代表的な消耗部品 スポーツバイク
モーターサイクルの性能維持に必要な消耗部品の定期交換をお勧めいたします。純正部品の交換及び車両の整備はヤマハ販売店にご依頼ください。
消耗した部品や劣化した部品は充分な性能を果たすことができず、車輌性能へ悪影響を及ぼしてしまいます。ここではそれぞれの部品の消耗・劣化した状態とその影響を説明いたします。
ブレーキホース/クラッチホース
油圧ブレーキのブレーキホースと油圧クラッチのクラッチホースは、保安上重要なゴム部品である。長期間使用すると疲労による劣化や紫外線による硬化が起き、ブレーキフルードが漏れる危険がある。また、内部からの劣化は判定が困難なため、外傷や硬化が見られなくても4年毎に交換する必要がある。ブレーキフルードの交換サイクルが2年毎なので、フルード交換2回に1回はブレーキホースも交換する。
ライトバルブ
モーターサイクルには多くのライトバルブが使用されている。ライトバルブは発光部の寿命、転倒時の衝撃や電装のトラブルによる系過電などで球切れを起こすことがある。無灯火では夜間の走行ができないだけでなく、自車の存在、ブレーキや右左折といった意思表示ができなくなり、事故の危険性につながる。そのため、乗車前にライト類が点灯するかを確認する必要がある。ライトバルブを新品に交換しても点灯しない場合は、電装系のトラブルが考えられるため、販売店での点検・修理が必要になる。
ブレーキフルード
ブレーキホースの中には、レバーからの圧力をブレーキキャリパーに伝えるためのブレーキフルードが入っている。ブレーキフルードには水分を吸収する性質がある。水分が混入すると沸点が下がり、ブレーキ熱で沸騰して圧力が伝達しなくなるベーパーロック現象を引き起こす。また、混入した水分によりブレーキ部品の腐食が起きる。そのため、ブレーキフルードを2年毎に交換する必要がある。日常点検の結果、ブレーキフルードを継ぎ足す場合は、DOT規格の異なるブレーキフルードを混ぜてはいけない。
スパークプラグ
混合気を燃焼させるために着火をする部品。スパークプラグは高温・高圧のシリンダーヘッド内で火花放電を繰り返しているため、電極部分が溶解や酸化により消耗していく。消耗した電極は正常な火花放電ができなくなる。7,000kmまたは6ヶ月毎に消耗と汚れの点検、20,000kmまたは18ヶ月毎の交換が目安である。
エアフィルター
エアフィルターは、混合気を作るために必要な空気をろ過する部品である。エアフィルターは空気に含まれているゴミやほこりにより、ろ過性能が低下していく。そのため、定期的な点検とクリーニング、または交換が必要になる。
バッテリー
バッテリーは始動のための電力や、電装部品への電力を供給する重要な部品である。バッテリーには開放型バッテリーと密閉型バッテリーの2種類がある。バッテリーの電力が低下するとセルモーターの動きが弱くなり始動が困難になってしまう。開放型バッテリーは定期的にバッテリー液を補充し、密閉型バッテリーは定期交換が必要である。
タイヤ
タイヤは唯一路面に接する部品である。タイヤは消耗や劣化でグリップ力が低下する。また、消耗限界を超えるとバーストする危険もある。定期点検では、空気圧、消耗や劣化をチェックする。空気圧が不足している場合は空気を補充し、スリップサインやヒビがあれば交換する必要がある。
ドライブチェーン&スプロケット
ドライブチェーンとスプロケットは、エンジンからの駆動力をリヤホイールへ伝達する部品である。走行中、常に大きな負荷がかかり消耗していく。また、ラフなスロットル操作はドライブチェーンとスプロケットへの負荷を大きくしてしまい、部品の寿命を短くしてしまう。定期点検は、ドライブチェーンのたるみ調整を行い、調整限度を超えた場合は、新品へ交換する。また、スプロケットも消耗するため、ドライブチェーン交換2回に1回の頻度でスプロケット交換が目安である。
オイルフィルター
エンジン内を循環するエンジンオイルをろ過する部品。オイルフィルターが詰まるとエンジンオイルがろ過されずに循環するため、エンジンの寿命を短くしてしまう。オイルフィルターはクリーニングすることができないため、オイル交換2回に1回の頻度で新品への交換が必要である。
エンジンオイル
エンジンオイルはエンジン内の潤滑や防錆、冷却、清浄、密封など、多くの役割がある。エンジンオイルが劣化してくると、エンジンの不調や故障を引き起こしてしまう。そのため、一定の走行距離(各車オーナーズマニュアルに記載)でエンジンオイルを交換する必要がある。エンジンオイルは酸化していくため、走行していなくても6ヶ月以上経っている場合はエンジンオイル交換が必要である。
クーラント
水冷エンジンは、クーラントを使用してエンジンを冷却している。クーラントは、金属への腐蝕性とゴムへの劣化性がなく、水よりも沸点が高いという特徴がある。クーラントが不足すると冷却効果が下がり、オーバーヒートを起こす危険がある。そのため、日常点検でクーラント量と漏れをチェックする必要がある。クーラントの交換は2年毎である。
ブレーキパッド
ブレーキパッドはブレーキする毎に消耗していく。ブレーキする頻度や走行速度によって、摩擦材の減る量が異なる。ブレーキパッドの摩擦材が消耗すると制動性能が低下し、消耗限界を超えるとブレーキが効かなくなってしまう。消耗具合は目視で行う。ブレーキパッドはキャリパーの隙間から摩擦材の残量をチェックする。