ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN 素敵な天気。
キャビンの棚 最も美しかったハワイ「カイマナヒラ」
船厨 塩をなめながら飲む女性のために。「ブルー・マルガリータ」
海の博物誌 漂流するなら南の海で
Salty Who's Who マリーナをエンターテインメントのステージに、海の達人がもてなす。
YAMAHA NEWS 釣り機能をさらに向上。フィッシングボート「F.A.S.T.26」シリーズ新発売/マリンジェット2013モデル/2級ボート免許学科講習無料体験会 in 兵庫のご案内
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MONTHLY COLUMN
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 九州から日本海に抜けた台風は、そのまま低気圧となって北東にゆっくりと進んでいった。相模湾はどうかなと思ったが、波長のあるやや大きなうねりが残っていたものの、風はなく、ゆったりとした気分でボートフィッシングを楽しむことができた。
 ただ、雨だけはどうにもならない。その日は、朝から降ったり止んだりと、ぐずついた天気がつづいた。
 雨の海は、それほどきらいではない。もともと小型ボートで遊ぶ時は、濡れるものだと思っているし、よほど視界が悪くならない限りは、雨だからといってフネ遊びを中止にすることもない。以前にも書いたことがあるけれど、大学でヨットを楽しんでいたころ、偏屈な大先輩から「お前ら、雨の日は傘なんか差すなよ。カッパで過ごせ」と言われたことがある。そんな言葉を真に受けて以来、僕は滅多に傘も差さない。夏の海ならなおさらだ。濡れた方が気持ちがいいし、楽しいとさえ思う。
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 この日の天気は「ぐずついた」けれども、その恩恵は大きかった。
 厚い雲の隙間からときおりが日が差す。その日が色づける海はことのほか美しい。沖を目指してボートを走らせながら後ろを振り返ったら、真鶴半島に美しい虹が架かっていた。最初はアーチのような形をしていた虹は、あっという間に食べかけのバームクーヘンのような形になって、そして消えた。
 みなもは太陽の光で輝いていたけれども、大粒の雨が叩き、楽しげな模様を描く。これも滅多に見られない光景で、リトリーブする手を休めてしばし、不思議な光景に見とれた。
 1時間ごとの降水予報では、正午近くにかなりまとまった雨が降りそうだった。視界が悪くなった時に備えて、その時間はボートを岸から離して少し沖よりに移した。すると伊豆大島の方向に大きな雨雲が現れ、雨を降らせているのが目に映った。天気予報はこの雲を言い当てていたのか。気象予報士はすごい。でも幸いにして、その雲はこちらに向かうことなく、ひどい雨に降られることはなかった。ただ、迫力ある雨雲の姿形に少しばかり恐れおののき、自然への畏敬の念を強めた。
 ピーカンの空に風のない海は好きだ。この日の空は、それとは対局だったけれど、数々の素晴らしい海の表情を演出してくれていた。
 四季折々の海、時間によって、天候によって刻々と表情を変える海。落雷や突風などにはもちろん気をつけたいけれども、そんなあらゆる海を、生のあるうちに満喫したいと願う。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「カイマナヒラ」
発行:ビームス
発売:サンクチュアリ出版
写真:佐藤秀明
定価:2400円(税別)
 写真家・佐藤秀明。写真に興味のない人でも、「作家の片岡義男とよく一緒に仕事をしていた」といえば思い出す人も多いかもしれない。佐藤秀明の写真は、ある世代にとって「海っぽいもの」の代表格なのだ。
 佐藤秀明の写真集「カイマナヒラ」が7月に上梓された。「カイマナヒラ」とはハワイ語で「ダイアモンドヘッド」のことなのだとか。内容は70年から80年代前半にかけて撮影されたハワイの、いわゆるビンテージ写真集。
 多くの若者にとって、その頃のハワイはいまよりももっと遠くて、憧れの地だった。
 小さな教会の前に停まっているポンコツのトラック。潮風によるさびと闘うようにして走るクライスラー・デソート。コカコーラのサインが掲げられた小さな雑貨屋。息をするように波に乗るポリネシアンのサーファー。ビキニを身に纏ったブロンド娘。日本の若者にとってハワイは、すべてがいまよりも新鮮で輝いていた。
 この写真集のキュレーションに参加した片岡義男はエッセイも書き、華を添えた。あの頃の海とハワイを愛して止まない人々の、心のこもった写真集だ。



船厨
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 ポピュラーなカクテルのひとつ 「マルガリータ」。その名の由来として知られているエピソードが、「ロサンゼルスのバーテンダーが狩猟の流れ弾に当たって死んでしまった恋人・マルガリータを偲んで作った」というものだ。ところが今回、このカクテルについてWikipediaを読んでいたら、もう一つ、これまで知らなかったエピソードがあった。
 「どんな酒でも塩をなめながら飲むガールフレンドのためにメキシコのホテルのバーテンダーが作り、ガールフレンドの名をつけた」
 メキシコでは、ライムと塩をなめながらテキーラを飲む男たちの姿をバーなどでよく見かける。男のそれはなかなか様になるが、女性がそういう飲み方をしているとなると、もしかしたら少々下品に映るかもしれない。そんな彼女のために、最初からテキーラにライムを入れ、グラスの縁に塩をまぶしてあげたのだと思うと、後者の説が有力のように思えてくる。ロマンティックにはほど遠いが、テキーラベースの酒だ。明るく飲みたいという気がするしね。
 写真は「ブルー・マルガリータ」。「マルガリータのレシピにブルーキュラソーを加えると、俄然、海っぽくなるんだ」と、海と葉巻が大好きだった先輩が作ってくれたものだ。家庭でも簡単に作れる。お試しを。
「ブルー・マルガリータ」の作り方
■材料
テキーラ30ml、ブルーキュラソー15ml、ライムジュース15ml、塩適量、レモン1個
■作り方
1)小皿に塩を盛り、レモンで縁をぬらしたグラスを充てて塩を付ける。
2)シェーカーに材料を入れ、氷を入れてシェイクして、1)に注ぐ。



海の博物誌
 ヨーロッパ産のミステリーには、北ヨーロッパの海をスパイが泳ぐシーンがけっこうでてくる。真夏でも12~16℃しかない海を、何時間も泳ぐのだから、おそれいってしまう。
 人間は内臓の温度が30℃に下がると意識不明になり、24~25℃で凍死する。そのため、真夏の海水浴でも、適温は23℃以上、子どもは25℃以上といわれている。
 日本の周りで8月、海面温度(30年間の平均)が、25℃以上になるのは太平洋側では銚子以南、日本海側では男鹿半島以南である。2月は、沖縄で20~22℃、北海道で2~6℃という具合。25℃ラインはフィリピンのルソン島まで下がらなくてはならない。
 なお、漂流する際は、着ているものはなるべく脱がないほうがよいとされている。体温の放出を防ぐためである。
 白色人種ほど寒さに強くなく、高カロリー食でもない日本人としては、もし遭難・漂流するとしたら、なるべく南の海で、と願いたい。



Salty One Day Boating
大野木博久さん
NPO法人 海の達人・理事長
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 「海の達人」。この文字から思い浮かべるイメージをそのまま人に置き換えると、この人になる。潮風を感じさせる、包容力をもったオトコ。ちょっと過ぎた紹介だろうか。
 第7回を数える「海のバリアフリー祭り」。その主催団体、NPO法人海の達人の理事長、大野木博久さんだ。三重県は神島生まれ。三島由紀夫の代表作「潮騒」の舞台としても知られる伊勢湾の沖に浮かぶ周囲約4kmの小島だ。1953年11月、大野木さんはその島で生まれ、中学までの13年間を島で暮らした。
 「父親は漁師でね。当然、僕の生活も遊びも何もかも海。みんな海から教わった。死にそうになったこともあるし、実際、身内、友人も海で失っています。島でのいろんな経験が今の仕事にも生かされているのは確かだろうね」
 “怖い顔”と奥様から評されるその面構えから、海への思い、マリンレジャーへかける思いが直球で発信された。

 活動の拠点となる「マリーナ河芸」は、伊勢湾に注ぐ田中川の河口に位置し、国内初の本格的河川マリーナとして整備された。幅広スロープや車いすでの乗船リフトも備えている。
 「バリアフリーまつり」では、小型ヨットやシーカヤックの乗船・操縦体験、シーカヤックを操船しながら綱引きやパン食い競走に挑む「海の運動会」、ボートやセーリングクルーザーでのミニクルーズ等、プログラムは多彩。陸上では、障がい者と健常者がともに楽しむソーラン舞が披露されたり、授産施設の物販テントが並ぶ。
 大野木さんがこの企画・実施に至ったのは、「海、マリンレジャーがもっと身近な遊びにならないか」という思いからだった。
 「伊勢湾、鳥羽、熊野灘という海が身近にある土地柄で、1,083km、本州では3番目に長い海岸線を持つ三重県でも、マリンレジャーは贅沢等のイメージが付きまとっていた。とにかく水辺に来て、水面に出てもらうにはどうするか、いろいろ考えました。そこで行き着いたのが、障がいがあってマリンスポーツを楽しむ機会の少ない人たちが参加できるマリンレジャーの体験プログラムです。それが海のバリアフリー祭りという形になり、2006年に初めて開催しました」
 地域の福祉団体、セーラビリティ活動の仲間、マリーナ河芸にボートを置くオーナー諸氏みなさんの協力を得て、初めての試みは成功した。
 「障がい者に限らず、ボートでも何でも、初めて乗るときの表情からはちょっと緊張感が感じ取れます。みんな不安な気持ちを抱えて乗るのですが、帰ってきたときは、全員が笑顔になっている。ゲストとして来る障がい者の方もボートオーナーをはじめとするボランティアの方々も、このイベントにかかわる人たちが、皆、それぞれに楽しんでくれています。そんなわけで、このイベントをやめるわけにはいかないなぁと、回を重ねていくたびにその思いを強くしました」と振り返る。
 「海を知らない、ボートを知らない、ヨットの操船を知らない、なんらかの障がいがある、人それぞれにハンディがあっても、ここに来れば一日過ごせることがわかってもらえる。毎回そんな実感を持ちます。海は危ないというのはイメージで、実際はみんなで助け合い、補い合い、ルールを守れば大丈夫。とにかく、海で遊ぶ人を増やしていきたい。ルールやマナーを守り、無理をしなければ、海は安全で、漁師とのトラブルを起こすこともなく誰もが楽しめる」と強調する。
 海の運動会は、近隣の小中学校や企業にも取り入れられ、海岸清掃や河口での生き物観察なども組み入れて実施されている。小型船舶免許取得のための教習、気象予報士による講習会、釣り教室なども開いている。
 一般的にボート等の保管施設であるマリーナを、強い意志を持って海のエンターテインメントのステージに仕立て上げ、その運営や指導の部分を「海の達人」という組織で活動の基盤を支える形を整えてきた。
 「マスター登録と言うのですが、海の達人たち、なかでも年輩の方が培ってきたマリンレジャーの知識や技量がご自身の楽しむときだけにしか使われないのはもったいない。まずクルージング、釣、レース等、それぞれの得意分野に登録していただきます。外部からの依頼の内容に即して、達人のリストから適切と思われるメンバーを構成し派遣します。いま、外で遊ばない、自然と触れ合わない子供たちが増えているといわれますが、海を知らずに大人になっていくのが、将来、本人にも社会にもどんな影響があるかと思いを巡らせると、決して明るい気持ちになれません。自分を育ててくれた海への恩返しの気持ちも込めて、海で楽しみ、人と触れ合い、少しでも豊かな時間を過ごしていただけるように取り組みたい」
 「第7回海のバリアフリーまつり」は9月に行われた。「タイトルに回数を入れたのは初めてなんです。今回も160名を越えるボランティアが支えてくれました。たくさんの人、団体の協力で回数を重ねてこられたこと、参加する人たちが本当に楽しいんで、また次回の開催を心待ちにしていてくれること、それを肌で感じて、これはもう本当にやめられない。よし、ずっとずっとやっていくぞ、と改めての決意の証です」とちょっと照れくさそうに話してくれた。
 マリンレジャーに正眼の構えで向かう大野木さん。真摯な姿勢にすがすがしさも漂わせる。“怖い顔”は、水平線のもっと先を見つめ、自ら水先案内役を担う気概に満ちていた。



ヤマハニュース

釣り機能をさらに向上。フィッシングボート「F.A.S.T.26」シリーズ新発売
<F.A.S.T.26 EX製品情報>
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/boat/fishingboat/fast-26ex/

マリンジェット2013モデル
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/marinejet/

2級ボート免許学科講習無料体験会 in 兵庫のご案内
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/license/trial/hyogo/


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【編集航記】
 先日、真鶴ではじめて目にする魚を釣りました。iPhoneにしのばせてある釣魚図鑑アプリで調べたら「マツダイ」であることが判明。次に、食って美味いのかどうかが気になり、「マツダイ&調理」でググったところ、私が最初に見つけたブログでは「まずくて漁師も捨ててるらしい」と。でも同行者がチェックしたサイトでは「美味。一部で高級魚として扱われる」という記述。結局、刺身にしましたが、これが滅法美味かった。もし、最初に見つけたブログだけで判断していたら、一生マツダイを食べることはなかったかもしれません。インターネットは伝聞情報にご注意を。体験に勝るものはありません。
(編集部・ま)
ソルティライフ公式Facebookページ 「Yamaha Motor Nautical Mile」

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