ソルティライフ ソルティライフ
ソルティライフ ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
イメージ
MONTHLY COLUMN 原風景に癒される
キャビンの棚 やんちゃな「海の女」に目が離せない 「村上海賊の娘」
船厨 馴染みの鯖をいつもと違った雰囲気で「サバとポテトのオーブン焼き」
海の博物誌 魚の視力と色彩感覚
Salty One Day Boating 塩釜の海と魚介を満喫
YAMAHA NEWS 「ヤマハ マリンジェット」2014モデル/「ヤマハ スポーツボート」2014モデル/操船から釣りまで「シースタイル・マリン塾」のご案内
12月の壁紙 『Salty Life』読者限定壁紙カレンダー

※お使いのブラウザでHTMLメールを表示できない場合は、こちらのサイトからもご覧いただけます。

MONTHLY COLUMN
イメージ
 実を言うと、いわゆる「マリン先進国」といわれるような国々のボート事情を語ることができるほど、経験は少ない。その分、東南アジアや西アジア、中米や中近東などで船遊びをする機会に恵まれてきた。心に残った水辺の風景はいろいろあるが、中でもベトナムはとても印象深い国のひとつだ。
 ベトナム北部のハロン湾はとても有名だ。この海の景色の素晴らしさは、多くの人が認めるところで、世界自然遺産にもなっている。
 一方、南部はマリンレジャーと結びつけるには少しばかり難しいエリアかもしれない。でも、釣り人が「水たまりさえあれば釣りをしたい」というのにも似て、豊富な水をたたえたエリアだけに、フネに乗りたくてたまらなくなる。
 南部はメコンを中心とした、36000平方キロメートルにわたる広大なデルタ地帯となっている。チベットを源流とするメコンは、全長4500キロメートルにわたる大河で、中国雲南省、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジアを悠々と流れ、ベトナムの海に流れ出ていく。
イメージ
イメージ
イメージ
 メコンデルタの中心的な町がミトーで、ここでは観光用のディーゼルエンジン付きのボートに乗ってメコン川クルーズが楽しめる。島にわたり、熱帯植物に覆われた狭い支流をベトナムのトラディショナルな櫓舟をこいで進みゆく。すっかり観光化された、ありきたりのツアーだが、それでも舟に乗るということは楽しいものだ。川面の風に暑さを忘れながら、網を張り、魚を獲る漁師の姿、海老の養殖場などなど、メコンの恩恵を受ける人びとの姿を垣間見るのだ。驚いたのはミトーの港には多くの外洋漁船が舫われていたこと。海へ出るには相当の距離を走らなければならないはずだが。中世の日本の航海者たちもタイやベトナムでは大河をさかのぼって港を求めていたことを思い出した。
 ホーチミンの郊外にあるドンナイ川に連れていってもらったことがある。この河川はサイゴンの中心部を流れるサイゴン川の本流であり、ここもまた、メコンデルタの一部である。のどかな川の岸辺に小さなレジャーセンターがあり、そこでボートをチャーターすることができる。
 川の周りは、時たま小高い丘があったりもするが、ほとんど平原で、見渡すと広々とした空しか見えない。放牧された牛、川縁で小舟をこいで遊ぶこどもたち、川の上に筏を組んで住み暮らす人びと。ここではわずかながらでも、ベトナムの原風景を眺めることができる。
 ミルクティーのような水の色。率直に言えば泥水だ。だが、これも汚染されたわけではないベトナムの自然な風景だ。こういう水は嫌いではない。
 「水の色は茶色だけど、これこそベトナムだね」と口に出してみると、ベトナムでずっと付き添ってくれていたファンさんは、「その通り!お前、わかっているな」と安心したように満面の笑みを浮かべていた。
 欧米や日本のようにスタイリッシュなボートで遊ぶわけではない。だが、ベトナムでは素朴な船遊びを満喫できる。そしてアジア独特の、決して洗練されてはいない水辺の風景。
 誰もが感じうる美しい風景は確かにある。だが、考えてみれば、自然の美しさとはありのままの姿にほかならない。だから、ベトナムに悠々と水を運ぶメコンの泥流は、また美しい。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
イメージ
『村上海賊の娘』
発行:新潮社(上・下刊)
著者:和田竜
定価:1680円(上下刊ともに)
 本州と四国を繋いだ「しまなみ海道」は美しい瀬戸内海の島々に橋を掛け渡している。その島のひとつ大島には「村上水軍博物館」がある。目の前に浮かぶ能島に村上武吉は城を築いた。
 戦国時代に恐れられた村上水軍は海賊である。海賊というと、一般に好き勝手に略奪行為を働く極悪非道の面々を思い浮かべるが、村上海賊衆はそうした一般的な海賊のイメージとは少々異なる。村上武吉は、おのおの自分勝手に略奪行為を働いていた海賊たちを秩序ある海の集団にまとめあげた。瀬戸内海において独自に航行ルールを作り、航行する商船から通行税を取り立て、安全な航海を保証した。また、逆にルールを無視する船に対しては容赦なく攻め立てた。
 こうして組織的に育てられた海のプロフェッショナルたちは、航海術と海戦術に長け、戦国武将にも用いられることになる。
 「村上海賊の娘」は、村上海賊の姫、景を主人公に水軍の活躍をいきいきと描いた戦国時代活劇。海戦の模様も見事。白石一郎の小説と同じく、日本人と船との関わり、その濃さを、改めて感じることができるかもしれない。
 もちろん小説としてのおもしろさも飛び抜けている。なんと言っても主人公の景は魅力。醜女であり、背が高く、南蛮人のような容姿、単細胞で度胸のある戦好きという設定で、読めばきっと惚れ込む。その姿は現代ではいわゆるやんちゃな美人を想像することができる。
 景に限らず、登場人物がいずれも魅力的で、時代物、戦史物が苦手な人でも、楽しくて仕方がない小説になること請け合いである。



船厨
イメージ
 サバは我々日本人に馴染み深く、イワシやサンマと並んで国民食といっても過言ではない青物である。代表的な料理では塩焼き、鯖味噌、しめ鯖、鯖寿司などがすぐに思いつく。最近取り上げたばかりの「サバ缶」もまた、人気がある。
 こうした日本で人気の魚を、洋風にアレンジして食べたいと思う時、いつも思い出されるのはヨーロッパの西の果て、ポルトガル。ポルトガルは魚食が一般的で、例えば魚屋さんやレストランなどでも鯖はもちろんイワシ、アジ、スズキ、タラ、イカ、タコ、エビなどの魚介が普通に並んでいる。そして調理してワインと一緒にいただく。調理の仕方もシンプルで、炭火焼きは人気だ。
 魚食普及に情熱を燃やすある方が「最近はガスコンロが汚れるのが嫌で魚を焼くのをためらう若いお母さんが増えている」と嘆いていた。実際にいるのだろう。そんなお母さんたちには、テフロンのフライパンなどで焼く調理法をおすすめしたい。洗い物だってそれほど苦にならない。そしてちょっと違った調理法を試す。海塩ではなく岩塩を使って、オリーブオイルやハーブを使うだけで、いつもとは違う雰囲気の魚料理が出来上がる。ワインにもぴったり。魚のある食卓の雰囲気ががらりと変わる。
 今回は、少しだけ時間をかけてポテトといっしょに鯖をオーブンで焼いてみた。主食はご飯ではなく、パンで。

「サバとポテトのオーブン焼き」のつくり方
■材料
鯖2尾、じゃがいも4コ、たまねぎ1コ、ミニトマト8~10コ、ミックスハーブ大さじ1、にんにく2片
パルメザンチーズ大さじ2、パン粉大さじ2、オリーブオイル・塩・コショウ適宜

■作り方
1)じゃがいも、たまねぎは一口大に切り、トマトは4等分に切る。にんにくは薄切りにしボウルに入れ、ミックスハーブと塩、コショウを混ぜておく。
2)鯖は頭とはらわたを取り3cmくらいのぶつ切りにし塩を振る。
3)1の野菜と2の鯖をオーブン皿に混ぜながら並べる。
4)パルメザンチーズとパン粉を振りかけオリーブオイルをまわしかける
5)皿のふちから水を入れ、200℃のオーブンで60分ほど焼く。
※今回は見た目重視で輪切りにしてみましたが、三枚におろした切り身をぶつ切りにした方が食べやすいはずです。




海の博物誌
 釣り人と話をする時、魚にはルアーがどのように見えるのか、ルアーの色を本当に識別できるのか、といったことが話題に上ることがある。それぞれ持論を展開するわけだが実際はどうなのだろう。
 魚の視力、色の識別能力は魚の種類によって異なるそうである。
 池の鯉を対象にした実験について聞いたところによると、それぞれ色の異なる皿のうち決まった色の皿で餌を与え続けていると、鯉は餌が入っていなくても決まった色のさらに集まるようになるそうだ。つまり色の見分けは出来ることがわかる。とはいえ、先述したように魚の種類によってその能力には差がある。鯉は比較的、色の識別能力に長けている方で、例えばルアーフィッシングの代表的な対象魚の一つ、スズキの場合は色彩能力がかなり貧弱なのだそうだ。
 視力はというと一般的には人の1/5から1/10程度。かなり近眼ようだ。 
 では、ルアーフィッシングの時、どのようなルアーが対象魚にアピールするのか。そのあたりは、ご自分でじっくり考えてみてよう。楽しくて時が経つのも忘れるから。



Salty One Day Boating
未曾有の震災から2年半が経つ。当時、大きな打撃を受けた東北の海だが、その中でも塩釜のシースタイルのホームマリーナ・北浜マリンベースは、いち早く復活して営業を再開した。比較的被害が少なかったとはいえ、やはり、ひとりでも多くの人にこの素晴らしい海で遊んで欲しい、そんなスタッフの方々の情熱があったからだと思える。その塩釜の海を楽しんできた。

 塩釜と言えば、知る人ぞ知る、豊饒の海を目の前に抱える日本でも有数の漁港である。仙台沖は「世界三大漁場」に数えられるほど、豊饒なのだ。そのことはプレジャーフィッシングにおいても変わらない。年間を通してさまざまなボートフィッシングを楽しむことができる。さらに、塩釜の目と鼻の先には松島がある。ここは「日本三景」の一つに挙げられる景勝地として知らぬ人はいない。
 塩釜を訪れたのは10月の下旬。この季節はジギングでワラサ釣りが楽しめる。北浜マリンベースに着くと、さっそくYF-23EXで亘理沖のポイントを目指した。北浜マリンベースのシースタイルの航行範囲は利用者の所持免許に準じているため、1級免許があれば、亘理沖への釣行も可能なのだ。
 ポイントへは1時間ほど走って到着。魚探を見ながらポイントを探る。水深は40mほど。当たりを付けてジグを落とし込み、ワンピッチジャーク、スローピッチジャーク、またはその組み合わせ、ときおりルアーを変えながら、その日のヒットパターンを探す。が、実はパターンを見いだす暇もなく、いいサイズのワラサがヒット。
 とにかくよく釣れるのである。「これだけ釣れると面白くない」という贅沢な人もいるかもしれない。しかし、ちょっとしたコツさえつかめば、子どもや初心者でも、ぶり族特有の強烈な引きを楽しめるからファミリーフィッシングにも最適。実は、このポイントで釣りを楽しむのは3度目なのだが、3度とも同じような体験をしている。まさしく1級ポイントなのだ。
 もちろん、塩釜沖の釣りはワラサだけではない。近場でシーバスやアイナメなどのロックフィッシングを楽しむこともできるし、タラを対象にしたディープフィッシングも楽しめる。夏場はシースタイルでカジキを釣ることだって可能だ。
 半日にかけて釣りを楽しみ、帰りは松島湾に入ってクルージングを楽しんだ。
 波穏やかな松島湾には俗に八百八の島が浮かんでいるといわれている。松島の船着き場や塩竈港からは頻繁に観光船が出入りして水面に白いウェイキを引いている。数多くの島々に一つ一つ名前がつけられていることには驚くばかりだ。ひとつひとつ異なる岩の形、餌を求めて追いかけてくるカモメを観察したり、穏やかな島影に現れる牡蠣の養殖筏の群れを見つめていたりすると、改めて、沖の海とはまたひと味違った海の豊かさとめぐみを感じることができる。
 陸に上がれば、また別のとびきりの楽しみが待っているのも塩釜の魅力だ。なんと言ってもその筆頭は新鮮な魚介だろう。出港前の早朝に市場に出かけてみるのも楽しい。浦霞という素晴らしい地酒もある。
 塩釜を楽しむにはワンデイボーティングでは足りないかもしれない。


取材協力

くろしお・北浜マリンベース
〒985-0003 宮城県塩竈市 北浜4-71-10
TEL:022-365-3220
ホームページ: https://marine.yamaha-motor.jp/Sea-Style/Common/Marina_Common.asp?marina_cd=80307346


イメージ
イメージ
イメージ
亘理沖での釣果。このサイズのワラサが面白いように釣れる
イメージ
ワラサに混じってサバやヒラメも同じタックルでヒットしてくる。まさしく豊饒の海
イメージ
俗に八百八の島があると言われる松島。実際には大小260あまりとのこと
イメージ
松島沖を快走。島々のおかげで景色がめくりめく。絶好のクルージングロケーション
イメージ
奥松島まで航程を伸ばせばこんな景色も楽しめる。嵯峨渓
イメージ
塩釜の仲卸市場は朝3時から(日曜・祝日は6時から)。14時まで東北の魅惑の魚介がここに集まる。場内の食堂もおすすめ。土日はご飯の販売も
イメージ
塩釜にあがる魚介をふんだんに使った寿司は絶品。シースタイル・スタッフおすすめの大黒寿司の上寿司
イメージ
松島は有名な牡蠣の産地。焼きたての牡蠣の食べ放題コースなどもある
イメージ
塩釜の地酒、浦霞の醸元、佐浦。酒の販売、酒器も展示。試飲もできる



ヤマハニュース

「ヤマハ マリンジェット」2014モデル
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/marinejet/

「ヤマハ スポーツボート」2014モデル
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/boat/sportboat/

操船から釣りまで「シースタイル・マリン塾」のご案内
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるボートレッスンです
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/


今月の壁紙
『SALTY LIFE』読者限定
12月の壁紙カレンダーはこちらからダウンロードできます。
イメージ


バックナンバー
『SALTY LIFE』のバックナンバーはこちらからご覧になれます。


【編集航記】
あっというまに12月です。毎年、Tadamiさんのクリスマスのイラストを楽しみにしている読者の方も多いのではないでしょうか。今年はいつもはソリを引っ張るトナカイが、ボートにウェイクボートを引かせて楽しんでいます。このイラスト同様、来年もいろいろな人(動物?)にマリンレジャーを楽しんで欲しいです。よいクリスマスを。
(編集部・ま)
ソルティライフ公式Facebookページ 「Yamaha Motor Nautical Mile」

■ 『SALTY LIFE 』について
メールマガジン配信サービスにご登録いただいているお客様に定期的に配信するマリン情報マガジンです。
■ お問い合わせに関するご案内
『SALTY LIFE』は送信専用のアドレスより配信しております。
「配信の停止」についてはhttps://www2.yamaha-motor.co.jp/Mail/Saltylife/をご参照ください。
お問い合わせに関しては、marine_webmaster@yamaha-motor.co.jpまでご返信ください。
※お使いのブラウザでHTMLメールを表示できない場合は、こちらのサイトからもご覧いただけます。
ページトップへ
『SALTY LIFE』
〒438-8501 静岡県磐田市新貝2500
発行:ヤマハ発動機株式会社


Copyright(C) 2013 Yamaha Motor CO.,LTD. All rights reserved.
掲載文章および写真の無断転載を禁じます。