ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMNでボートショーチケットプレゼント!
イメージ
MONTHLY COLUMN ● 海を愛する人たちがつくるボートショー
キャビンの棚 ● なぜ再び海へと向かうのか「漂流」
船厨 ● 味噌か塩かで迷う「イナダのアラ汁」
海の博物誌 ● 魚で商売をするには30年かかる
Salty One Day Boating ● 冬の海とイナダとSR-X
海の道具 ● 針路を示せ
YAMAHA NEWS ● 「ジャパンインターナショナルボートショー2017」が3月2日開幕/船外機F115B/F130A/F150Dの不具合に関するサービスキャンペーン
2月の壁紙 ● 『Salty Life』読者限定壁紙カレンダー

※お使いのブラウザでHTMLメールを表示できない場合は、こちらのサイトからもご覧いただけます。

MONTHLY COLUMN
イメージ
 先日、NPO法人ベアフット協会会長のお話を伺う機会を得た。日本ベアフット協会は日本に裸足で遊べる海岸を取り戻そうという趣旨の元、音楽や芸術の力を借りながら環境保護の啓発活動を行っている団体だ。音楽イベントと海岸清掃をミックスした活動などを各地で行いながら、東北地方の海岸を破壊した東日本大震災の復興支援を行うなど、あれこれと活動を繰り広げている。
 会長は岩澤幸矢さん。1969年に結成し、現在も活動を続けているフォークソングの兄弟デュオ「ブレッド&バター」のボーカリストである。
 岩澤さんは、湘南・茅ヶ崎で生まれ育ち、海こそが少年時代の遊び場だったのだという。そしていつも裸足で海まで走って行った。ところが、いま、子どもたちが裸足で駆け回り、自由に遊べる海がどれほどあるのか。岩澤さんはそう感じて、音楽仲間を中心に声をかけ、この団体を設立した。
 そして岩澤さんが、2017年3月3日、ジャパンインターナショナルボートショーで「海を愛する者」のひとりとして、一肌脱ぐこととなった。この日のボートショーはパシフィコ横浜の会場に限って20時まで開催している。新しく設定された、この夜の時間に、岩澤さんがステージで唄う。いつもと違う時間帯にボートがずらりと並ぶ会場に音楽が流れる様子をイメージすると、なんだかとても楽しみになる。
イメージ
 ボートショーは、基本的には業界団体とそれに属する企業によるビジネスの場である。ただ、裏方の事情をほんの少しでも知る者は、決してそれだけではないことを知っている。マリン業界は他のレジャー産業に比べて参加人口は少なく、また自動車産業などに比べれば市場規模は雲泥の差である。だからこそかもしれないが、関係者には本気で海を愛し、ボートを愛し、ヨットを愛する者が多い。そして多くの人々に、同じように海を愛して欲しいと、商売抜きで考えているフシがある。ほんとに、もう、暑苦しいほどに。
 たとえば、今年のボートショーではヨット関係の業者たちが知恵を出し合い、ヨットコーナーの一画に「セーリングビレッジ」を展開する。ヨットの魅力を多くの人々に知って欲しいと、日本のトップセーラーを招いてのトークショー、グラインダーチャレンジ(大型ヨットでシートを巻き上げる疑似体験)、小型ヨットを使ってのハイクアウト体験など様々なイベントを企画している。そのメンバーのひとりと別の会議で顔を合わせることがあるのだけれど、その人もまた、どこかに商売を置き忘れているようで、そんなことではいけないのかもしれないが、嬉しくなる。
 ヨット業界は、ひと頃に比べてかなり縮小している。ヨットを取り扱うメーカーや商社も比較的小さな会社が多いかもしれない。しかし、そこで働く人々の海を愛する心の密度はかなり高く見える。そしてこれはかなり個人的な見解だが、不器用そうで、ちょっと見は怖そうだけど、高レベルのシーマンシップを発揮する、真性の海の男が多い。そんな人たちが「来場者に楽しんで欲しい」「ヨットの魅力を多くの人に知って欲しい」と願って企画した新コーナーがどのようになるのか、興味深い。
 豪華で華やかそうなボートショーだが、その会場の中で、出展者たちの海への愛や、船への愛を見つける作業は、それほど難しくはない。そしてそれはボートショーの魅力の大きな要素なのだ。
 「ジャパンインターナショナルボートショー2017」は3月2日から5日までの4日間、パシフィコ横浜と横浜ベイサイドマリーナ(ともに神奈川県横浜市)の2会場で開催される。もちろん私も、人生という時間のほとんどを海ですごし、海と船を愛し続ける男たちが放つ「潮気」をめいっぱい感じ取ってくるつもりだ。


抽選で1000名様をご招待
— ボートショーチケットプレゼントはこちら —

― 受付は終了いたしました。 ―
多数のご応募ありがとうございました。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
イメージ
「漂流」
著者:角幡唯介
発行:新潮社
定価:1900円(税別)
 1994年2月9日、マグロはえ縄漁船「第一保栄丸」が沈没し、乗組員8人と船長は全員ライフラフトで脱出。37日間にわたって太平洋上約1780キロを漂流したのち、救助された。まさに「奇跡の生還」だ。漂流をテーマにノンフィクションを書こうとしていた著者はその船長に話を聞こうと連絡を取ろうとしたが、船長は生還した8年後、再び船に乗り遭難、10年ものあいだ行方不明のままであることを知った。遭難して奇跡的に助かった人間がなぜ再び海へと出て行ったのか。そんな疑問を抱いた著者は、船長の故郷を訪ね、取材を進めていく。
 船長が住んだ場所、船長の生まれ故郷、さらにともに遭難した乗組員たちのいるフィリピンへ。人に会い、話を聞き、知れば知るほど、思考は迷走する。
 遭難し生還し、それでも再び海へ出る。そのような人がいることは知ってはいる。だが、そのことに理由なんてあるのだろうか。あったとしてそれを言葉にすることができる者がいるだろうか。もしもあの男だったら、また、もしも自分だったら。その想像の答えもやはり出てはこない。
 著者は開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞、新田次郎文学賞などの受賞歴のある、探検家にして作家の角幡唯介。人の命とは、自然とは。その両者の関係とは。著者とともに考えてみるのもいい。



船厨
イメージ
 新鮮なイナダを手に入れた(Salty One Day Boating)。イナダといえばブリやワラサに至らぬ若魚なのだが、そんなサイズでも2本もあれば、様々に味わい尽くすことができる。
 刺身にして、残ったカマや尾の部分でアラ汁をつくることにした。しかし、アラ汁といっても使用する魚や味付けは様々。地方によっても多種多様だ。代表的なものに内臓や野菜も一緒に煮込んだ青森県の郷土料理「じゃっぱ汁」がある。鮭のアラやジャガイモを放り込んだ北海道の「三平汁」もアラ汁。この二つはいずれも塩味だ。味噌仕立てのアラ汁としては山形の「どんがら汁」。これはタラを使う。
 たかが汁物。されど汁物。アラ汁をつくろうというだけでもなにかと迷う。残ったイナダのアラを前にして味付けを味噌か塩にするかで迷ったが、この日は塩を選択。いわゆる「潮汁(うしおじる)」。それが抜群に美味い。ボートで海の上にいるだけでも幸せなのに、釣りができて、こんなに美味いアラ汁をいただける。感謝。


「イナダのアラ汁」の作り方
■材料
イナダのアラ2尾分、だし昆布1枚、塩小さじ1、酒大さじ2、砂糖ひとつまみ、ほんだし小さじ1、しょうが1かけ、長ねぎ1本、柚子適宜
■作り方
1)アラはお椀に入る位の大きさに切り、よく洗う
2)鍋にだし昆布を入れ、水1000ccほどを入れて火にかけ、沸騰する寸前に昆布を取り出す
3)2にしょうがを入れ、沸騰させたらアラを入れ、丁寧に灰汁を取る
4)砂糖、酒、塩、ほんだしを加え味を整える
5)白髪ネギ(千切り)を入れる
6)お椀によそい、好みで柚子を添える



海の博物誌
 戦前の魚河岸には本当の「目きき」がいたといわれる。たとえば、市場にある鯛をみて産地ばかりか鱗の数も言い当てる。また、鮎のにおいをかいで、どの川で獲れたものかを言い当てる。そんな魔術師のような「目きき」がいたらしい。魚屋は信頼が第一。そのために「目きき」が要求され、それを信頼されるまでに身につけるには30年はかかったそうだ。(「魚の目きき」徳間書店)
 普通の人がそこまでになるのはとうてい無理だし、そもそも必要のないことかもしれないが、少しぐらい知っておくと魚を買うのも楽しくなりそうだ。
 冬から春に向けて旬を迎える「鯛」を例にとると、プロの目ききはまず目を見るのだという。すっきりしたものほど新鮮で美味い。一日おくと鯛の目は濁る。大きさは味にそれほど関係がない。そして鯛を持つときは背の部分を持つのが鉄則なのだとか。尾鰭を持ってぶらぶらさせるのは素人、身が柔らかくなってしまうからなのだとか。
 また背が黒光りしている鯛がときどきあるが、これは間違いなく上物。
 この他にも鯛だけで様々な目ききのポイントがある。素人がそれらをすべてチェックしていたら日が暮れてしまいそうだ。それこそ鮮度が落ちる。



Salty One Day Boating
いわゆる西高東低の強い冬型の気圧配置は、日本海側の地域や北海道に大雪と暴風を、太平洋側の海にも大時化をもたらす。ただ、それが崩れた直後、関東エリアの海は嘘のように穏やかな表情を取り戻すことがある。この日も、そんな一日だった。マリーナに新しく配備されたSR-Xで真冬の相模湾に出た。

 真冬の早朝、西湘バイパスを降りて海沿いの道を真鶴方面へと車を走らせていると、左手に穏やかな海が広がっていた。見慣れた景色といいたいところだけど、この日はかなり様子が違う。あまりにも視界が良すぎたのだ。真鶴半島の左手にある島はなんだ。本当に大島か。そんな疑問を抱くほど、それはあまりに大きく、近くに浮かんでいるように見えた。思わず隣で眠りこけていた相棒を起こして、その異変を知らせた。
 マリーナに到着すると、支度を調え、タックルや食料をボートに積み込む。先程見た異様な景色を早く海から眺めてみたいと、気がせく。舫いを解き、桟橋を蹴飛ばしボートに乗り移る。慌ただしいボーターの動きを見つめながら、ビットで鳥が羽を休めていた。
 この日の目的は、このコーナーでも幾度か取り上げたことのある、いわゆるブリトップ。ナブラを探し、表層で小魚を求めて沸き立つブリをルアーで狙うのだ。決して確率の高い釣りではないけれど、ナブラ打ちは、季節に関係なくテンションが上がる。
 最初に初島の沖を目指してボートを走らせた。とにかく空を飛ぶ鳥の動きや海面の変化を探す。一羽でも鳥を見つけると、その動きに注視する。ひたすらそれを続けるのだ。先日、マリーナのスタッフと話をしたのだが、どうも早朝よりも午後になってからの方が鳥山は立ちやすいのではないかと感じている。それでも、もう少し経験を積まないことには、結論が出せない。
 あまりにも何も起こらない時は、エンジンを止めて、休むのだけれど、実はこの時間がナブラ打ちに匹敵するほど好きだ。四方を見渡してみるといい。周囲は海、眼下も海。上には空と雲だけ。聞こえるのは、波がハルを叩くちゃぷちゃぷという音のみ。こんな時間はほかでは味わうことはできない。
 この日も、海が騒がしくなったのは午後になってからだった。穏やかな波に揺られ、のんびりと羽を休める鳥の群れが数グループ。鳥の動きを観察できるまでゆっくりと距離を詰めていく。しばらくすると鳥がわさわさと落ち着きをなくして、飛び回り始める。そして、海面のちりぢりに浮かんでいた鳥のグループが一カ所に集まりはじめ、海面を攻撃し始める。キャストしたルアーの届くところまでフルスロットルでボートを走らせる。気づけば、表層に集まる小魚を追いかけ回す鳥や魚と同じように、自分も興奮のピークに達している。いやあ、本当に楽しい。

 この日は、そんな時間も長くは続かず、釣果にしてもたいしたことはなかったのだが、海での休日を大いに満喫した。相変わらず得な性格である。冬でも夏でも、晴れても曇っても雨でも雪でも、時化でさえなければそれでいい。海の上にいることさえできれば満足できるのだから。
 さて、この日使用したボートはSR-Xだ。真鶴ベイマリーナでは昨年の晩秋に配置されたばかりのレンタルボート。小型ボートの部類に入るのだけれど、その性能は小型ボートの域を超えるように感じられる。とにかく走りがいい。チョッピーな波の中、それを感じさせずに走る。スクエアバウのバウステップはキャスティングするのに充分な広さと安定感を与えてくれる。スターンにも充分なキャスティングのスペースがある。中でもお気に入りはベンチシートになっているところ。愛する奥さんやカノジョと並んで座って楽しくクルージングできる。男同士の場合は、まあ、我慢してください。


取材協力
真鶴ベイマリーナ
〒259-0201 神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴1117
TEL: 0465-68-1201
ホームページ: https://sea-style-m.yamaha-motor.co.jp/Marina/Info/detail/marinacd/J14-0190


イメージ
イメージ
イメージ
ポンツーンに羽を休める鴎。休んでないで、どうか小魚の群れまで導いてください
イメージ
三ツ石の向こうに見える大島。きょうは大島まで行ってみようかと思わせるほど近くに見えた
イメージ
SR-Xはかなり快適な走りを提供してくれる
イメージ
バウステップからキャスティング。高めの専用バウレールが安心感をもたらす
イメージ
座って操船しても充分な視界が得られる。真鶴のSR-Xはオリジナルのウインドシールドを艤装。風をシャットアウト
イメージ
富士山がついに噴火したのかのように見えて、少し焦った
イメージ
SR-Xのイケス。クーラーボックスを忘れてしまったので助かった。この日はブリではなくイナダサイズばかり
イメージ
帰宅後、イナダの刺身で一杯。この他に茶漬けにしたり潮汁にしたり。潮汁は船厨のコーナーで紹介しています



海の道具 マリンギア四方山話
 ボート免許を取得された方はきっと経験があるだろう。棒の頭に球体状の物を載せたハンドコンパスという測定器をかざして、試験官が指し示す目標物の方位を告げる。
 なんでもデジタル化が進む中で、実にアナログな計測器械、それがコンパスだ。だが、この器械が未だに使われているのは、アナログであるが故である。
 電気があろうが無かろうが、夜でも昼でも、霧が出ようが晴れようが、コンパスは常に方位を示し続けてくれる。地球が持つ磁場という自然現象を利用しているので、動力源もいらず、天候にも左右されないのだ。
 普段はGPS機能を駆使した航海計器に頼ってしまうが、もしもバッテリーが上がってしまい漂流なんてことになったら、方角を知るにはコンパスを頼るしかない。電気や燃料を使わないアナログなところは、そんな時、実に頼もしい存在だと思えるのだが、いかがだろうか。
 そんなコンパスの構造をよく見てみると、液体に満たされた球体の中、針の上に方位を示す円盤を載せ、フレキシブルに動けるようにできている。機能の頑なさに比べて、実に臨機応変なのだ。
 一本気なコンパスの機能は、情報が洪水のごとく溢れ返る現代にあって右往左往している我々に、何か訴えてくるものを感じる。
 複雑な人間関係や世間のしがらみを、柳に風とばかり受け流しながら、自分の進む道を一途に指し示す。ああ、自分もそんな生き方をしたいものだと、暫し波に揺られながらコンパスを眺めてみるのもいいかもしれない。



ヤマハニュース
「ジャパンインターナショナルボートショー2017」が3月2日開幕
https://www.yamaha-motor.co.jp/boatshow2017/

船外機F115B/F130A/F150Dの不具合に関するサービスキャンペーン
ご愛用者の皆様、申し訳ございません。
https://www.yamaha-motor.co.jp/recall/marine/campaign/2017-01-24/index.html



今月の壁紙
『SALTY LIFE』読者限定
2月の壁紙カレンダーはこちらからダウンロードできます。
イメージ


バックナンバー
『SALTY LIFE』のバックナンバーはこちらからご覧になれます。


【編集航記】
先日、2016-17年ラグビートップリーグを2位で終えた、ヤマハ発動機ジュビロの仲谷聖史選手とお話しする機会に恵まれました。仲谷選手といえば2004年に立命館からヤマハに入団、昨年、35歳にして初めて日本代表に招集されたことで大いに注目された選手です。怪我に悩まされ、30歳を過ぎてからはシーズンオフとなるたびに、そろそろ潮時かと引退を考えていたそうです。それでも代表に呼ばれ、大歓声の中でのプレーを経験したことで、「いまはラグビーが楽しい。やりたくて、やりたくて仕方がない」と語っていたのが印象的でした。月並みですが、続けることって大事です。仲谷選手と海に関係があるのかって?彼もまた釣りが好きなんだって。
(編集部・ま)

ソルティライフ公式Facebookページ 「Yamaha Motor Nautical Mile」

■ 『SALTY LIFE 』について
メールマガジン配信サービスにご登録いただいているお客様に定期的に配信するマリン情報マガジンです。


■ お問い合わせに関するご案内
『SALTY LIFE』は送信専用のアドレスより配信しております。
「配信の停止」についてはhttps://www2.yamaha-motor.co.jp/Mail/Saltylife/をご参照ください。
お問い合わせに関しては、marine_webmaster@yamaha-motor.co.jpまでご返信ください。


※お使いのブラウザでHTMLメールを表示できない場合は、こちらのサイトからもご覧いただけます。
ページトップへ
『SALTY LIFE』
〒438-8501 静岡県磐田市新貝2500
発行:ヤマハ発動機株式会社


Copyright (C) Yamaha Motor CO.,LTD. All rights reserved.
掲載文章および写真の無断転載を禁じます。