閃きプラットフォーム開発レシピギャラリー
Recipe 2 多品種2Dピッキング自働機
開発のポイント
- 1 優れた動作性能を誇るヤマハ発動機製スカラロボットがスピーディな作業を実現
- 2 回転式パーツフィーダーを採用し、1台で多品種のパーツ切り出しに対応
- 3 高性能2Dカメラと2種類のツールヘッドで複雑な形状の部品もピッキング
Recipe 1「超廉価版パーツピッキング装置」と同じくロボット・2Dカメラ・パーツフィーダーの基本構成はそのままに、多品種パーツの切り出しに対応したシステムです。まずカメラがパーツ形状を認識できるようトッププレートをハケではらって整えるとともに、パーツをピッキングしやすい姿勢に揃えます。そこから設定された数のパーツが指定の場所に切り出されるという一連の動作はRecipe 1と共通していますが、産業用スカラロボットの採用で作業スピードが大幅に向上しました。ヘッドにはチャックタイプと吸着タイプのピッキングツール2種類を標準装備しており、1台でさまざまな形状のパーツを取り上げます。 動画では回転式パーツフィーダーと組み合わせて8種類の部品を切り出していますが、フィーダーを増やすことでさらに多品種の部品を扱う現場でも対応できるなど、高い拡張性を備えています。動画で使用されている8種回転式フィーダーを備えたタイプは、過去にトライした3Dビジョンシステム搭載機に対して約1/3の機材費にて展開しています。
小曽 勉 さん
ヤマハ発動機株式会社
FA技術開発グループ
開発者の声
30年以上の実績を誇るヤマハ発動機製の産業用スカラロボットを利用して、1台で多品種のパーツ切り出し作業を自働化したのがRecipe 2「多品種2Dピッキング自働機」です。スカラロボットの基本性能が優れているので、Recipe 1と比較すると動作速度が速いので、作業効率が大きくアップしています。ツールヘッドには先端部分のツメを開閉してパーツを拾うチャックツール、エアで吸い上げる吸着ツールの2種類を標準装備しました。この2種類のヘッドだけで、ボルト・ナット・ねじ・カラーなど掴めるパーツ、ベアリングなど球状のパーツ、ワッシャーなど薄くて平たいパーツなど、かなり幅広い部品に対応できるんです。よく見ていただくとわかるんですが、吸着用ツールヘッドには吸着口が2つ設けてあって、小さなものは1口で、長手の部品は2口で吸い上げるなど、パーツの形状に応じて使い分けているんです。複雑な形状のものでも安定して持ち上げられるように、現場目線で細かい工夫を盛り込みました。またパーツが転がりにくくピッキングしやすい姿勢になるよう、部品形状に応じてトッププレートもさまざまな形状のものを用意しています。取り上げたパーツは動画のように複数の部品をまとめてキットにしたり、パーツトレーのマス目ごとに集める個数を指定したりと、切り出し方は現場の用途に応じて自由に設定していただけます。
この仕様では8種類のパーツを切り出していますが、実際の生産現場ではもっとたくさんの種類を扱っていると思います。種類を増やしたい場合はパーツごとに撮影するか、CADデータの読み込みで簡単にマスターの追加登録が可能です。フィーダーも回転式だけでなくコンベア式で動かすなど、導入する現場にあわせて最適な配置を自らがSIer(*1)となって提案しています。
システム導入費用は一般的によく採用される3Dビジョン方式に比べると1/3の機材費と前述しましたが、パーツ1種類ごとにモジュールで増減できることも現場視点では喜ばれる点です。これにより、投資予算の適正化にもつながります。多品種のパーツ切り出しに人手を割いている現場であれば、ヒューマンエラーによる損失を防ぎながら人件費を削減するなど、導入コストを大きく上回るメリットが見込めると思いますよ。
*1:システムインテグレーションの略。設計から開発、運用・保守に至るまでを請け負うこと