ソルティライフ ソルティライフ
ソルティライフ ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN 味覚は風景の構成要素の一部である
キャビンの棚 ボーターにも読んで欲しい「ヨット百科」
船厨 小さな小さな恵み 「アサリご飯」
海の博物誌 「コロンブスの卵」は作り話
Salty One Day Boating 世界に誇る多島海を満喫。
YAMAHA NEWS ボートサイトが見やすくリニューアル!/広がる世界~RESONATING WORLDS~公開/ 「シースタイルマリン塾」 操船、離着岸、ボートフィッシングなど/ヤマハボート免許オンライン教室「2級スマ免コース」で免許にチャレンジ!
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MONTHLY COLUMN
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 ボートやヨットでも海水浴でもいいのだが、海での遊びに「食事」は欠かせないアイテムの一つだ。
 例えば海外の海。カンクンやタヒチなど、とんでもない極彩を放つ海は別格だとしても、実はボートに乗って沖に出れば、海の色は世界のどこへ行ってもそう変わるものではない。また海外の美しい風景にしても、日本のどこかの似たような景色を思い出すことが多いのが事実だ。
 むしろ海で記憶に残るのは、仲間と酌み交わした酒の味、テーブルに広げられた膨大な量の料理と、その味だったりすることの方が多いかもしれない。料理と食事は、その国や土地によって、明確な文化的特徴を醸し出すものだ。
 フランスの歴史家、アラン・コルバンはその著書『空と海』のなかで「風景の構築は(略)視線の作用だけでは説明できない」といい「聴覚、触覚、臭覚など感覚的な印象が新たな風景の構図と結びついている(略)」と書いていた。なるほど、と思うが、できればこれに味覚も加えていただきたい。少なくとも僕の中では、味が海の風景の一部になっている。あちこちの海辺で食した料理を自分のボートで、または家のキッチンで再現したとき、まるで遙か外国の海辺に戻ったような感覚を覚える。ひとつひとつの味によって、素敵な、ときには切ない、海の思い出が甦るのだ。
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 これまで海辺で食べたメニューは数え切れないが、強烈なインパクトを与えてくれた料理の一つにマレーシアで食べた「フィッシュヘッドカレー」がある。シンガポールから橋を渡ってマレーシアに入り、さらに北へ2時間ほど走って、小さな漁村を訪れたときだ。スコールを運んでくる厚く黒い雲に追い立てられるようにして、小さな漁船が次から次へと収穫を積んで海から浜辺に戻ってきた。新鮮な魚を見ると食欲も高まる。昼食は地元の中華レストランへ。そこでこの食べ物と運命の出会いをした。 
 シンガポールヨットクラブのおしゃれなレストランのも美味しかったけれど、ここのフィッシュヘッドカレーは絶品だった。旅をともにしたメンバー全員が感動し、7~8年を経た今でも、飯時になるとマレーシアの田舎にある、この中華レストランが話題にのぼることがある。
 ポルトガルもまた「飯が美味い国」とのイメージが強い。北から南まで海岸線を移動しながらいろいろなものを食べたが、もっとも印象に残っているのは焼き魚だ。ポルトガルの街のあちこちのレストランでは、軒下で魚や烏賊を炭で焼いている。
 日本では焼き魚のお相手といえば日本酒、または米と相場は決まっているが、ポルトガルではポテトを付け合わせにした焼き魚とパンにワインの組み合わせの絶妙を知った。
 もうひとつポルトガルで印象に残った食事は、北部にある小さな街で刺し網漁の取材をしたときのことだ。夜明けのコーヒーショップでオーダーしたのは周りの漁師が食べているのと同じチーズサンドとコーヒーだ。漁師たちはみんな、押し黙ってこれらを胃袋に収め、食べ終わると、テーブルにおいた帽子を手にとって、まだ暗い海へと出て行く。海に生きる男は、どこで見てもかっこいい。このとき、夫の無事を祈る女が歌うファドをイメージした。逆にいま、ファドを聴くと夜明け前のポルトガルのカフェ、少しパサついたチーズサンドの食感と苦いコーヒーの味を想い出す。
 クルージングの目的地にある、旨い魚を出してくれる店に立ち寄る。海外で訪れた港の瀟洒なレストランのテラスで豪華なシーフードを取り囲む。ヒールしたセーリングクルーザーのデッキでレトルトのカレーどんぶりを頬張る。また、静かなマリーナに停泊したサロンクルーザーのキャビンでオーナーの自慢料理に舌鼓を打つ。海での食事を大切にしたい。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「セーリングと艤装のすべて ヨット百科」
発行:舵社
著者:高槻和宏
定価:¥2,200(税別)
 日本におけるヨットの歴史は、横浜で初めて日本人によって建造された1882年を礎としている。同年、同じく横浜に外国人のヨットクラブが設立された。日本人のヨットクラブが最初に設立されたのは1923年。場所は琵琶湖だった。日本のヨット発祥の地は葉山といわれるが、それは1882年に建造されたヨットが葉山で試験帆走を行ったためで、実際には琵琶湖が発祥の地といっても良さそうだ。
 なにぶん日本のヨットには100年以上の歴史がある。遠洋へも繰り出せる船だから、オールドセーラーは「船乗り」としての自覚も持っていた。酒やシーフードをこよなく愛し、着るものにもこだわり、英国海軍の話をさせたら止まらない、海の蘊蓄に詳しく、何よりシーマンシップに長けている。セーラーにはそんなイメージがある。
 前置きが長くなったが、ヨット、ボートの専門出版社である舵社から「ヨット百科」が発売された。実は同じ名前の本が同じく舵社から出ていた。初版は昭和26年。小欄もその改訂版でヨットを覚えた手合いだ。はっきりって内容は固かった。天気図の読み方をはじめとする気象やチャートワークについての解説に何ページも割かれていたと記憶する。この本でヨットを覚えていた学生ヨット部のクルーザーの運航はまるで海軍のようだった(嫌いじゃないが)。
 新しいヨット百科は古いヨット百科を改訂したものではなくまったく新しいコンセプトの元に生まれたようだ。上記の項目などは後ろの方にさらりとまとめられて、現代のヨットを楽しんで欲しいと願う筆者の哲学(といったら大げさかもしれないが)を垣間見た気がする。といっても内容が軽くなったと思うのは早合点。「ヨットの力学、構造から艤装、ロープワークまで、シーマンシップが詰まった完全保存版」というコピーに偽りない。
 目を通して感じたことはぜひボート愛好者にも読んで欲しいということ。この歴史あるヨットいう乗りものについて知った時、新たな海との付き合い方が始まるような気がした。



船厨
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 4月から8月にかけて渡船で干潟に行って楽しむ浜名湖の潮干狩りが、今期はアサリの減少により中止になってしまった。台風や赤潮が原因らしい。もともと日本におけるアサリの漁獲量は減少傾向にある。乱獲やアサリの棲む干潟の埋め立てが主な原因のようである。スーパーなどをみていると確かに国産よりも中国産などが幅を利かせている。
 そのため各地でアサリが生育しやすい人口干潟を醸成したり、漁師は漁師で漁期と操業時間、漁獲できる貝のサイズを決めるなど自主規制を課し、資源保護と水揚げ金額の安定化を図っている。
 魚もそうだが、空豆ほどのこんなに小さな貝が人の生活を支え、楽しみも与えてくれると思うと感慨深い。だからというわけではないが、ソルティライフでもこの時期にはアサリを使って料理をこさえてきた。
 今回はアサリご飯である。アサリの煮汁を使ってご飯を炊く。具はアサリのみ。炊きあがり、窯の蓋を開けた瞬間に立ち上る香りは季節感にあふれている。

「アサリご飯」のつくり方
■材料
殻付きアサリ450g、米3合、料理酒大さじ2、塩小さじ1、醤油小さじ3、生姜一かけ
■作り方 
1)砂を吐かせたアサリを洗って、鍋に入れ、酒を入れて蓋をし、強火にかける。
2)沸騰したら弱火にして貝が開くまでアサリを蒸す。蒸し上がったら貝からアサリを剥く。
3)洗った米と2)の蒸し汁、醤油、塩を加え、足りない分は水を足しご飯を炊きあげる。
4)ご飯が炊きあがったら分けておいたアサリのむき身を入れかき混ぜて出来上がり。
※アサリを後から混ぜるとふっくらと。3)で入れて一緒に炊き込んでもOK。




海の博物誌
 歴史的な航海者の筆頭にコロンブスの名を上げる人は多いことだろう。イタリアのジェノバに生まれたコロンブスは14歳頃から海に出て航海の経験を積んできた。実際に多くの困難な航海を成し遂げてはいるが、実は誤って伝えられている話も多いようだ。
 そもそもコロンブスは船長としての実力、特に統率力という点で疑問視されている。航海中に何度も船員たちの反乱に遭っていたようだ。
 アメリカ大陸を発見した、または初めて到達したヨーロッパ人として知られるが、これも事実は異なる。その500年も前にバイキングがアメリカ大陸に到達し拠点を築いている。
 「誰にでもできそうなことだが、最初にそれを行うことはいかに難しいか」を表すのに「コロンブスの卵」という言葉がある。「西に向かって航海すればだれだって新大陸なんて見つけられる」とコロンブスの偉業をけなした男に対して、コロンブスは「ゆで卵をテーブルの上に立てられるか」とその男に尋ねる。それができない男に対してコロンブスはゆで卵をテーブルにたたきつけ立ててみせたというエピソードから生まれた言葉だが、これも作り話なのだとか。
 とはいえ、やはりコロンブスが偉大な航海者であったことは事実なのだが。



Salty One Day Boating
広島への出張が決まった。翌日は土曜日で仕事は休み。こんな機会は滅多にないので瀬戸内海で遊ぶことを計画した。広島県には8個所のシースタイルのホームマリーナがある。今回はこのなかで最も東に位置する岡山との県境、福山市の中国マリンでYF-21を予約し、釣りとクルージングを楽しむことにした。

 静かな海にいくつもの島が浮かぶ瀬戸内海は、日本が世界に誇ることのできるクルージングエリアである。岡山県の牛窓は「日本のエーゲ海」などとうたわれるが、それよりも「SETONAIKAI」と胸を張って自慢しても良いのではないかと思いさえする。
 ラッセル・クーツというセーラーがいる。ニュージーランド生まれの彼はかつてアメリカズカップを3度防衛した、いわば世界最高峰に位置するセーラーだ。彼は、日本を訪れ、ヨットで瀬戸内海をクルージングしたことがある。そして瀬戸内海を自然、生活、歴史、そして未来を感じさせる海だと表現した。いわれてみれば、瀬戸内海は彼の母国・ニュージーランドのベイオブアイランドに似ている気もする。この素晴らしさを地元の人々、そして日本人は気づいているだろうか。
 広島は人口あたりのボートの所有率がとても高いことで知られている。多くは釣りを楽しむ人々だ。福山も例外ではない。マリーナからボートを出し、美しい島々を横目に尾道方面に15分ほど走った。横島の沖合に浮かぶ当木島の近くに到着すると、多くのボートが遊漁船に混じって釣り糸をたれていた。
 ここは、マダイやアジ、メバルなどがよく釣れるポイントだ。福山に限らず瀬戸内海は釣りが楽しい。少し足を伸ばして佐島の南へ行けばハマチやブリも狙える。ワンワン瀬も地元アングラーがおすすめのハマチの一級ポイント。ジギングはもちろんトップウォーターでも狙える。どこへ行っても外海に比べて波は静か、釣りも快適なのだ。
 近くにいた漁船風のプレジャーボートを見てみると、オジサンが半纏を着て釣りをしていた。ユーモラスだがほっとする風景。瀬戸内のボートフィッシングの身近さを垣間見た気がした。

 前述したように多島海である瀬戸内海は釣りだけでなく、クルージングも楽しい。広島には14の海の駅がある。現在は広島県が「海の道プロジェクト」を発足させ、架橋整備が進み、使わなくなった内航船用の桟橋をプレジャーボートに解放する動きもスタートした。クルージングエリアとしての魅力はますます広がりそうだ。中国マリンの周辺にもうつみ、尾道、境が浜といった3つの海の駅があり、安心して停泊することができる。中国マリンのスタッフにお聞きしたところによると、こうした海の駅以外にも、島々には民宿が経営している食堂が有り、電話で予約することで係船場所も教えてくれるとのこと。
 この日は運が悪く、4月とは思えない寒さだった。釣りはそこそこに引き上げて、予約しておいた「さかいがはま海の駅」(境が浜マリーナ)へと向かった。マリーナの港外で連絡を入れるとスタッフが舫いを取りに桟橋まで出迎えてくれた。
 クラブハウス内にある「SOFU CAFE」に入った。アジアンテイストのランチメニューが用意されていたが、まもなく、カフェのコンセプトが変わるとのこと。新しいメニューも楽しみだ。この日はアサリと春キャベツの入ったフォー、バジル炒めご飯にアラカルトでナンで粗挽きウインナーを包んだサンドイッチをオーダーした。冷えた身体にフォーがとてもありがたかった。
 店内にある書棚に目を向けると「瀬戸内海辞典」なる分厚い本が置いてあった。ぱらぱらとめくってみたが、かなり面白い本だ。瀬戸内海にまつわる様々な事柄が網羅されている。知識は旅を数倍面白くしてくれる。順序を変えてお茶でもしながらこの本を読み、その後でクルージングをしたら、瀬戸内海の風景がまた変わって見えたかもしれない、などと考えた。


取材協力
中国マリン
〒720-0202 広島県福山市鞆町後地651-3
084-970-5405
ホームページ: https://marine.yamaha-motor.jp/sea-style/Common/Marina_Common.asp?marina_cd=0-87


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釣り場を目指す。橋をくぐるのはどこでも楽しいもの
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中国マリンのヒデさん。この日は4月というのに極寒。釣果は聞かないでください
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境が浜マリーナは海の駅にも登録されている。ビジターの一時係船料はフィート80円(税別)
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境が浜のクラブハウス内にあるSOFU CAFEののランチ。フォーで温まる。間もなくメニューが変わるとのこと
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鞆の浦の常夜灯。この港のシンボルともいえる歴史建造物
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阿伏兎観音。安産と母乳がよく出るようお参りするところ。陸路から行ってもなにやら楽しめるらしいです
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坂本龍馬と縁のある鞆の浦から出ている観光船は「いろは丸」がモデル
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境が浜マリーナ近くの造船所。工場見物がブームだが、これも面白い
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アフタークルージングに街並みの美しい鞆の浦を陸路から



ヤマハニュース

ボートサイトが見やすくリニューアル!
ビッグボートからフィッシングボートまでヤマハラインナップをお楽しみください
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/boat/

広がる世界~RESONATING WORLDS~公開
日常から非日常まで、ヤマハ製品を通じて感じられる地球の素晴らしさを映像で紹介
http://global.yamaha-motor.com/yamahastyle/resonating-worlds/#jp

「シースタイルマリン塾」 操船、離着岸、ボートフィッシングなど
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるレッスンのご案内です。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/index.html

ヤマハボート免許オンライン教室「2級スマ免コース」で免許にチャレンジ!
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/license/online-license/



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【編集航記】
5月24日から6月1日にかけて神奈川県三浦市のシーボニアマリーナを会場に、ブラインドセーリング世界選手権大会が開催されます。文字通り、視覚障害者によるヨットの大会です。以前に国内の大会を取材したことがあるのですが、「僕には風が見えないが、彼らには見えているのだ」とストレートに感動したことを覚えています。日本から4チームが参加します。健闘に期待しましょう。
(編集部・ま)
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