ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
A HAPPY NEW YEAR 2014
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MONTHLY COLUMN 市場とご馳走
キャビンの棚 ヘミングウェイの秘密がさらけだされる「海流のなかの島々」
船厨 東北の牡蠣よ甦れ「牡蠣チゲ」
海の博物誌 海の誕生
Salty Who's Who 不屈の闘志でカジキを追う
YAMAHA NEWS 登場!シースタイル・ハワイ/「シースタイルマリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど
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MONTHLY COLUMN
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 クリスマスから正月にかけて、かなり美味い食事続きで楽しく年末年始を過ごされた方も多いのではないだろうか。
 ボートやヨットでのクルージングの楽しみのひとつに、立ち寄った港での「出会い」がある。もしかしたら美しい女性との出会いであったり、強面だけれど気のいいの漁師さんであったり、また趣味を同じくする同士であったり。美しい景色との出会いもあるかもしれない。涙を流させるほど美しい朝靄であったり、この世とは思えない夕陽に染まった空であったり。
 だが、僕の場合の楽しみは「美味いもの」との出会いに尽きる。
 経験上、「美味いもの」は人々を心底幸せな気持ちにしてくれる作用がある。酒が無くても、美味いものが食卓に並べば、人はまるで酒に酔ったかのように饒舌になるから不思議だ。笑い声も絶えない。たとえクルージング中でなくとも、またあいにくの荒天であったとしても、ご馳走はきっと、マリンライフを豊かなものにしてくれる。
 ところで「ご馳走」の言葉の意味をご存じだろうか? 文字通り、「馳走」とは走ること。これは料理人が、走り回って食材を集め、お客様をもてなすことから生まれた言葉なのだそうだ。つまり「ご馳走」を作るとは、食材を走り回って集めてくることから始まる訳だ。ボートやヨットのオーナーならゲストに美味いものご馳走する、そしてそのために食材を探し回る。これも楽しみの一つになるはずだ。
 そこでおすすめなのが「市場めぐりから始まるご馳走作り」。とりあえず、時化で海に出られないようなことがあったら、気持ちを切り替えてホームポートに近い市場にでも出かけてみるといい。             
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 ほとんど同時期に沖縄県那覇市にある牧志公設市場と、北海道釧路市にある、「勝手丼」で有名な和商市場を歩き回ったことがある。これが同じ国の市場かと驚かされる。沖縄のカラフルな魚。北海道の桁外れに大きな魚介。もちろん共通点もある。まずは、おばちゃんたちが元気のいいこと。そしておじちゃんたちの魚に対する情熱。そして市場の空気。これは食材から発せられるオーラとでもいおうか。調理される前から旨味成分が市場中を漂っているような気がするのだ。おじちゃんやおばちゃんたちとの会話も楽しいく、いろいろと勉強になったりする。
 先日は塩釜の仲卸市場を訪ねた。ここには東北のうまい魚が集まってくる。マグロも水揚げされていて、「解体ショー」を楽しんだ。そして福島。
 昨年の秋、震災後自粛していた福島県南部の漁業が漁場や魚種を限定して試験操業を開始したという嬉しいニュースがあった。最初は7魚種計約1300キロがいわき市の港に水揚げされた。当日は13隻が出漁して底びき網漁を行い、およそ3年ぶりの水揚げに地元の漁師たちは大いに活気づいたそうだ。一日も早く通常の漁業が始まって、いわきの市場が賑わいを取り戻すことを祈る。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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『海流のなかの島々』
発行:新潮社文庫(上・下刊)
著者:アーネスト・ヘミングウェイ
定価:620円(上下刊ともに) 
 ヘミングウェイファンの「海流のなかの島々」の評価はいろいろと分かれる。素直に好きな作品としてあげる人は多いはずだ。ところがいわゆるコアなファンの中にはこれを彼の作品とは認めたがらない人もいる。
 「海流のなかの島々」は第二次世界大戦直後に書かれた。3つのパートに別れているが、本来は4部構成となっており、そのうちの第4部「老人と海」が独立した小説として発表され、高い評価を得た。残りの3部はヘミングウェイが自殺しておよそ10年後、妻であったメアリーらによって出版されたのである。ファン心理にしてみれば「この原稿が世に出なかったのはヘミングウェイが出したくなかったから。修正、加筆の途中だったから」と思うのはよくわかる。
 著者が亡くなったあと、どの部分が加筆され、修正されたのか、読者にはわからない。それでも、『美しくも凶暴な南海の自然、風と波にさらわれた白い流木、巨魚と闘う少年、不毛の愛を酒と官能に溺れさせる男女ーここにはヘミングウェイ最高の自然描写があり、我々の知る作者のすべてに加えて、生前さまざまな伝説に覆われていた作者自身の心の秘密がさらけだされている』との紹介文に嘘はない。
 深く考える必要はない。読めば南海の島々に身を置いているかのような錯覚に陥ることができる。文学というより娯楽小説として読む方が正しいのかもしれない。



船厨
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 市販のキムチチゲのスープに野菜を入れ、牡蠣を放り込む。なかなか相性がよくおすすめの一品だ。そして牡蠣をみながら、先日訪れた岩手県大船渡の風景を思い出す。
 岩手県の大船渡湾は良好な牡蠣の養殖地として知られる。特に大船渡市漁協の赤崎支所から出荷されるカキは高級品として築地市場でも人気の商品だった。
 ところが、津波によって養殖施設は壊滅してしまった。絶望の中に一筋の救いがあったのは、すべての漁船が流失したわけではなく、一部は修理によって再稼働することができたことだ。養殖を再開させた業者は半数ほどだったが、それでも復興を目指してすぐさま立ち上がり、頑張ってきた。
 昨年の10月、高級品として知られる大船渡・赤崎の3年ものの牡蠣が震災後初めて出荷された。築地での初値は5800円(1kg)という高値。応援、祝儀のこもった価格とはいえ、上々の滑り 出しに、大船渡の牡蠣養殖者たちには笑顔がこぼれた。出荷量はまだ震災前には及ばない。だが、来年には震災前の出荷量の100%に届くと見込まれている。
 リアス式海岸の奥まった地形となる大船渡湾はほとんど波風の影響を受けない。養殖期間中も牡蠣の脱落がほとんどなく、安心して3年ものの大きな牡蠣を育てることができる。さらに漁師は知恵を絞り、工夫を凝らし、丹精込めて良質の牡蠣を育てる。
 鍋の中でぐつぐつと音を立てて踊り出す牡蠣を眺めながら、そんな漁師たちの心意気や願いに思いを馳せてみよう。いつもより、少し美味しくなるかもしれない。

「牡蠣チゲ」のつくり方
■材料
牡蠣 400g、豆腐1丁、ねぎ1本、白菜1/4、大根1/4、春菊1袋、キムチ鍋スープ(市販)
■作り方
1)大根はいちょう切り、白菜、春菊はザク切り、ねぎはななめ切り、豆腐は3cmほどの角切りにする。
2)牡蠣は水で洗う
3)鍋にキムチスープを入れ、火にかけ、1の材料を煮る(好みにより酒を加えると辛味が和らぎます)
4)野菜に火が通ったら牡蠣を加え煮る




海の博物誌
 海の誕生は約38億年前といわれている。地球ができたのは約46億年前とされるから、もともと、地球には海がなかったということだ。その頃、火山活動やマグマの熱によって地球に存在していた水分が水蒸気として吹き出していった。分厚い雲だったのだ。
 その後、灼熱だった地球が冷め、その蒸気が雨となって降り注ぎ、低地に溜まっていった。それが何度も繰り返されているうちに水たまりは広大になり、海となっていった。
 なお、できたての海は今のように塩辛いのではなく酸っぱい味がしたはずである。地球から吹き出た塩素ガスは雨と一緒になって塩酸となり、強い酸性を示すようになり、酸っぱい味になったその後、海底の岩石に含まれる鉄やカルシウムなどを溶かし、徐々に海の水は酸性から中性に変化していった。
 その海から生命が誕生し、さらに最初の霊長類が現れたのは1億年から7千万年前だといわれる。今から45億年後、地球、そして海はどうなっているのだろうか。



Salty One Day Boating
突きん棒漁師
内川登志男
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 内川登志男さん(昭和23年生まれ)は決して特別な人、というわけではない。岩手県釜石市の尾崎白浜という小さな漁村に暮らし日々漁船に乗って三陸の沖に獲物を追っている漁師である。
 内川さんの漁に同行させていただいたのは夏も終わりに近づこうかという頃だった。獲物はメカジキ。カジキのなかでも最大級で、300kgを超える大物になり、その性格は獰猛とされている。それを銛で突く。いわゆる「突きん棒」と呼ばれる漁である。いや、漁というより「狩」に近い。
 根気、集中力、視力と勘、揺れる船から銛を投げて獲物を仕留めることのできる運動神経の良さ。カジキの突きん棒漁に求められるのは、これらの人間の能力だ。そして思うように動いてくれる船。
 普通の漁師、内川さんの生活が一変したのは東日本大震災。内川さんは「家も船も全部津波に持っていかれちゃったよ」と努めて明るく笑うけれど、新しい船で漁を再開するまでの道のりには、想像すらできない苦労があったはず。それでもへこたれなかったのは「やる気があれば何だってできるんだよ」と本人が語るように、強い意志、不屈の闘志、心意気があったからなのだろう。そんな内川さんにとって突きん棒はぴったりの漁法に思え、また「老人と海」の主人公・サンチャゴのようだな、とも思う。
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 「銛が手から離れても不思議なことに手応えがあるんだよ」と内川さんは漁の魅力を語る。そう、内川さんにとって漁は仕事でもあるけれど、獲物を追い、仕留める楽しさをその中に見いだし、海に出ているのだ。そんなところにも海の男としての魅力を感じさせる。
 釜石の突きん棒は、もともとは釜石に毎年やってくる千葉の漁船団からその方法を聞いた内川さんらが、率先して取り組み始めた。もちろん稼げるものならやってみようという意思もあったけれど、漁そのものに魅力を感じたからに他ならない。銛で巨大なカジキを突く勇壮な漁はテレビでも放映されることもしばしば。
 「それを見た甥っ子から連絡があって養子にしてくれと言ってきた。断ったけどね」
 少し自慢げに、嬉しそうに内川さんは語る。
 もちろん、季節のある漁なので通年を通してカジキを追うわけにはいかない。他にタコ籠漁、和船を使ってのウニ、アワビ漁などを行っており、これからは新しい漁にも取り組みたいと意欲的だ。
 「とにかく周年を通して漁に出て稼げる方法を見い出したい」
 内川さんにとっては、それが実現してこその復興なのだ。



ヤマハニュース

登場!シースタイル・ハワイ
ハワイのオアフ島でも楽しめるようになりました!
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marina/hawaii/

「シースタイルマリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるレッスンのご案内です。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/index.html


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【編集航記】
明けましておめでとうございます。新しい年を迎え、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。これまで、「真冬の海も楽しい」との主張を繰り返してきた編集子ですが、最近は少しばかり「やはり寒いの辛いよなあ」などと身体の奥から弱音がこぼれることがあります。もちろん、海に出て後悔はしないですけどね。今月中には海遊び開始の予定です。今年も素敵な体験を求めて大いに海を楽しみましょう。
(編集部・ま)
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