海岸のごみ拾いをもっと楽しくするには?
深刻化する海洋ごみ問題の解決に向け、プラスチック片を効率的に回収する「海ごみ収集機」を開発。技術力と遊び心で楽しい海岸清掃の実現を目指す。

問の背景
深刻化する海洋ごみ問題。中でも最も大きな脅威となっているのが、不適切に廃棄されたプラスチックです。自然環境での分解が困難なプラスチックは、一度海に流れ出すと数百年にわたって漂流し続け、海洋生物への甚大な影響が危惧されています。

この問題に対しヤマハ発動機では、プラスチック片を効率的に収集する「海ごみ収集機」の開発に乗り出しました。
きっかけとなったのは、ある社員が目にした衝撃的な光景です。奄美諸島・沖永良部島への出張中、偶然参加したビーチクリーン活動で待ち受けていたのは、海岸一帯に散乱するプラスチックごみ。ウミガメの生存さえも脅かすその現実が、プロジェクト立ち上げへの強い思いとなりました。
従来の海岸清掃では、ごみ袋とトングを使った手法が一般的です。しかし、紫外線や波の影響で5mm以下に風化したマイクロプラスチックを拾い集めるのは難しく、ピンセットなどを使った根気のいる作業を強いられます。
「この途方もない作業を、ヤマハ発動機の技術力と遊び心を活かして、もっと楽しくできないだろうか」。そんな発想から生まれたのが、ビーチクリーンモビリティプロジェクトです。
目指す成果
- ・ごみの流出を海岸で食い止め、海の環境改善に貢献する
- ・効率的に砂浜でマイクロプラスチックを回収できるビーチクリーン器具を開発する
- ・ビーチクリーン器具を“遊び道具”と変え、楽しい海岸清掃文化をつくる
困りごと
マイクロプラスチックの効率的な回収方法
着想のヒントとなったのは、タイの環境団体が使う独特な清掃器具。この取り組みに賛同いただいた日本発条株式会社の協力を得て、まずは第一弾の試作機を開発しました。しかし、砂や石、木の枝なども同時に回収してしまい、プラスチックの選別という点で大きな課題が残りました。

今後検討していきたいこと
- ✔砂や石を分離してプラスチックだけを効率的に取る方法
- ✔より良い素材や形の検討
- ✔乗って使える新しい形の提案
- ✔電動化によるパワーアップ
- ✔集めたごみの再利用方法
- ✔新しいビジネスの可能性
マイクロプラスチック回収の効率化に向け、今後は器具の素材や形状の改良を進めていく予定です。また、ヤマハ発動機の技術力を活かし、より楽しく使える器具へと進化させることを目指します。次のステップとしては、回収した素材のリサイクル活用や、器具を体験できるイベントの開催など、「遊び心のある清掃器具」の普及に向けた取り組みについても検討していきます。
当プロジェクトでは、
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ほかのプロジェクト
2025年3月15日
かながわ海岸美化財団主催セミナー「ビーチクリーンを科学する」に登壇
ヤマハ発動機が運営する共創スペース「リジェラボ」で、公益財団法人かながわ海岸美化財団が主催するハイブリッドセミナー「ビーチクリーンを科学する」が開催されました。
海にプラスチックごみがハイペースで流入し続ける中、海岸でプラスチック片を一つひとつ拾い集めることに無力感を覚えたり、「そんなことやっても意味がない」と言われたり……。そういった経験した方は少なくないのではないでしょうか。
このセミナーでは、「ビーチクリーンすることに意味があるのか?」という問いのもと、 第一線で海洋プラスチックについて研究されている愛媛大学の日向博文教授に世界の最新研究事情を解説いただき、自分たちの知識をブラッシュアップしながら、ビーチクリーンする意義を科学的に考えました。さらに、楽しみながらビーチクリーンを行う可能性や、ごみを出さない取組みについても探求しました。
セミナーには、海ごみプロジェクトの担当者・臼井優介(ヤマハ発動機株式会社 技術研究本部 共創・新ビジネス開発部 共創推進グループ)も登壇。ヤマハ発動機が開発を進めるビーチクリーン器具開発構想について紹介しました。

2025年5月13日
TECH HUB YOKOHAMA主催イベント「海岸ごみ×技術×共創 〜持続可能な未来を創るイノベーション〜(共創アイディア募集)」に登壇
TECH HUB YOKOHAMAが主催するイベント「海岸ごみ×技術×共創 〜持続可能な未来を創るイノベーション〜(共創アイディア募集)」に、海ごみプロジェクトの担当者・臼井優介(ヤマハ発動機株式会社 技術研究本部 共創・新ビジネス開発部 共創推進グループ)が登壇いたします。
深刻化する海岸ごみ問題の中でも、特に環境への影響が大きいプラスチックごみの回収や処分。従来の手作業によるビーチクリーン活動では負担が大きく、社会的な理解や関心も十分とはいえません。
イベントでは、それらの課題解決に向けて、ヤマハ発動機が日本発条、かながわ海岸美化財団と連携して取り組む、プラスチック片を効率的に回収する海ごみ収集機の開発についてご紹介し、共創アイディアを募集します。
