社とも独自の技術や船底の形状を開発し自慢のボートの設計に織り込んでいる。だからボートの通は、ボートショーなどでは屋内展示場で腰をかがめてボートの底を観察している。
 ボートの船底はフラットな方が滑走しやすく高速性能が得られる。また安定がよく、釣りなどデッキを歩きまわる作業に適している。しかし、フラットなボトムは外洋などで波に当たったときの衝撃が大きい。プレジャーボートのような小さな船が外海を高速で走るためには、ボトムに角度をつけて乗り心地を柔らかにし、凌波性能(波をかき分ける性能)と保針性能(直進性能)を高める必要がある。だが、ここで問題なのは、どの程度ボトムに角度をつけるかである。鋭角になりすぎると、静止したときの安定性が損われるし、走っても水面下の抵抗が多いためにブレーニング(滑走)しにくくなる。
 この問題に理想的な答えを出したのが、戦前~戦後にかけてアメリカで活躍したボートデザイナー、レイモンド・ハントだ。彼は、波に強い小型ボートの設計においてデッドライズ(ボトム角度)24°を設定するとともに、バウ(船首)からスターン(船尾)にかけてリフティング・ストレーキ(フラットな面を持つ細長いレール。日本では「ストライプ」と通称していた)をつけてプレーニング性能を補ったボトムを考案し、荒天下でのボートレースでその優秀さを実証した。
 その後、多くのボートビルダーがこの船底設計思想を参考にしていったのである。



Salty One Day Boating
脇山智彦さん
みなとまち創造会議(福島県いわき市)会長/ジャパンゲームフィッシュ協会評議員
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 子どものころから海が遊び場だった。素潜りが大好きだった。船に憧れ、ボート免許は16歳の誕生日になったらすぐに交付されるよう見計らって15歳の時に国家試験を受けた。ボートで釣りを楽しみ海の恵みを享受してきた。それほど好きだった海なのにどうして─。津波に襲われた港の惨状を前に、涙が止められなかった。
 「最近になってからですよ、またボートで海に出たいと思うようになったのは。それまではボートどころではなかった。それほどひどいダメージだった」
 脇山智彦さんが会長を務める「みなとまち創造会議」は、いわきサンマリーナに艇を置くオーナーを中心に、いわきを海辺から盛り上げようという目的で震災前に設立されていた。元々はいわきサンマリーナを市民に憩いの場として提供しながら、海の魅力を広く市民に知ってもらう。マリンスポーツの振興を通し、港町としての楽しいまちづくりを考え、次世代の子供達に受け継いでもらう。そして海と港町のまちづくりを創造することが目的だった。しかし、設立後すぐに大津波が襲い、活動の中心的存在だったマリーナは消滅、目的の順序が変わった。
 「いつの日かマリーナを復活させたいとは思います。でも今のところ、そんなことをいってられません。一日も早く小名浜を中心とした活気ある街を再生させたい。震災後は市民と行政で組織されている“小名浜まちづくり市民会議”に団体として加盟して活動しています」
 ボートオーナー以外のメンバーも参加して、様々な取り組みが動き出している。最初の本格的なイベントは「いわきの海展覧会」だった。昨年の10月に市内の子どもたちにと保護者に船に乗ってもらい、被災した街の様子を海から眺め、上陸後に復興した沿岸を想像して親子で絵を描いてもらう。その絵をいわき観光の中心的存在である水族館「アクアマリンふくしま」に11月1日から1月31日まで展示した。
 「描いてもらった絵ももちろんですが、絵に添えられた子どもたちのコメントに泣かされ、そして力をもらいました。いわきの子どもたちは大なり小なり海と接して育ってきたんです。子どもたちの、また海で貝殻拾いがしたい、お父さんと釣りをしたい、そんな願いがストレートに伝わってきた。今まで当たり前だったことができない。子どもたちも苦しんでいるんですね」
 脇山さんは子どもたちの絵を見て「一日も早く復興させないといけない」と決意を新たにした。
 今、力を入れているのは「カジキで町おこし」だ。「2010年にビルフィッシュトーナメントでカジキの料理コンテストを行ったところとても好評だったんです。今年はこのコンテストを再開させてカジキを使った特産品づくりに挑戦したい」
 常磐沖は知る人ぞ知るカジキの宝庫。震災前までは、いわきではビルフィッシュトーナメントが毎年開催され、魚影の濃さに惹かれて多くのスポーツアングラーが県外からも参加していた。
 「ビルフィッシュトーナメントを今年の秋に開催できないかと考えているんです。今までのように大規模でなくてもいいんです。数隻でもいいから参加してもらえれるのならば思い切って開催してしまおうかと」
 一時は「なぜ海からこんな仕打ちを受けなくてはならないのか」と嘆いた脇山さんだが、今、想いは海に向けられている。



ヤマハニュース

「ボートショー 2012」に1,000組2,000名様ご招待!
3/1(木)~3/4(日)、パシフィコ横浜で開催されます。
http://global.yamaha-motor.com/jp/boatshow2012/

フィッシングボート「UF-29F」イメージ映像公開
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/boat/fishingboat/uf-29f/

「出動!マリンクラブ釣査隊」福井県・美浜沖のアオリイカ、キジハタ
レンタルボートで楽しむ、日本各地のフィッシングレポートをご紹介します。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/report/


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【編集航記】
 寒さの厳しい日が続いていますが、ジャパンインターナショナルボートショーの開幕まで1ヶ月を切りました。今年の日程は3月1日から4日。会場はこれまでのパシフィコ横浜に加え、横浜ベイサイドマリーナとの2会場となります。マリーナでは大型艇が係留展示される他、ボートやヨットの体験乗船が行われるなど楽しみも増えそうです。ヤマハでも両会場にボートを展示する他、さまざまな情報を発信しながらひとりでも多くの方に海やボーティングの魅力をお伝えしていきます。ぜひご家族お仲間をお誘い合わせの上、ご来場ください。
(編集部・ま)

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