ソルティライフ
イラスト・Tadami
A HAPPY NEW YEAR 2015
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MONTHLY COLUMN  宇宙探索に匹敵する壮大な世界一周レース
キャビンの棚  海に生きる人々の明るさが染みる「海の物語」
船厨  贅沢な「伊勢海老のブイヤベース」
海の博物誌  水族館の原点は古代バビロニア
Salty One Day Boating  真冬の日常
YAMAHA NEWS  ビッグボート「EXULT38 CONVERTIBLE」スペシャルサイト/冬こそ「マリン塾」で操船・離着岸の腕を磨こう/ボート免許更新お知らせサービス(無料)
1月の壁紙  『Salty Life』読者限定壁紙カレンダー

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MONTHLY COLUMN
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Amory Ross/Team Alvimedica/Volvo Ocean Race
 小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げが話題になった。2014年12月に発射され、帰ってくるのは2020年。東京オリンピックの年である。往復の走行距離50億キロメートルといわれる何とも壮大な計画だ。
 ところで、なぜ、日本のロケットは種子島(鹿児島県)から発射されるのかというと、それは赤道に近いからだそうだ。
 地球は西から東へ向けて自転しているが、その速度が最も早いのは赤道直下。赤道が約4万キロだとしてそれを24時間で割ると、時速はおよそ1660キロとなる(音速より速い!)。その速度を利用して東へ向けてロケットを発射すれば効率がいいということらしい。
 種子島以外にもロケット発射の適地はないのか、たとえば沖縄はもっと赤道に近いのではという話もあるが、種子島宇宙センターが設置された1969年に沖縄はまだ日本に返還されておらず、種子島に白羽の矢が立ったという。
 さて、空から海へ視線を変えて壮大な試みを見れば、今まさに世界一周ヨットレースが行われている。およそ7万キロメートルを走破するこのレース、2014年10月にスペインのアリカンテをスタートし、約8カ月をかけてスウェーデンのイエテボリにフィニッシュする過酷なものだ。
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Stefan Coppers/Team Brunel/Volvo Ocean Race
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Ainhoa Sanchez/Volvo Ocean Race
 世界一周の定義がすべての子午線を通過するということならば、南極大陸を周回すればそれは達成できる。しかし、11の寄港地(スタート、フィニシュ地含む)、9つの区間が指定されており、それは不可能。南氷洋一周なんて危険でもあるしね。
 その速度はデイラン540マイルという記録からすると、速い時でおよそ時速22ノット(約40キロ)。瞬間スピードではこれをはるかにしのぐ速度が出ているのだろう。船のサイズは65フィートで、乗組員は8人~11人。レース中、乗組員は交代で休息を取り、船は走り続ける。今回は7チームが参加しており、女性だけで構成されたチームもある。
 驚くのは、この過酷なレースがネットの普及によって常時、陸上でウォッチできることだ。写真、動画、音声(インタビュー)、トラッキングシステムなどによりレース展開が詳細にわかり、臨場感あふれる映像でチェックすることができる。赤道無風帯のまったりした風景から南氷洋の氷山まで、地球一周の醍醐味満載映像のオンパレードだ。
 昔ならアームチェアセーラーと言えば本を紐解くヨット乗りだったが、今や、情報端末首っ引きでヨットレースを楽しむデスクトップセーラーになってしまいそうだ。
 このレース、以前はホイットブレッド世界一周レースと呼ばれ、20年前のレースには3人の日本人セーラーが参加したことがあった。その時はヤマハ号が優勝したのだが、フィニッシュして陸に上がったチーム唯一の日本クルー・小松一憲氏の碧い眼が、潮まみれの眉の下でギラギラに輝きつつも疲れ切っており、レースの過酷さが伝わってきて強烈な印象だった。
 最先端科学技術の結晶である「はやぶさ2」が宇宙を経巡るこの時代、世界一周ヨットレースもICTを駆使し、その舞台となる地球を小さなカンバスにしてしまう。そんなシーンに同時に立ち会えるのも、こんな時代に生きる恩恵かも知れない。

■ボルボオーシャンレース公式サイト:http://www.volvooceanrace.com/

豊崎 謙●とよさき けん
セーリング・ジャーナリスト。オリンピック、アメリカズカップ、世界一周ヨットレースなど日本人が活躍する内外のヨットレースを取材。(公財)日本セーリング連盟の発行する機関誌「J-SAILING」とブログの編集、執筆も担当。マリンジャーナリスト会議(MJC)、日本海洋記者クラブの創設メンバー。



キャビンの棚
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「海の物語」
著者:灰谷健次郎
発行:角川文庫
価格:560円(税別/電子書籍版)
 漁師の息子を主人公に海辺の町を舞台とした「海の物語」。児童文学と言われる灰谷作品の中でも、交友関係を物語の中心としているためか、著者が魅せる、時には残酷とも思えるような、えぐるような内面への問いかけが少ない作品だ。だからといって筆圧が弱く感じるかと言えば、そうではない。漁師の息子という主人公の視点と交友関係をしっかり押さえながら、現代社会が抱える問題点を登場人物によって明快に描き出している。
 「兎の目」「太陽の子」などに代表される著者の独特な語り口による問いかけは、読み手が時を経て年代を重ねても魂に響き渡る。もしあなたの周りに子供がいるなら、ぜひ一緒に読んでみてほしい。
 もし読了することができるなら、その子にとって「海を知る」一冊になるに違いない。



船厨
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 新年号にふさわしい食材を使いたいと思い、徳島県から伊勢海老を取り寄せた。届いた箱を開けると、おがくずが詰まっている。そっと手を差し込んでみた。伊勢海老の背中に触れたかと思うと、キイキイと音をたて、静かに動き出した。つかんで取り出し、テーブルに広げた新聞紙の上にのせると、勢いよく暴れ出す。そのまま包丁を入れるのにいささか気が引け、説明書通りに氷を張ったボウルに伊勢海老を沈めた。しばらくすると仮死状態となり、扱いやすくなる。
 氷水に揺らめく伊勢海老を前に、これをどう調理するか、大いに悩むところである。充分に新鮮なので刺身にもできる。味噌汁も定番だ。熟考の末、ブイヤベースにした。理由は「蒸し焼きは以前本コーナーで取り上げたことがある」という単純な話。
 とはいえ、かなり勇気のいる決断ではある。これまで、実はダッチオーブンで蒸し焼きにするのがもっともうまくなると信じていたのだ。なのにニンニクを使い、他の魚介の味をミックスしてしまっていいものか。
 それは杞憂に終わった。できあがって皿に伊勢海老を取り出し、身を剥がして口に放り込んだ。何でもそうだが、刺身にできる新鮮な魚介を料理すればうまいに決まっている。
 なお、すっかり平らげてから知ったのだが、ブイヤベースの生まれ故郷、フランスのマルセイユには「ブイヤベース憲章」なる作り方の決まりごとがあるらしい。それによると、具材も決まっているらしく、伊勢海老はオプションとして認められているが、タラは含まれていなかった。正しくはカサゴを使うらしい。ご参考までに。


「伊勢海老のブイヤベース」のつくり方
■材料
伊勢海老2尾、タラ4切れ、イカ1杯、ムール貝300g、玉葱1/2個、ワイン大さじ4、水400CC、コンソメ2個、ホールトマト1缶、ニンニク2かけ、サフラン少々、適宜、塩・胡椒少々、オリーブオイル適宜

■作り方
1)伊勢海老を縦に半分に切り、背わたを取りのぞく(伊勢海老が生きている場合は氷水にしばらくつけ、おとなしくさせてから)
2)イカは内臓を取り出し、皮をむき、流水で良く洗ってから輪切りにする。ムール貝は貝がらを洗う
3)玉葱を角切りに、ニンニクをみじん切りにする
4)鍋(今回は10インチのダッチオーブンを使用)にオリーブオイルを敷きニンニクのみじん切りを入れ、香りが立ったら玉葱を炒め、水とコンソメを入れる
5)大きめのフライパンにオリーブオイルを敷き、伊勢海老、イカ、タラ、ムール貝をソテーする
6)4の鍋に5を入れ、ワインを加え、ひと煮立ちした後にトマト缶、塩と胡椒を加え、弱火で伊勢海老に火が通るまで煮込む



海の博物誌
 デートスポットや家族でのレジャーでも人気の水族館。日本では人口あたりの水族館の数が世界一多く、それぞれに趣向を凝らして観る者を楽しませてくれる。東日本大震災で被害を被った「アクアマリンふくしま」もいまでは元気に平常営業。シーラカンスの研究で有名な水族館だが、ここでは親潮と黒潮がぶつかり合う常磐沖の海流とその生態的特長を再現した大型水槽があったりと、なかなか興味深い。
 さて、水族館の歴史だが、古代バビロニアのシュメールや中国の周の時代に、水の入った容器に魚を飼育していた記録があり、それが水族館の原点とされている。日本の水族館は1882年がその最初。第2回内国勧業博覧会に合わせ、上野に博物館や美術館と同時に動物園が開園。その一角に鑑魚室がつくられ、約15の水槽が並べられたそうだ。



Salty One Day Boating
夏の海は素晴らしい。でも、真冬の海もまたいい。同じことを毎年冬になると書いている。関東地方の海の場合、冬型の気圧配置は大西を呼び込んだりするが、それが崩れる前日など、とても穏やかな陽気になることがある。空気は冷たいが、陽射しそのものは優しくて、凪いだ海にボートを浮かべていると、他に船が少ない分、余計に幸福を感じたりする。

刻々と変わる空や海の表情を楽しむ

 小欄にとっては、よくあるボートで遊ぶ1日。最近は開通したばかりの高速道路のおかげで、相模湾がかなり身近になったことはとてもありがたい。この日も、ゆっくりと家を出て、真鶴のシースタイル・ホームマリーナ「真鶴ベイマリーナ」へと出かけた。
 狙いは冬のブリトップ。要はトップウォータープラグ(水面を泳がせるルアー)で、餌を追って表層に現れたブリを狙うのである。ナブラを前にしてエキサイトすること間違いなし、視覚的にも楽しめるのだが、簡単な釣りではない。前提として、ブリのナブラに出会わなくてはならないが、人によってはマグロを釣るよりも確率が低いと感じるときがある。ボートの舫を解き、海に出ていくときはかなり期待感が高まるものの、この日も、海は静かで何事も起きないような気がしてくる。
 魚に会いたい、魚が釣りたい。それでも、穏やかな海にいる時間は最高のひとときとなる。これを感じられる資質を持っていることはかなりありがたい。
 「午後になれば、鳥山も見つかるかな」と悠長に構えて、富士山の美しい、真冬の相模湾をのんびりと走る。
 この日は視界が抜群だった。きらきらと光る波の向こうに伊豆大島の島影がはっきりと見える。その横には、三角帽を伏せたような利島が小さく浮かんでいる。さらに平べったい島影。あれは、新島だね。引き波を振り返ってみればその先の富士山が美しい。ときおり、雲がかかり、その具合によって、「ほう」などと年寄りじみた嘆息を漏らしてしまう。
 目に入る物がすべて美しく、飽きさせない。そんな中で鳥山や海面のボイルを探しているわけで、一度もロッドを振らずとも、あっという間に時間がたっていく。


一羽の鳥からでも釣果に結びつく

 とはいえ、一尾も魚が釣れないのは寂しい。午後になって、ちょっと本気を出すことにした。トップでブリ類を狙う場合、やはり鳥山を見つけるのが手っ取り早い。ときおり、水面でぷかぷかと羽を休めている鳥がいれば、それだけでもヒントになる。それが5羽、6羽と多ければ多いほどよい。そのうち鳥たちが動き出す。同じ方向に向かって飛び立ったりする。餌となる小魚がそこにいるはずだと信じることにしている。水面ばかりに気を取られていると見落としてしまうこともあるが、例えば先ほどのように複数の鳥が同じ方向に飛んでいったとする。途中見失うこともあるだろうがそんなとき、少し視線を上に向けてみると、多くの鳥が空高く旋回しているときがある。その下にはまず、小魚の群れがあると見ている。たとえ盛大に鳥山ができなくても、その下の水面を観察していると、ブリが小魚を捕食しようと小さなボイルを見せることがある。
 今回はそのパターンで何尾かのイナダを手にすることができた。ブリは出世魚だ。人には「トップでブリを狙ってくる」と言っているけれど、実際には若魚のイナダばかり。ブリにはなかなかお目にかかれない。でも、魚探を使わず、この広い海で鳥の動きだけを頼りに魚を探す釣りは、かなり楽しい!
 満足して帰港。夕方になると、さすがに少し冷え込んでくる。釣った魚をマリーナで三枚におろし、ジップロックに詰めてクルーラーボックスへ。その後、隣町の湯河原温泉、そして伊豆に数店舗を構え、地場の魚介をネタに織り交ぜている、以前から気になっていた回転寿司に立ち寄ることにする。
 真冬の幸せな休日は、陸に上がってからも続く。


取材協力
真鶴ベイマリーナ
〒259-0201 神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴1117
TEL: 0465-68-1201
ホームページ: https://marine.yamaha-motor.jp/sea-style/Common/Marina_Common.asp?marina_cd=80393405


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くっきりと見える伊豆大島。これだけ視界が良くて凪という日はなかなない
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目に写るものすべてが美しく楽しい。決して大げさではなく
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初島、熱海の街並み、そして富士山
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きょうも「イナダ」。海に出続ければ、そのうちブリも出てくれるだろう
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この写真ではわかりにくいが空高く鳥が群れで舞っている。この下で僅かな水面の変化を探る
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ブリ狙いなのでちょっと大きめのタックルとルアー。イナダには少しヘビーすぎた
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湯河原の「いずみの湯」。素晴らしい日帰り温泉。朝11時から翌朝9時までという22時間営業が嬉しい。ホテルの付帯施設なので宿泊もできる(熱海市泉 107/ TEL: 0465-63-3721)
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回転寿司「花まる」。伊豆近海のキンメダイの握りはオススメ!(足柄下郡湯河原町中央1-1572-62/ TEL: 0465-60-3870)



ヤマハニュース
ビッグボート「EXULT38 CONVERTIBLE」スペシャルサイト
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/exult/exult38/

冬こそ「マリン塾」で操船・離着岸の腕を磨こう
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるレッスンのご案内です。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/

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どなたでもご利用いただける、メールでお知らせするサービスです。
https://www2.yamaha-motor.jp/marine/license/announce/index.asp



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【編集航記】
あけましておめでとうございます。さて、真冬の「One Day Boating」はいかがでしたか? 強がりでも何でもなく、地域差があるのは承知ですが、少なくとも、相模湾の冬は、なかなかいいものです。私もときおり編集の手を休めつつ、1月の予定とシースタイルの空き状況を見比べ、予約を入れようとしたら、すでにかなり先まで埋まっていました。みなさんのお気に入りエリアではどうでしょうか? 今年も昨年同様、「Salty Life」を引き続きご愛読くださいますよう、お願いいたします。
(編集部・ま)

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