ソルティライフ ソルティライフ
ソルティライフ ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN ノー・プロブレム!の国
キャビンの棚 セーターに込められた、男の生き様と女の愛「海の男たちのセーター」
船厨 とれたての新鮮な鱈で作る「たらこご飯」
海の博物誌 廃船まで変わらない「船検ナンバー」
Salty One Day Boating 鳥と一緒に空を飛んだ!
YAMAHA NEWS 「ボートショー 2013」出品艇・ブースのご案内/フィッシングボート「FG-40HP」新発売/フィッシングボート「YF-24 F200」新発売/「シースタイルマリン塾」 操船、離着岸、ボートフィッシングなど/船外機サイトが見やすくリニューアル!
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MONTHLY COLUMN
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 仕事で付き合いのあった青年が、ある日、勤めていた大きな会社をすっぱり辞めてしまった。そして最近、facebookで彼の様子を知った。ジャマイカに住んでいるらしい。海が好きだった彼は今、農作業の手伝いをしながら暮らしているようだ。
 最近の流行りの細めのスーツをかっこよく着こなしていた姿しか知らなかったので、そんな大胆ともいえる彼の奔放な行動は僕をえらく驚かせた。
 僕も一度、ジャマイカに行ったことがある。そのときに、いろいろなことを感じた。
 キングストンの海辺ではボートで遊んだ。近くの無人島まで行って楽しく過ごした。
 ボーティングを愉しんだ数日後、北岸のリゾートエリアに宿を移した。外の世界と隔離されたリゾートの中にいる限り、どこの国にいるのかわからなくなる。利用客はアメリカ人が圧倒的に多い。ボブ・マーリーを聞きながらジャマイカ産のラム「アプルトン」で酔う。そうでもしないとジャマイカにいるのだということを忘れそうになる。
 コバルト色に染まる海、緑に覆われ白砂のビーチを抱く美しい島々。カリブ海はシーマンにとって憧れの海であることは異論を待たない。しかし、歴史が物語るその海の特異性は、時に重みを伴う。
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 15世紀の終わりに、カリブ海の島々はコロンブスの2度にわたる航海において、発見された。複雑な歴史の幕開けだ。以降、5世紀の永きに渡り、欧米の植民地主義や帝国主義による支配、収奪の影響を強く受けてきた。
 レゲエとラムの国、ジャマイカも例外ではなく、1494年、コロンブスの第2次航海で発見された後はスペインが、さらに約150年後の1655年からはイギリスが統治してきた。原住民だったアラワク・インディオは現在、一人として残っていない。
 スペイン人の統治後、過酷な労働や疫病が原因で、わずか50年で絶滅してしまったアラワク・インディオは、ジャマイカを「ザイマカ」と呼んでいた。「木と水の大地」を意味するその言葉は、大古に大陸から新天地を求めてこの島に漂着したといわれる彼らの、希望や夢をそのまま表す。日本の秋田県ほどの面積の小島だが、標高2256mを頂点とするブルーマウンテン山脈がそびえ、山々から海に注ぐ川は120本はあるという。
 そして、現在、国民の90%を占めるアフリカンは、奴隷としてこの島にやってきた人々をルーツとしている。現在も貧富の差は激しく、犯罪も多く、様々な社会問題を抱えている。
 事前に調べておいたそんな国の背景を、僕は、キングストンのホテルとレストランを往復するとき、そして移動中の車の窓越しに見た、一部の廃れた街の景色からしか感じ取れていない。その車の窓は、そのまま日本人とジャマイカ人との隔たりを表しているのだろうか、などと思ったりする。
 僕が滞在していた間に行動を共にしたジャマイカ人は、よく笑ういい男で、それが「救い」だった。何かといえば「ノー・プロブレム!」という言葉を発した。ジャマイカ人が好んで使う言葉だ。数日滞在しているうちに、「ノー・プロブレム!」という言葉が、すっかり仲間内で窓ガラスを打ち破るまじないのように飛び交っていた。
 ジャマイカに渡った青年は、僕とは違って少なくとも車から降り、現地の友人を作り、元気そうに生活している。時に高熱で苦しみ、かなり心細い体験をしたこともあったようだ。そして、彼らの生活に溶け込みながらいろいろなことを感じていることがfacebookからうかがえる。きっと数え切れないくらい「ノー・プロブレム!」という言葉を耳に、口にしているはずだ。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「海の男たちのセーター」
発行:日本ヴォーグ社
著者:福のり子
定価:¥3,500(税込)
 「ガンジー」というセーターをご存知だろうか。英国の厳しい海で生きてきた漁師たちが古くから着用してきたセーターだ。30%の水分を含んでも「湿っている」とは感じさせないウールで編み込まれ、船上での動きを妨げないためにどちらかというと身体にフィットするようにデザインされている。作り手は漁師の妻たちだ。夫の海での無事を願い、愛を込めて編んでいく。だから同じ編み模様のセーターはほとんどない。ある漁師が海に落ちて運悪く海で亡くなったとき、遺体が身に付けていたガンジーの模様で身元が判明したことがあるという。
 古い漁師たちはこのセーターを海の男の正装としてみなしていたようだ。休日用のベストタイプのガンジーがあり、教会の礼拝やあるときは結婚式などにもそれを着て集まったらしい。
 そんな蘊蓄が詰め込まれた「海の男たちのセーター」(第1版1989年)が、復刻版となって発売された。著者は京都造形大学教授の福のり子さん。羊毛について学ぶために渡豪した経験も持つ。
 様々なガンジーの故郷を尋ねる紀行形式の体裁が取られているが、セーターの研究書のようにも紀行文のようにも楽しめ、海辺の写真も素晴らしい。ひとつひとつのセーターの裏側にある漁師たちとその妻の生き様までが読み取れる。
 近年、素晴らしい化学繊維が生まれ、海で着るウェアもかなり様変わりした。だが、「海の男たちのセーター」を読んで、何か大切なものをすっぽりと忘れていたような気にさせられた。



船厨
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 新しい船を得てようやく漁業を再開した宮城県雄勝町の漁師さんから、刺し網で獲ったマダラをいただいた。一時期、県内全域で出荷規制の対象となっていたが、今年の1月にその規制も解除された。
 東北地方には「鱈のじゃっぱ汁」など、鱈を利用した郷土料理がいくつかある。鱈は寄生虫がつきやすいことと、鮮度が落ちるのが早いため、鯖などと同じく刺身が流通することはほとんどないが、産地では、刺身で食べることもあり、実はこれがなかなかうまい。
 また、卵巣(たらこ)や精巣(白子)も美味いことで知られる。宮城では白子を「きく」と呼び重宝している。
 パンパンに膨れたメスのタラの腹を割き、卵巣を傷つけないように気をつけながら取り出した。かなりな大きさで、スーパーで売られている「たらこ」とは親魚の種類も大きさも違うことに改めて気づかされる。
 醤油付にして冷蔵庫に寝かせ、翌日にいただいた。熱いご飯に良くあって、美味かった。若い頃はマグロ船に乗ってメキシコ沖で操業していたという、根っからの海好きな漁師さん。そんな人が再び船を得て、荒れ模様の海で嬉々として獲ってくる鱈が美味くないわけがないのだ。
「たらこご飯」の作り方
■材料
鱈の卵巣、醤油600cc、酒100cc、みりん100cc、塩少々
■作り方
1)醤油、酒、みりん、塩少々を鍋で一煮立ちさせつけ汁を作る。
2)タラの卵巣に切れ目を入れ、ひっくり返すようにして中身をボールに取り出す
3)血の塊などの汚れをはしやスプーンで取り出す。
4)よくさました漬け汁と混ぜ合わせ、ラップをして一晩冷蔵庫に寝かせる
5)ご飯に盛って出来上がり。もちろんそのままでも素晴らしい酒の肴になります。



海の博物誌
 港に浮かんでいる船をよく見ると、どの船も数字が並んだ銀色のステッカーを貼っているのに気がつくはず。自動車に乗る人はいつも、車検証と自賠責保険の証明書を持っていなくてはならないが、船の場合も船舶検査証書、船舶検査手帳、船舶検査済票を携行するよう法律で決まっている。
 船の両舷に貼ってあるのは、このうちの船舶検査済証、通称「船検ナンバー」である。向かって左端の大きな数字は検査を受けた年を表しており、この部分は6年ごとに変わっていく。続く3桁が最初に検査をした事務所(支部)の番号、ハイフンの右はその事務所での順番を示しており、このふたつの部分はその船がある限りずっと変わらない。
 そして、いよいよ廃船にしたときには、検査証書、検査手帳とともに「小型船舶検査機構」へ返す手続きをしなければならないのである。



Salty One Day Boating
真鶴沖の「ブリトップ」。釣り好きの人でなければ何のことやらわからないかもしれない。神奈川県真鶴岬や初島周辺は、魚が豊富で、年間を通してブリ族(ブリやワラサ、イナダ)の格好の捕食場となっている。「ブリトップ」とはそんなブリ族が小魚を追って海面をボイルした状態を探しだし、トップウォータープラグを使って釣り上げる釣りだ。そんな話を知ってから、小欄は2年ほど真鶴に通い続けているのだが、これが思っていたより簡単にはいかないのだ。でも、だからこそ楽しい。夢と呼ぶにはあまりにもささやかすぎるが、「トップウォーターでブリを1本」は、ソルティ編集部のここ数年の目標だったのだ。

 真冬の真鶴。2月のこの日は少々北西風が強かった。でも波はたいしたことない。それほど沖に出るワケでもないし、問題ないだろう。YF-21の舫を解いて港を出た。
 これまで、釣りといえば東京湾のシーバス一辺倒だったこともあって、オフショアフィッシングの事情に疎かったこともある。それでも、シイラ狙いで西伊豆、館山や平塚、真鶴でシースタイルを利用しているうちに様々な情報を耳にし、21フィートクラスのレンタルボートでマグロだって狙えるのではないかと思い始めた。真鶴のブリトップの話を聞いて新鮮な興味を抱いたのは2年ほど前だ。それから、冬の間(編集スタッフのかなり個人的な理由で渓流シーズンがオフになる季節というのが真相)真鶴でブリを追うようになった。
 といっても釣れればいいってものじゃない。自分で操船して自分でナブラを追い、自分でキャストする。そのことにこだわりたかった。遊漁船をはじめ他船のお世話になる道を閉ざして、釣り好きの仲間や釣り具店、ネットなどで情報を収集した。
 ところがどうしても断片的な情報しか得られない。「ナブラ自体なかなか出ない。1日中海にいても何も起きないことすらよくある」「ナブラだけは効率悪いから合間にジギングをしながら」とは仕事仲間の釣りドルさんたちのお話。「ナブラでなくてもイイから空高く鳥が飛んでいたらその下をキャスト。レンジは5mぐらい」という某有名釣り具店のアドバイス。「ぷかぷか浮かんで休んでいる鳥の群れにそっと近づいてキャストしたらマグロが釣れた」とはシーバスの日本記録を保持する女性アングラーの話。これらを念頭に海に出るのだけれど、結局、ナブラに合うことなく2年間、ブリからは見離されている。
 そしてこの日も午前中は何も起きない。たまには陸で昼飯でも食おうということになってマリーナに戻ることにした。真鶴は釣り場とマリーナが近いのでこういうことも気軽にできる。

 マリーナから100メートルほど離れたところにある「魚伝」の暖簾をくぐった。「鰺」と「味」にこだわる店だという。「鰺丼」と「鰺のまご茶漬け」をオーダーした。セットで「鰺餃子」がつき、オマケだと行って鰺の干物をだしてくれた。なるほど、どのアジも旨い。なんだか、午後はいいことが起きるような気がしてきた。
 午前中はうまくいかなかったが、この日はいつもと違う予感はあった。遊漁船には乗らないと誓ったものの、ホームページでちゃっかりと情報だけは拝借させていただいた。小欄の釣行の4日前のナブラの動画があがっていたのだ。一瞬映った背景の景色から大まかなエリアを知ることができたのである。そして、時間も。
 これまではあまりにも広範囲を探りすぎていたような気がする。今回はエリアをある程度絞り込み、おおよその時間も察することができ午後2時過ぎに狙いを定めていた。余裕をカマしてまご茶漬けを食べにいったのもそんな理由からである。
 「きょうも何にも起きないなあ」
 ボートで海の上をだらだら、ぷかぷか漂っていると、一羽のかもめがそばにやってきた。オモシロ半分に持っていた蒸しパンをちぎって放り投げてみると夢中でついばんでいる。ところが突然、そのかもめがパンを無視して飛び立った。その先を見ると、どこから現れたのか四方八方から鳥が集まってくる。ついに鳥山を発見。
 エンジンのスロットルを開けた。波間を走る我々のボートの頭上を背後から飛んでくるかもめが次々と追い越していく。まるで一緒に空を飛んでいるような錯覚。この快感は、自分で舵を取らなくては味わえない。ここでもう目的の半分を果たしたようなものだ。
 ボートの船足を止め、スタンドに突き刺したロッドをとりだして、ベイトで沸き立つ海面めがけてキャストすると一投目でガツンというあたりが来た。ボートに引き寄せ無事ネットに収める。揚げてみたサカナはブリと呼ぶには到底及ばない、それでも普段釣っているイナダよりは少し大振りの紛れもない「ブリ」族のサカナであった。
 その後、ナブラは3回立った。1ヒットするもバラしてしまった。それでも興奮した。追い続けて、スカされ続けて、そしてようやくキャッチした一尾。ソルティライフにとって記念すべき一尾だった。

 帰りがけにスマートホンでフェイスブックを見ていたら「1日中海にいても何も起きないことすらよくある」と教えてくれた釣りドルさんの、壱岐の七里が曽根で釣った巨大なブリの写真が彼女の笑顔とともに掲載されていた。ロケ4日目にしてやっと釣れた1本とのこと。その嬉しさ、よくわかります。「サカナは小さかったけど、こちらもかなり強烈な幸福感に浸っていますよ」と独りごちた。


取材協力
真鶴マリーナ
〒259-0201 神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴1117
TEL: 0465-68-1201
ホームページ: https://marine.yamaha-motor.jp/sea-style/Common/Marina_Common.asp?marina_cd=80393405


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サーフェスをミノープラグだけで勝負
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快晴の真鶴。風は冷たいが最高の海
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何かが起きそうな予感をさせるこの日の海
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名所の三石では磯釣りを楽しむ人々
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こちらは今晩の肴を求めるイカ釣り船です
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魚伝で小休止。鰺丼は最高
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セットで着いてきた鰺餃子。イケます
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午後から再び沖へ。日が傾き、少し焦りも
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ついに鳥山。こちらの興奮度は水中の魚と変わらない
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釣れたのはフツーのイナダであった。でも嬉しい!
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帰りに湯河原の温泉で疲れを癒す



ヤマハニュース

「ボートショー 2013」出品艇・ブースのご案内
3/7(木)~3/10(日)パシフィコ横浜で開催です。
http://global.yamaha-motor.com/jp/boatshow2013/

フィッシングボート「FG-40HP」新発売
高出力ディーゼルエンジンを搭載した本格的なボートです。
http://global.yamaha-motor.com/jp/news/2013/0301/fg40.html

フィッシングボート「YF-24 F200」新発売
http://global.yamaha-motor.com/jp/news/2013/0301/yf24.html

「シースタイルマリン塾」 操船、離着岸、ボートフィッシングなど
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるレッスンのご案内です。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/index.html

船外機サイトが見やすくリニューアル!
取扱説明書やメンテナンスなどの役立つ情報満載です
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/outboard/


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【編集航記】
3月7日から「ジャパンインターナショナルボートショー2013」が開幕します。ヤマハでは例年通りハード、ソフトともに充実した内容で皆さまのお越しをお待ちしています。新しい免許教室やシースタイルの情報も登場します。会場で皆さまをお待ちしています!
(編集部・ま)
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