ブレーキ周りのトラブルと対策
モーターサイクルの性能維持に必要な消耗部品の定期交換をお勧めいたします。純正部品の交換及び車両の整備はヤマハ販売店にご依頼ください。
フェード
ハードなブレーキングを続けた時に急激に効きが悪くなる現象。
原因はブレーキパッドに含まれるフェノールレジン樹脂が高熱で分解し、その時に発生するガスが摩擦材の体積変化を起こし、ブレーキパッドを押し返す力となるためです。ブレーキパッドにガスを排出するための溝加工がされている上、モーターサイクルのブレーキ周りは車体の外に露出しているので自動車よりは発生しにくいと言えます。
消耗して摩擦材の体積が減ったブレーキパッドは温度上昇が早くなるので、できるだけ早く交換してください。
ウォーターフェード
ウォーターフェードはブレーキディスクとブレーキパッド間に出来た水膜が原因となって起こります。タイヤと路面で発生するハイドロプレーニング現象のブレーキ版と言えます。現在のブレーキシステムはブレーキディスクの穴加工やブレーキパッドの溝加工によって排水効果が高く、ウォーターフェードの発生率は低いのですが、ブレーキディスクに穴加工がされていない旧車は注意が必要です。悪天時には減速し注意して走行する、また洗車後にはブレーキディスクの水滴を拭き取るなどの対策が必要です。
ベーパーロック
マスターシリンダーからの圧力がキャリパーピストンに伝わり、ブレーキパッドがブレーキディスクに押し付けられてブレーキが掛かります。ブレーキフルードには水分を吸収する性質があり、ブレーキを掛けた際に消耗したブレーキパッドから発生する熱で、ブレーキフルード中の水分が沸騰して気泡が発生します。
気泡は圧縮されやすく、バネやクッションのように作用するため、圧力の上昇をさまたげ、制動力が低下します。
そのため、車両の取扱説明書やサービスマニュアルに記載された点検期間でブレーキフルードを交換することが非常に重要です。定期的にブレーキフルードを交換することで、ブレーキシステム内の気泡が除去できます。
摩擦材が薄くなったブレーキパッドは、ブレーキをかけた際に、新品時のようにブレーキング時の熱が受け止められず、ブレーキフルードへ熱を伝えやすくなっています。
ブレーキジャダー
ブレーキジャダーはブレーキを掛けた時に起こる強い車体振動のことです。たいていはブレーキディスクの歪みや損傷、厚みの不均一が原因で発生しますが、ブレーキパッドの内側と外側の不均一な摩耗が原因となることもあります。ブレーキを放したときに、ブレーキキャリパーのピストンがスムーズに戻らなかったり、単動式のキャリパーが取り付けピン上で浮上しない場合に不均一に摩耗してブレーキジャダーの原因となります。いずれの場合でもジャダーが起きたときは純正部品と交換して下さい。対策方法としては、腐食させない、ブレーキキャリパーのメンテナンスを定期的に行う、などが挙げられます。