ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN 男だけの海
キャビンの棚 操業中のエンジン音までもが響いてくる「まぐろ土佐船」
船厨 アイルランドのおもてなし「アイリッシュコーヒー」
海の博物誌 冬の海には心温まるワッチキャップを
Salty Who's Who バーベキューのプロ、海に出る。
YAMAHA NEWS 「ヤマハ マリンジェット」2015モデル/「ヤマハ スポーツボート」2015モデル/女性限定!2級ボート免許取得コース/「マリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど
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MONTHLY COLUMN
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 中近東諸国のマリンレジャーというと、普通は真っ先にアラブ首長国連邦のドバイを思い浮かべる。ボートショーも盛大だし、豪華なヨットやそれらが並ぶ美しいマリーナなどをイメージするのは容易だ。だが、豊かな国が多い地域ゆえ、周辺国でも相当数の人々が、ボーティングを楽しんでいる。
 真冬にクウェートを訪れたことがある。他の中東諸国と同じく、クウェートの夏は、灼熱に見舞われる。日中の気温は40度を超え、時には50度に達することもある。さらに都市を猛烈な砂嵐が襲う。それでも冬は、夏とは対照的に快適だ。1日の平均気温は20度を下回る、とても過ごしやすい日々となる。つまりクウェートは、一年中がマリンシーズンであり、海こそがオアシスなのだ。
 クウェートの郊外・ヒランの、人造のラグーンにマリーナがある。外海に出れば、そこに碧く美しいペルシャ湾が広がる。
 そのときは「ほんの少しだけ海に出たい」と願ったにも関わらず、ボートのキャプテンとクルーたちはさらに沖の島まで行ってみようとしきりに誘う。時刻は午後の4時を回っていた。島に誘う理由は釣りだ。アラビア語まじりの難解な英語を駆使して、クルーは両手を大きく広げてエキサイトしている。どうやらとてつもなく大きなハタやイエローフィンが釣れるのだということがわかった。
 「釣り人と話すときは両手を縛っておけ」という諺は、クウェートでも通用しそうだ。

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 クウェートの市内にある「スーク・シャーク・シーポート」は大きなショッピングセンターとマリーナが隣接した複合施設だ。これも日本でもおなじみのスタイル。バースはいま、満杯の状態である。
 アラブといえば、オイルマネーに物を言わせ、豪華なサロンクルーザーを乗り回す富豪を思い浮てしまいそうになるが、このマリーナを見る限り、係留されたボートは堅実な25フィートから30フィートクラスが圧倒的に多い。ネイティヴのほとんどが国家公務員というこの国では、多くの人々が気軽にボートライフを満喫している様子がうかがえる。
 マリーナのすぐそばには、クェートの台所を支える市場があった。夕方、隣接する漁港から次々とその日の漁獲が運ばれ、定刻になると、盛大な競りが始まる。並べられた魚の中には、前日に話を聞いたばかりのハタやイエローフィンが混じっている。たしかにペルシャ湾の釣りは楽しそうだ。
 周辺諸国に比べて純粋にイスラム色の濃い、サウジアラビアにも訪れた。ペルシャ湾とはアラビア半島を挟んで反対側に広がる、紅海を臨むジェッダだった。ここも同じくいくつかの人造のクリークがあって、それぞれにマリーナやレストラン、別荘、ホテルなどが建ち並んでいる。
 意外なことにボートは欧米型のフィッシングボートなどよりも日本の和船のようなボートにコンソールを付けたシンプルなボートが多い。多くの人々がこれで釣りやダイビングを楽しんでいるとのことだ。特筆するとしたら、自らドライビングするオーナーもいるが、こうしたタイプのボートでさえ、フィリピン人やインド人など外国人労働者をキャプテンとして雇うケースが多いということ。
 そしてもう一つ。どこのマリーナにも女性が見当たらないのである。ボートに乗るのもほとんど男同士なのだとか。さらに、マリーナだけでなく、レストランに行っても、というより、日中に女性を見かけることは皆無といって良い。ある意味、潔いともいえるこの風景は、なかなか気分が良い。とはいえ、ドバイに戻って入ったカフェで、楽しそうにおしゃべりしている女性たちを眺めながらなぜかホッとしたのが正直なところ。
 とにかく、冬は港一面が雪景色になるような北欧や、残酷なまでの暑さに見舞われる中近東でも、人々は、日常生活では得ることのできない何かを欲して海に出る。そのことは興味深いことであると同時に、同じ海好きとして嬉しくなってくる。

※写真は上から2点がクウェート。下は民族衣装でボートに乗るサウジ・アラビアのマリン・シーン

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「まぐろ土佐船」
著者:斉藤健次
発行:小学館文庫
定価:617円(税込み)
 海に想いを馳せる男なら誰もが遠洋航海の夢を見る。クルーザーであれ、貿易貨物船であれ、漁船であれ、船に乗り世界中の海を巡ることは、身近な夢でありながらも限りなく遠い世界の話に聞こえる。多くの人が似たような夢を持ち、にもかかわらず現実の日々を送っている。だが、ふとした瞬間に日頃の生活について疑問を感じることはないだろうか。そこで新しい価値観を構築する。ある人は夢の実現といい、またある人は現実からの逃避という。
 『まぐろ土佐船』の著者、斉藤健次は日常の生活に疑問を感じ、新しいステップへと進んでいった。それも彼が選んだのはマグロのなかでも最上級といわれるミナミマグロを追う土佐船の世界である。
 マグロ船は荒れた海の中でも平然と漁をこなすことで知られる。遠洋漁船のなかでももっともハードな漁だ。その沖の生活にスポットを当てたのが『まぐろ土佐船』であり、時を経た現在でもマグロを追い続ける漁師たちの面影が浮かぶ濃密さがある。
 著者が言葉を飾ることなく、ありのままの視点で捉え、当時の漁師の面影が伝わるばかりか、操業中の船のエンジン音までもが響いてくる。
 不屈の精神と気さくな人柄。厳しい海象のなかでマグロを追う漁師たちの意気込みが淡々と、そして時には熱く表現されている。
 同書は2001年に初版が発行された。著者の斉藤健次さんは下船後、千葉県でマグロ居酒屋を経営するが、2005年にマグロ資源枯渇の現状をルポし、その危機的状況を問題提起した「俺たちのマグロ」を著している。10年経てもなお、そちらも興味深い。



船厨
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 アイルランドと聞くと、アイリッシュセーターやアランセーターを思い浮かべる。もう過去の話かもしれないが、トップサイダーのデッキシューズなどと並び、海の男の必須アイテムだった。元々は、寒い海で過酷な仕事に従事する漁師の妻が夫の安全を思いながら編んだとされている。
 そのせいか、アイルランドには、荒々しい海の風景だけでなく、「愛」だとか「情」だとか、どこか暖かなイメージもある。
 「アイリッシュコーヒー」もそのひとつだ。アメリカとイギリスを結ぶ飛行便の、給油を待つ乗客をもてなすために発案された飲み物だという。当時の飛行機は密閉されておらず、かなり身体が冷えたらしい。そこで身体を温めてもらおうと、コーヒーにアイリッシュウィスキーを入れ、サービスした。そこに、アイルランドの暖かな「愛」を感じるのだ。
 秋の夜長にしっくりはまるホットカクテル。デザート代わりに一杯いただくのもいい。
「アイリッシュコーヒー」のつくり方
■材料(1杯分)
コーヒー、生クリーム適宜、アイリッシュウィスキー30ml、砂糖適宜
■作り方
1)生クリームに好みの量の砂糖を入れホイップする
2)耐熱グラスなどにアイリッシュウィスキーを入れ、好みで火を付けてアルコールを飛ばす
3)2のグラスにコーヒーを注ぎ、その上に1の生クリームをのせて出来上がり
※好みで砂糖は入れなくてもOK。



海の博物誌
 南北に長い日本列島もいよいよ秋の気配が色濃く、既に北海道では一面の雪景色になっているとか。さて海上での防寒着の中でも、これが無ければ心許ないというアイテムのひとつが帽子である。特に北風が吹き付けるような中では、耳まで隠れるワッチキャップがありがたい。この手の帽子であるが、ワッチやビーニー、総じてニット帽から正ちゃん帽(ボンボン付き)まで、それぞれに名前がある。
 さて、これらのワッチキャップだが、正式には厳冬期にアメリカ海軍のセーラーがかぶる紺色の毛編み帽子がそれとなる。白い水兵帽と同様に帽子のすそを折り曲げてかぶるが、すそを下ろすと耳から襟足までが防寒できる。これはアメリカ海軍の発明品ではなく、漁師の防寒帽としての長い歴史から採用したもの。
 漁師つながりで言えば、日本の厳冬期の漁場では、しばしば目出し帽を被って作業をしている漁師の姿を見ることができる。この目出し帽の発祥はイギリスとソ連が戦ったクリミア戦争というから、今から約160年ぐらい前のこと。寒冷の戦地に赴くイギリス兵の妻達が編んだ、顔ごと覆うウール帽子がルーツだという。



Salty Who's Who
日本バーベキュー協会・公認インストラクター
内山芳一さん
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 ふとしたきっかけでソルティライフの編集スタッフと釣りに行きましょう、ということになった。ところが、約束した日は土砂降りといってもいい、あいにくの悪天候。横浜からボートを出したが、凪でもない限り、もともとこのあたりの波はいいとはいえない。ボートはどうしても波を叩く。それでも、免許を取ってシースタイルに入会したばかりの内山さんは、「こんな経験もなかなかできないから。かえって印象深い思い出になります」と気にする様子もなくステアリングをにぎる。
 バーベキューのインストラクターという「肩書き」が興味をそそった。
 「元々アウトドアが好きだったんですが、湘南の茅ヶ崎に越してきて、知り合いが遊びにくるたびにバーベキューのリクエストがあったんです。そんな中、たまたまテレビで協会の会長が出ているのを見て、そのテクニックを真似しているウチに、自分もやってみたら面白いかもって思うようになったんです。当初は“ウケ狙い”もありましたが“バーベキューでひと皮むけたい”というのもありました」
 その後は湘南バーベキュー協会としてインストラクターの検定を主催したり、地域や企業からの依頼を受けてバーベキューを実施したり、イベントに出店したり、さらにはテレビや雑誌にも登場するなど、インストラクターとして忙しい日々を送ることとなる。
 その内山さんのバーベキューに対する信条は、「バーベキューはコミュニケーション」。
 「日本でバーベキューといえば、“野外焼肉宴会”という枠から未だに脱せないでいます。もっとスマートな本来の楽しみ方があるということを、広く伝えていければと思ってます」
 内山さんには一人娘がおり、友だちの父親たちと飲んでるときに、ふとボートの話になり、一級船舶免許のことを聞いた。海の近くに住んでる身としては、ぜひ取ってみようと。家族で新たなアウトドアライフを体験できるのではないか、という期待がきっかけだったという。
 さて、いざ海に出てみると、ボートとバーベキューという遊びの組み合わせは、なかなか思うようにいかないのが実情だ。
 「地元では湘南ならではの海鮮バーベキューなども楽しみますが、たとえば釣りをして戻ってきときにレンタル会員でもバーベキューを楽しめる場があると、もっとマリーナという場所が楽しくオープンな雰囲気になるのかな、と思うのですが」
 これから家族でもっとボートで遊んでみたいという内山さん。単なる「野外焼肉宴会」をスマートで美味しい「バーベキュー」にしてみせたように、既存のボートオーナーが思いも付かないようなボーティングの新たな楽しみを作り出せるか。そんな情報をぜひ発信してほしいところだ。



ヤマハニュース

「ヤマハ マリンジェット」2015モデル
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/marinejet/

「ヤマハ スポーツボート」2015モデル
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/boat/sportboat/

女性限定!2級ボート免許取得コース
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/license/course/forwoman/

「マリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるレッスンのご案内です。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/



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【編集航記】
仕事場に飾ったカレンダーが随分と薄くなってきて、あと2枚しか残っていないことにきづきました。すでに来年のボートショーはどうするなどと、毎日のようにメールが飛び込んできます。というわけで今回は、ボートショーに関わるさまざまな情報が入手できる日本マリン事業協会によるボートショーの公式フェイスブックのページ(https://www.facebook.com/JAPAN.BOATSHOW)をおすすめします。「Salty Life」のフェイスブックページ共々、「いいね!」をよろしくお願いします。
(編集部・ま)
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