今月のJW女子(2019年12月)
ヤマハ車椅子用電動ユニット(JWX-1)を使用されている波子さんにお話を伺いました。
ヤマハのJWにした決め手!
販売店の方に相談したところ、薦められたのがJWでした。簡易型の電動車椅子は、ヤマハ製しかないような口ぶりで(笑)、提案されるがままでした。実際、試乗したJWのデモ機がとても良くて、デモ機に使用されていた車椅子メーカーさんで車椅子を作ったほどです。
まず普通型の電動車椅子と簡易型とを比較検討しましたね。普通型は、大きくて重くて家の中では「どこに置くねん!」って感じでした。また手動車椅子を使っている時に、簡易型の電動車椅子を使っている、とてもおしゃれな方を目にしたことも大きかったかもしれません。
簡易型のメリットとして「扱いやすい」「手動・電動の切り替えが可能」「手動にして押してもらうことが可能」の3点が挙げられますね。
ヤマハのJWで気に入っているところ
- ・だれにも気兼ねなく、自分の意思で進む、止まるができる
2006年くらいから杖を使っていました。杖でも歩行がきつくなってきたことから、2012年に2度目の脊柱側弯症の手術を受けたのですが、その後、歩けるまでには回復せず、手動車椅子を使うことに。しかも自分の力ではこげないので、家族に押してもらっていました。通院などの決まった用事は、連れて行ってもらっていましたが、それ以外の外出は相手の時間を奪うことになると頼みづらく、そんな状態で2年半ほど過ごしていました。
ある時、たまたま父が、私でも電動車椅子が使えることを知り、販売店からJWのデモ機を持って来てもらったんです。そして、「散歩に行ってくるね」と玄関を出た瞬間、ひとりで玄関を出てドアを閉めるのが2年半ぶりだと気づいて、感極まりました。自分の意志で進んだり、止まったりするのも。あの日のことは、今でも鮮明に覚えています。
車椅子を押してもらっていた時は、ちょっと気になったことがあっても、止まってもらうのが申し訳なく、スルーしていました。JWであれば、道端で猫を見かけた瞬間に立ち止まって、声をかけることができる。その日は近所をぐるり、わずか1周しただけでしたが、どこにでも、どこまででも行ける自由を感じました。意識していませんでしたが、自分の意思を抑えていた頃、相当ストレスだったんだな、と改めて気づき、自由をかみしめた覚えがあります。 - ・人の役に立てる
ひとりで散歩に出かけた後、しばらくして、投函すべきハガキがテーブルの上にあったので、近くにいた父に何気なく「出してこようか?」と声をかけたところ、「行ってきてくれるか?」と返されて。おつかいができる、人の役に立てる喜びを実感しました。 - ・距離や道の勾配を気にせず出かけられる
杖を使っていた最後のころは、100mも進むと少し休憩するほどでした。JWはバッテリーが持つ限り、どこまでも疲れずに行くことができます。勾配も気にせず出かけられます。
- ・電気の力が車輪の動きを完璧に制御している
坂道でも、立ち止まりたいと思ったその瞬間、スパッと止まれるんです。普通、車でもなんでも止まるまでに惰性で多少動いたりするじゃないですか。下り坂でも、一切加速せず。完全制御なんですよ!!
ただ、いきなり止まれることが、周りの人からは、わかりにくいので、人が多い場所では、周りを必ず見てから、動作するように心がけています。奈良は観光の方が多いですからなおさらです。
ヤマハのJWで改善して欲しいところ
- ・ターボ機能が欲しい!
普段は気になりませんが、一緒に出かける友人の足が速くて、ついていけずに申し訳ない気持ちになることがあります。また、通い慣れた道は信号のタイミングを把握しているので問題ありませんが、知らない場所で横断中に信号が点滅しだすと、歩道の真ん中で焦ります。そんな時に小走りする感じで、ほんの一瞬パワフルに加速できるといいなぁと思います。
私が使っているJWは、走行速度の設定が4.5km/h仕様なので、なおさらかもしれません。 - ・雨でも使えるといい
雨の中、出かけていくことは滅多にありません。ただ出先で降られると、取扱説明書に雨天時の使用を控えるよう記載されているので、「壊れる!」と心配です。★JW担当:小雨程度であればバッテリーや駆動部に雨がかかっても壊れることはありません。出先で急に雨が降り出してきたように、やむを得ない場合は慎重に運転してください。雨天時は、タイヤが滑りやすく、また視界も悪く危険性が増します。
メッセージ
JWなら誰の手も借りることなく、自分の意思で行動する自由が手に入りますよ。遠いから、と諦めていた場所に行けるんです。距離をクリアできるんです。長時間乗っていると、時に腰が疲れますが、杖で移動していたころに比べたら圧倒的にラクです。
友人に声をかけてもらい始めたライターの仕事は、ひとりで行動できるようになったからこそ、引き受けられたんです。時に奈良から神戸まで、情報収拾のため文具の展示会に出かけたりしますからね。
JWは簡易型で、大げさでないのもいいんです。
手動に切り替えができる上、普通型電動車椅子のように重くないので、何かの時には介助を頼めるのです。
バスに乗る時、最初は運転手さんに手を貸してもらうことにためらいがありましたが、気さくに対応してもらえて気が楽になりました。街の中でも段差などで困っていると「お手伝いしましょうか?」と声をかけてくださる方がたくさんいます。自分が歩いていた頃を思い返すと、声をかけた時は頼ってもらえる方が嬉しく感じた記憶があるので、今も声をかけてもらえた時は遠慮せずに手をお借りしています。
できることは自分でやるけれど、できないことは周りにお手伝いを気軽に頼む。簡易型のJWだからこそ可能なんです。
ジョイスティックを操作して颯爽と進む私の姿を見た友人が「かっこいいね!」って言ってくれたので、「でしょ?」って。手の力が弱いのですが、JWであればスムーズに進むし、自分の意思で進んで感じる風は、とても心地いいですよ。座位が保てるうちは、ずっと使い続けたい。この車椅子を作って間も無く6年。次回、作り変える時には、走行速度6km/h仕様にしたいな、などと今から思案しています。
撮影協力:
カフェ&レストラン「CAFÉ ETRANGER NARAD(カフェ エトランジェ・ナラッド)」
奈良県奈良市上三条町23-4 奈良市観光センター「ナラニクル」内
電話:0742-20-5620
https://www.cafe-etranger.jp/
近鉄奈良駅、JR奈良駅、そして奈良公園からもアクセスが良い、奈良市観光センター「NARANICLE(ナラニクル)」内にあるカフェ&レストラン。旬の野菜や大和ポーク、大和肉鶏など、地元の食材をふんだんに使ったメニューが並びます。パフェには、鹿のクッキーが添えられており、写真を撮らずにはいられないかわいさでした。
NARADとは、“奈良”と「radical」を短縮した英語のスラングで「最高」「素晴らしい」などの意味を持つ“rad”を組み合わせた造語で、奈良の魅力を伝え、盛り上げていこうという思いが込められているそうです。