ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN 夢は儚いものか
キャビンの棚 宇宙よりも遠い場所がある「海に降る」
船厨 いろいろのせて焼いてみよう「シーフードピザ」
海の博物誌 スポーツフィッシングから魚類保護まで
Salty Who's Who マイカーにボートを積んで日本を周遊
YAMAHA NEWS 「ボートショー 2013」に1,000組2,000名様ご招待!/「シースタイルマリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど/ボート免許更新お知らせサービス(無料)
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MONTHLY COLUMN
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 ポルトガルを旅したことがある。首都・リスボンには大西洋へと注ぐテージョ川がゆったりと横たわっていた。多くのポルトガル人にとって、それは単なる「川」を超えた存在であるようだ。ポルトガルが世界に誇るファド・シンガー、アマリア・ロドリゲスが、また、日本でも人気のあるマドレデウスも、テージョ川に望郷を重ね、美しく歌い上げていることから、そのことがわかる。

 河口には、16世紀前半に侵略者を見張る目的で建設されたというベレンの塔が建つ。大航海時代、この前をどれだけの冒険者たちが夢を抱いて通り過ぎたのだろう。そのことを思い起こさせるがごとく、すぐ近くには、エンリケ航海王子の死後500年を記念して造られた冒険者たちのモニュメントがある。王子を先頭にヴァスコ・ダ・ガマなど27人の冒険者たちが一つの船に乗っている様は、大西洋の遙か沖に思いを馳せたこの国の人びとの気質を表しているようだ。ポルトガルの漁村で丘の斜面に漁師の小屋が点在する地域がある。その小屋は、他の国のそれとは異なり、海を背にして陸に向かって建っていると聞いたことがある。つまり、ポルトガルでは海とは楽しむものでなく仕事場に過ぎなかった。彼らと海との関係は、探検と漁業によって培われてきたのだった。
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 ただ、いまは、違う。大航海時代を偲ぶモニュメントと並ぶようにして、河口には、いくつかのマリーナがある。そこにはボーティングやセーリングを楽しむ人びとが集まる。そしてその姿に中世から引き継がれてきた冒険者たちの雄姿が重なる。

 リスボンで最初に開けたビールの銘柄は「SAGRES」だった。その文字を見て、80年代後半、旅に憧れた若者の多くがバイブルとした沢木耕太郎の「深夜特急」を思い出した(ポルトガルの記述が掲載された「第三便」は92年発刊)。沢木耕太郎は、見知らぬ男に誘われるまま入ったリスボンのファド・レストランで、このビールを飲んだ。そしてサグレスがポルトガルのアルガルヴェ地方にある岬の名であることを知り、ラゴス行きのバスに乗った。
 「ここに地果て、海はじまる」と詩人に詠ませたユーラシア大陸の西の端は、リスボンからほど近いロカ岬である。一方、サグレスは半島の南西に位置するが、ここもまた、最果てを思わせる風が流れていた。エンリケ王子はこの岬に航海学校を設立し、多くの航海者を育てた。15世紀初頭、この岬に立ち、冒険者として名を立てようと夢見た若者たちが海の向こうに何を求めたのか、想像するのは楽しく、静かに心が高揚する。

 大阪市が所有していた帆船「あこがれ」によるセールトレーニング事業が、今年の3月で廃止されることになった。93年に竣工して以来、20年間、多くの少年や青年、そして彼らの夢や憧れを乗せて海を走ってきた。今回の事業廃止は、船名である「あこがれ」という思いそのものが捨て去られるような気がしてさみしい。
 運営につくしてきた大阪市の方々やこれまでに「あこがれ」に乗ってきた人々には、スケールの差こそあれポルトガルのサグレスに立った航海者に通じるものがあったと推測する。
 いつの日か、再び、セールトレーニング事業が日本のどこかで復活し、日の目を見る日を待ち望みたい。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「海に降る」
発行:幻冬舎
著者:朱野帰子
定価:1,400円(税別)
 いまや、人が宇宙へ飛び立つのは珍しくない出来事だ。日本人宇宙飛行士も次々と誕生し、自費で宇宙旅行する民間人もいる。それに比べると、海はまだまだ遠い。深海に潜るのは宇宙へ飛ぶより困難なのである
 地球の3分の2は海だということは理解している。だが、この海のうち我々が知っているのは、ほんの一部の表面に過ぎない。そもそもいったいどれほどの水量があるのか。実は地球の表面積のうち4000~6000mの深海が8割を占めるのである。現在、地球の最も深い場所は西太平洋のマリアナ海溝で、その最深部は約10900メートル。キロに換算すると11キロ。平面で考えるとたいした距離ではないが、もちろん太陽の光は届かず、尋常ではない水圧が支配する、まさに暗黒の世界だ。そして人類はいまだそこに到達できずにいるのだ。
 「海に降る」は、そんな深海の調査・研究を目的にした「海洋研究開発機構(JAMSTEC)」という実在の独立行政法人を舞台に、有人潜水調査船のパイロットを目指す女性、そして深海に潜む未確認の巨大生物を追う男性が、さまざまな困難を前に夢を実現させていく物語。
 それにしても、深海の研究は世の中のためになるのだろうか?必要なのだろうか?作中にも出てくるテーマの一つだと思われるが、おそらく海にロマンを求めるような読者ならば明確な答えが見つかるはずだ。
 なお、JAMSTECが所有する「しんかい6500」は、小説が書かれた時点では世界でもっとも海の深部へ到達した有人潜水調査船だったが、昨年の6月に1位の座を他国の調査船に明け渡している。



船厨
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 小麦粉をこね、イーストを入れて発酵させる。できあがったパン生地を薄くのばしてソースを塗り、具をのせて焼く「ピザ」。お好み焼きやチジミはいうにおよばず、このタイプの食べ物、いわゆる「粉モノ」は世界中にいろいろあって、ピザの原型もエジプトで生まれたのではないかとされている。
 日本のピザはアメリカ料理として広まり、若い人は知らないかもしらないけれど、本場の「ピァッツァ」が広く知られるようになったのは80年代バブルのころ、オジサンにとってはつい最近のことなのだ。
 ホンモノのピザは、世界三大夜景でも知られるイタリア南部の港町、ナポリが発祥。ナポリは町の乱雑さ、風光明媚な海岸、民謡、お祭り好きの市民気質などで知られるけれど、漁業も盛んな町だ。ピザにシーフードを載せる習慣がナポリにあったかどうかは知らないが、何となくそんな明るくて賑やかで大雑把なイメージがピザにはある。
 一度に焼ける窯なりオーブンなりなんてそうそう無いから、これを作って仲間と食べようとすると自分は一切れつまんでは次のピザを焼く、といった具合で、どうも落ちついた食事ができない羽目になる。それでもわいわいやりながら食べるのは楽しい。そう、やはり、どことなくお好み焼きに似ているのである。
「シーフードピザ」の作り方(2~3人分)
■材料
強力粉150g、薄力粉150g、イースト小さじ1、塩少々、オリーブオイル5g、ピザソース適宜、ミックスチーズ適宜、お好みの具(写真はサーモン、イカ、エビ、アサリ、オリーブを使用)
■作り方
1)150ccのぬるま湯にイースト、オリーブオイルを入れてかき混ぜ、20分ほどおく
2)強力粉と薄力粉、塩をボールに入れてよく混ぜ、1)を入れる
3)よくこねてからボールにラップをし、25度ぐらいの室温で1~2時間ほど発酵させる
4)シーフードなどは予め軽くボイルしておく
5)2倍に膨らんだ3)から適量をとり、麺棒で薄くのばす
6)生地にピザソースを塗り伸ばし、好みの具、チーズをまぶして250度のオーブンで10~15分焼く
※チーズはミックスチーズの他、好みでバルミジャーノ・レッジャーノ、ブーリー、チェダーなどを刻んで加えるとアクセントになり、いろいろな味が楽しめます。また時間の余裕があれば自作のこだわりピザソースもぜひ。



海の博物誌
 スポーツフィッシングといえば、大きなボートに専用のチェアを据え、巨大なカジキと何時間にもわたる死闘を繰り広げる、といったイメージを抱く人は多いだろう。実際、スポーツフィッシングの愛好家の組織IGFA(インターナショナル・ゲーム・フィッシュ・アソシエーション)は、そもそもカジキやマグロなどのビッグゲームフィッシングのルール作りと記録の登録から始まった。
 同時に、博物館や研究所と協力して魚の調査のための捕獲も開始している。初代会員にはアーネスト・ヘミングウエイをはじめとする著名人がいたこともあって、その協会の思想は次第に世界へ浸透して行く。
 やがて1970年代になると、200海里問題、資源保護の問題が表面化する。ここで、IGFAは資源保護運動にも力を入れはじめ、1973年からは「教育」「科学」「慈善」を柱とする非営利団体となった。
 日本にJGFA(ジャパン・ゲーム・フィッシュ・アソシエーション)ができたのが1979年。「いい釣りを、いつまでも。」をスローガンに、魚の数にこだわるのではなく、自然の中で魚とのファイトを楽しむスポーツとしての釣りの普及を目指し、その感動の証として記録を残して行く活動をしている。当初数十人で結成された協会は、現在約3,500名以上の会員となり、世界有数の釣り団体となっている。



Salty One Day Boating
小野信昭さん
「友恵丸」船長
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 ボートショーやシースタイルのイベントに参加したことがある方なら、見かけたことがあるかもしれない。穏やかな外見のとおり、心根の優しい誠実な海の男なのだと、つくづく感じる。
 ボート専門誌やイベントの講師としてもおなじみの小野信昭さんは、小学生高学年の時に近所の池で友達とザリガニ釣りを始めたのがキッカケで釣りにはまった。その後、各地で手漕ぎボートを借りて釣りを楽しむことになったが、自分のボートを持とうと思った時に、価格、維持費もさることながら、何よりもあちこちの海へ行けることに魅力を感じ、トレーラーを使わずに車で運べるミニボートを選んだ。
 こうして始まったボートフィッシングライフだが、各地の海で楽しんでいるうちにいろいろなことに気づくことになる。
 「大切に利用してきたホームゲレンデで、ビギナーが引き起こしたトラブルによってゲレンデから閉め出された過去があります。もちろんビギナーは悪気があった訳ではなく、ルールやマナーの知識を持ち合わせていなかっただけでした。それを機に、この遊びを少し早く始めた先輩としてトラブルが再発しないようにルールやマナーの啓発活動を始めました」
 小野さんのホームページ「気ままな海のボート釣り」を見ると自身の釣行記だけでなく、ルールやマナーについてもまとめられている。
 「たとえば、ミニボートで釣りをするときに、他船からの視認性をよくするために“旗を挙げよう”という運動をして呼びかけました。しばらくしてから“あんたらのボートは波間に隠れちゃうから、そうやって旗を揚げるのは感心だな!”と漁師さんに言われたときは嬉しかった。10年前に比べると少しずつですが、愛好家のモラルも向上し、まわりの理解も得られつつあるなと感じています」
 小野さんは昨年、はじめて東京都内からボートを降ろして釣りを楽しんだ。実はそこで「海のある都道府県すべてで釣りをする」という長年の目標を達成した。
 「12年ほど前、インターネットで繋がりのあった関西地方の愛好家と互いのボートを持ち寄って一緒に釣りを楽しむ機会を得たのですが、初めての海に浮かぶワクワク感が刺激的で、それはまるで進水式の時に味わった興奮のようでした。それ以来遠征の虜になりました。すべての都道府県を周ってみようと目標を立てたんです」
 マイカーにマイボートを積んでの旅。初日は現地まで移動した後、出港できるゲレンデ探しや地元の釣具店やボート店での情報収集を行い、ボートフィッシングは翌日の早朝から。それも昼過ぎには沖上がりして、次なる県へ移動する。真冬以外はテントで寝起きするが、悪天候の時はマイカーで寝ることもしばしば。
 「訪問する先々で様々な思い出ができました。フェリーで旅した沖縄遠征では関東ではまずお目にかかることができない魚とも出会えましたし、人との出会いにも思い出がたくさんあります。とにかく全国周遊は感動の連続でした。日本は国土の面積が小さい割に、海岸線はとても長く存在します。そしてそこには美しい景色が無数にあります。ボートを浮かべることで、海側からその景色を眺められることに至福の喜びを感じました」
 小野さんはいま、「日本周遊」を再び目標に掲げ、釣りを楽しんでいる。今度はどのような出会いや感動があるのだろうか。



ヤマハニュース

「ボートショー 2013」に1,000組2,000名様ご招待!
3/7(木)~3/10(日)、パシフィコ横浜で開催されます。
http://global.yamaha-motor.com/jp/boatshow2013/

「シースタイルマリン塾」 操船、離着岸、ボートフィッシングなど
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるレッスンのご案内です
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/index.html

ボート免許更新お知らせサービス(無料)
免許の更新時期をメールでお知らせ。免許をお持ちの方ならどなたでも
https://www2.yamaha-motor.jp/marine/license/announce/index.asp


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【編集航記】
ヤマハでは3月7日から開幕する「ジャパンインターナショナルボートショー」に1000組2000名様をご招待する入場チケットプレゼントをホームページで行っています。もし外れたら? なんとボートショーの公式サイトで半額チケットが無料でダウンロードできます。またボートショー本部ではさまざまな海体験が抽選で当たる楽しみなキャンペーン「海コトフェスティバル」(http://www.marine-jbia.or.jp/boatshow2013/)も実施しています。そちらもぜひチェックを!
(編集部・ま)
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