ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN ● ヘミングウェイの季節、影と光。
キャビンの棚 ● 新人類が愛した夏の定番「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」
船厨 ● 飲み過ぎにご用心「ブラディ・メアリー」
海の博物誌 ● 好漁場の条件とは
Salty One Day Boating ● シースタイルのホームマリーナ主催によるフィッシング講座「ライト・タチウオ」
海の道具 ● 太陽の恵み
YAMAHA NEWS ● 免許を取ってすぐにレンタル「ボート免許とシースタイルW入会プラン」実施中/ビギナー必見!係船マニュアルで予習しよう!/ 「マリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど/シースタイル予約システム・会員ページが使いやすくなりました!
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MONTHLY COLUMN
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 アーネスト・ヘミングウェイは1899年の夏にアメリカのイリノイ州に生まれ、1961年の夏に、アイダホ州の自宅で自殺した。そのため、夏になるとヘミングウェイのことが、いつにもまして気にかかる。
 まず、7月2日に彼の命日がやってくる。筆者の誕生日とおなじであることから、忘れることもなく、彼の生誕を祝う前に、否応なしに、ノーベル文学賞を受賞した大作家の死に思いを寄せる羽目になる。
 ヘミングウェイが暮らしたキーウエストの家を訪ねたことが2度ある。いずれも茹だるような夏の日だった。
 土産もの屋やレストランが賑やかに並ぶキーウエストのメインストリートから少し外れたホワイトヘッドストリートに、現在は博物館となっているその家はある。
 敷地のあちらこちらには、当時ヘミングウェイが飼っていた猫の子孫たちが歩き回っている。その数は50匹以上。家に足を踏み入れると、ヘミングウェイが寝室として使っていた部屋のベッドにそのうちの一匹が眼を細め、背中を丸めて寝転んでいた。70年前に出て行ったきり姿を見せぬ飼い主を待ち続けているかのようだった。その悲しげな情景は、苦悩の末にたどり着いた文豪の死を連想させるアイテムでしかない。
 ただキーウエストの海は、彼の非業の最期を見せつける場所というわけでもない。ヘミングウェイがキーウエストに暮らしたのは61年の生涯のうち、11年ほどだ。その期間は短くはあるが、濃密であったと推測できる。
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 ヘミングウェイはここで「武器よさらば」「キリマンジャロの雪」「誰がために鐘は鳴る」といった代表作を著している。そしてここで、カジキ釣りに出会った。
 イリノイ州に生まれたヘミングウェイは父親から釣りの手ほどきを得て、自身も釣りへの造詣が深かったが、作家のジョン・ドス・パソスからすすめられ、本格的に外洋で釣りを始めたのはキーウエストに来てからのことだ。その後、カジキ釣りに魅せられたヘミングウェイはただ釣ることだけでなく、釣法と釣魚への思いにこだわり、後にIGFA(国際釣魚連盟)の設立にも関わることになった。キーウエストを出てキューバに移住した後、1952年に発表した「老人と海」では、ヘミングウェイが考える、人と魚、自然との関係について、我々に多くの示唆を与えてくれる。 
 ヘミングウェイが通ったバー「スロッピー・ジョーンズ」は彼の釣りの師匠のひとりでもあったジョー・ラッセルの店だ。その店は今も健在で、訪れる観光客にヘミングウェイが愛飲したフローズン・ダイキリを振る舞う。
 命日から2週間もたつと、誕生日である7月21日がやってくるが、この時期、スロッピー・ジョーンズでは、彼の生誕を記念した「そっくりさんコンテスト」が行われる。写真でしかその様子を見たことがないが、コンテストは今年も盛大に行われたようで、白髪に白鬚を蓄えた130名もの自称“そっくりさん”が参加した。写真で見た限り、そこには「非業の最期」という陰鬱なイメージを吹き飛ばす陽気さがあふれている。
 そっくりさんとヘミングウェイのハードボイルドなライフスタイルに親和性はまったくないように思われるけれど、やせ我慢をかなぐり捨ててヘミングウェイのような見た目になりたいと願う男はそれなりに多いのだ。
 文豪は消えてしまったが、その思いや彼を愛する空気はいつまでもキーウエストに漂っている。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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●「NIAGARA TRIANGLE Vol.2 20th Anniversary Edition」
レーベル:ソニー・ミュージックレコーズ
参考価格:¥2,160(税別)
 1980年代に放映されていた名物洋楽番組「ベストヒットUSA」(現在復活しているらしい)でDJを務めた小林克也が、21世紀になって「80年代は音楽的には不作と言ってよかった」という意味の言葉を吐露していたことがある。それほど否定的な意味ではなかったのだが、その時代をむこうみずに(無責任ともいうが)突っ走っていた1963年生まれの筆者を含むいわゆる「新人類世代」にしてみれば、やはり80年代の音楽はいまでも特別な宝物であろう。
 邦楽にしてもしかり。私事だが、先日押し入れの中から古いカセットテープが転がり出てきた。なんと1982年発売のアルバム「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」である。それを見ただけで18歳のときのさまざまな思い出が蘇ってきて、嬉しくなる。さっそくCDを買い求めた。
 故・大滝詠一がプロデュース。加えて「SOMEDAY」が爆発的にヒットする直前の佐野元春、後に「ウイスキーが、お好きでしょ」の作曲で広く知られることになる杉真理が参加している。
 ここにしか収録されていない曲が多く、3人のファンにとっては貴重なアルバムだ。杉真理の「Nobody」はまるでビートルズの曲のようだった。ポールとジョンが一つのマイクに歌うように、さびの部分は佐野元春が声を合わせている。最高じゃないか。沢田研二に提供し、後に自身の「No Damage」に収録された佐野元春の「彼女はデリケート」で冒頭に台詞が入るのもナイアガラだけである。筆者はこれらを夏のクルーザーヨットの上で聴きまくっていた。
 1982年といえば34年前。1982年の34年前は1948年。音楽の進化具合を比べると、この34年間、たいして変わっていない。今でも充分に新鮮だ。
 衰えつつあるかもしれない遊び心に、怖いものなど何もなかったあの時代の勢いを吹き込んでみようか。夏だからね。



船厨
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 「ブラディ・メアリー」は16世紀にイギリスの女王として君臨したメアリー1世の名に由来する。彼女は自分とは信仰が異なる300名にも及ぶプロテスタントのキリスト教徒を処刑した。そこでついた異名が「血まみれのメアリー」。
 真夏の驚くほどの鮮やかな夕焼け。情熱的な赤。いくら聞こえのいい言葉を並べても、その名はやはり恐ろしげ。それでもまるで健康飲料の代名詞のようなトマトジュースを使うカクテルということもあって、二日酔い後の迎え酒として用いる人もいる。
 ヘミングウェイもその一人で、彼はウォッカにトマトジュース、ウスターソースや塩に胡椒、ほかにも香辛料を加えて愛飲していたが、こともあろうか、自身の未成年の息子に酒を勧めた翌朝に、迎え酒として「ブラディ・メアリー」も勧めていたという。
 未成年の飲酒などとんでもない。さらにいえば「迎え酒」そのものも迷信で、効いたような気がするのは、再び酔って麻痺するだけのことである。
 トマトジュースを使ったカクテルは、この「ブラディ・メアリー」のほか、ビールを使った「レッド・アイ」、ジンを使った「ブラディ・サム」などが代表的。
 いずれも口当たりが良く、ついついがぶ飲みしてしまうことも確か。迎え酒どころか、またまた二日酔いになりそうだ。


「ブラディ・メアリーの作り方」の作り方
■材料
ウォッカ - 45 ml、レモン1/6個、トマトジュース適量

■作り方
1)タンブラーにロックアイスを入れ、ウォッカを注ぎトマトジュースを入れて軽くステアする
2)レモンを飾って、マドラーをさして出来上がり ※好みでウスターソースや塩や胡椒を加えてもOK。



海の博物誌
 小学校の社会科だったろうか。世界三大漁場について習ったことがあるだろう。北東大西洋海域、北西大西洋海域、北西太平洋海域。
 北西太平洋地域はいわゆる「三陸・常磐沖」。日本に世界的な漁場があると知り、子どもながらに誇らしく思った記憶を持つ方は少なくないはずだ。
 三大漁場は世界中の漁獲の半分以上を占めているのだが、共通点がある。いずれも寒流と暖流がせめぎ合う海域であるということだ。
 三陸沖、常磐沖は寒流である親潮と、暖流である黒潮の二つの水塊が接触している。この二つの水塊の等温線が過密なエリア、つまり温度傾斜の激しいところや複雑に入り組んだ場所に好漁場が形成される。潮の境目は漁獲対象の適水温が狭められるため、魚が散らずに集まりやすい。さらにこうした場所はプランクトンや小魚も集まりやすいため、長期間にわたって効率の良い漁ができるということになる。
 世界三大漁場には分類されないが、南米のペルー沖やカリフォルニア沖といったイワシの好漁場は、湧昇流漁場と呼ばれる。陸から海に向かって風が吹き続けることで離岸流が生じ、減少した海水を補おうとする力が働き湧昇が起こる。そうすると栄養塩に富んだ下層の海水が太陽光の届く表層に達し、そこに大型の植物プランクトンが大増殖し、好漁場となるわけだ。
 さまざまな釣りを思い出すと、魚が釣れる場所というのは規模は異なれど、同じようなことが起きているエリアであることに気づかないだろうか。



Salty One Day Boating
例年より一週間ほど遅く梅雨明けした関東地方。その初めての週末となる7月31日、シースタイル会員対象のフィッシング講座「真夏の旬、タチウオを釣ろう!」が開かれた。主催したのは千葉県木更津市のシースタイル・ホームマリーナ「セントラル(木更津マリーナ)」。東京湾に夏の到来を告げる銀色の魚体を目指して、いざ出港!

夏の新しいトレンド「ライト・タチウオ」

 ライトタックルによるタチウオが、いまちょっとしたブームになっているそうだ。水深15メートルほどの浅タナを狙って30号ほどのオモリで楽しむこの釣りは、確かに気分も、装備も、そして体力的にも非常にライトである。東京湾の乗り合い遊漁船にも女性や若い人たちの姿が目立ち、4時間程度で10本ほどあげて帰ってくるカジュアルなコースが人気を集めているという。
 今回のイベントの主催者であるセントラルでは、2年前の夏からこの講座を開いてきた。シースタイル会員の皆さんにライト・タチウオの楽しさを味わってもらい、夏の東京湾の楽しみをさらに広げていただこうというわけだ。出港前にタチウオ釣りの経験を確認してみたところ、「ある」と回答した方は11人中わずか2人。中には「釣りを初めてする」という方もいらっしゃった。そんなわけで、まずはこの日の講師を務めた田渕雅生さん(DAIWAフィールドテスター)が仕掛けの説明と餌付けのコツを解説。「タチウオは餌を追うのがヘタなので餌付けが非常に重要。これで7割が決まるという人もいます」などという言葉を聞けば、参加者たちの視線が田渕さんの手もとにくぎ付けになるのも当然だ。
 そして、いざ出航。ポイントに到着すると間もなく、近年のタチウオ人気を裏付けるようにたくさんの遊漁船が集まってきた。餌釣りもいれば、ジギングで狙う人々の姿もある。どの船も船べりいっぱいにロッドが並んでいる。


遊漁船とはまた違う、フレンドリーな船上の雰囲気

 水深は約15メートル。天秤に30号のオモリとこの日の餌であるコノシロの切り身をかけて底まで落とす。コノシロは、サイズが小さければ小さいほど価値の高い珍しい出世魚。シンコサイズ、コハダサイズは寿司ネタとして人気だが、コノシロになった途端に見向きもされなくなる。ところが、タチウオ釣りの餌としてはポピュラーなサバより皮がしっかりしていて餌持ちがいいし、反射率の高そうな銀鱗と黒斑点のパターンが腹を空かせたタチウオにアピールしそうでもある。この切り身を、教えていただいたとおり丁寧に短冊状にカットして、しゃくりを加えながら底からじっくり探っていく。時には表層近くでヒットすることもあるそうだから、巻き切るまで気が抜けない。
 スタートして早々、まず一本目を釣り上げたのは、乗船前に「釣りは初めて」と話されていた方だった。船上は大きな拍手で盛り上がる。こういう光景は乗り合い遊漁船ではあまり見られないのではないだろうか。ともかくこの一本をきっかけに、左舷でも右舷でもキラキラ光るタチウオが続々と上がりだした。昼過ぎに強烈な通り雨にも遭遇したが、その頃には皆さんのクーラーボックスはもういっぱいである。
 帰港後、講師の田渕さんが自ら包丁を持ってタチウオのさばき方を教えてくださった。数が多いのでジップロックサイズにさばいていく。「皮を炙って、刺身でいただく。これおすすめなのでぜひ試してください」とのことだった。
 「タチウオがこんなに手軽な釣りだってこと、やってみるまで知りませんでした」と話したのは参加者の一人。別の方も「これなら仲間を誘ってレンタルボートでいける。今日もそれっぽいボートが出てましたよね」と話していた。釣って楽しく、食べておいしい東京湾のライト・タチウオ。シーズン本番はこれからだ。


取材協力
セントラル(木更津マリーナ)
千葉県木更津市富士見3-1-22
TEL: 0438-23-2091
http://central-boat.co.jp/


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DAIWAフィールドテスターの田渕雅生さんが講師として同船
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木更津港の海の玄関口、中の島大橋をくぐって富津沖を目指す
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開始早々、最初の一本を上げたのは「釣りは初めて」という参加者。皆で拍手!
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「タチウオは餌付けで7割決まる、という人もいる」と田渕さん
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紅一点の参加者も良型を釣り上げてこの笑顔。お見事!
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「タチウオは、釣り上げられるとマイッタ!って顔しますね」とある参加者。確かに
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帰港後、田渕さんがさばいた刺身を皆でいただいた。うまい!



海の道具 マリンギア四方山話
 近ごろ空き地のあちこちにソーラーパネルを並べた場所が誕生している。また、屋根や屋上に黒いパネルを載っけた家も増えてきた。資源が乏しい日本にとって、ソーラー発電は太陽の恵みといえる。
 陸上でのソーラー発電が進んできたことで、技術革新が加速し、その充電能率や効率がどんどんとよくなってきたのは嬉しい限り。
 マリンの世界では割と早くからソーラーパネルがスタンダードなパーツとして使われてきた。それもそのはず、船は大半が屋外保管されており、使用されるのも勿論屋外、というか洋上なので、年がら年中、お天道様の下にいるのだから、相性がいいわけだ。
 ボートの場合、バッテリーの自己放電防止用に使うことが多いため、電圧も12ボルトか24ボルトとなる。
 車ほど使用頻度が高くはないレジャーボートなどは、保管中のバッテリーあがりを防止するのに、ソーラーパネルはとても有効だ。
 マリン用と陸上用の違いといえば、総ての製品がそうというわけではないけれど、ある程度曲げられるように設計されているものが多いということ。これは取り付け場所が必ずしもフラットな状態とは限らないから。例えばヨットのデッキ面やレジャーボートの屋根などは緩やかなカーブを描いていることが多いのはご承知の通り。
 日除けのシート代わりにソーラーパネルを使えば一石二鳥、なんて使い方もありだ。お試しを。



ヤマハニュース
免許を取ってすぐにレンタル「ボート免許とシースタイルW入会プラン」実施中
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/license/seastyle-course/

ビギナー必見!係船マニュアルで予習しよう!
係船中の事故を未然に防ぐ、係船のノウハウをご紹介します。
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/life/mooring/

「マリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるレッスンのご案内
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/

シースタイル予約システム・会員ページが使いやすくなりました!
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/new_system/



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【編集航記】
リオデジャネイロオリンピックがいよいよ開催されます。気になるセーリング競技ですが、日本からは470級(男/女)、49er級(男子)、49erFX級(女子)、レーザーラジアル級(女子)、RS:X級(男/女)の7種目に11選手が出場。注目は日本得意の470級。女子チームの工具が盗まれるなど、トラブルもありましたが、気を取り直して日本チームとして3大会ぶりのメダル獲得を目指します。またレーザーラジアルの土居愛実選手も期待大。土居選手は470級の土居一斗と兄妹での出場で注目されています。レースは8月9日から。8/14、15、18日には録画ですがNHKで放映の予定です。ぜひご注目を。
(編集部・ま)

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