車輌全体を通した開発による高いブレーキパフォーマンス
モーターサイクルの性能維持に必要な消耗部品の定期交換をお勧めいたします。純正部品の交換及び車両の整備はヤマハ販売店にご依頼ください。
純正ブレーキパッドは低速から高速まで安定した制動力を発揮し、ブレーキシステムと車輌が一体となって機能するように作られています。実際の車輌ではサスペンションのストローク量や硬さ、フレームとホイールの剛性、タイヤのグリップ力、車体重量といった多くの要素が複雑に絡み合うため、ブレーキ部品個々の性能だけで評価することはできません。つまり、ブレーキパッド単体で開発される非純正部品と車両全体を通して開発される純正ブレーキパッドでは、ブレーキシステムのトータルパフォーマンスに大きく差が出ます。
純正ブレーキパッドは、エンジンパフォーマンスに見合った制動性能はもちろんのこと、ブレーキング時のサスペンションとのマッチングといった運動性能に関わる要素も満たすため車種専用で開発しています。
高い制動力と低い消耗量の両立
ブレーキングのたびに摩耗し続けるブレーキパッドとブレーキディスク。求める性能は“高い摩擦力を発揮しつつ消耗量は少なく”ですが、消耗部品同士にそれらを両立させるのは難しく、使用する材質を硬くすれば解決できるといった単純なことではありません。ブレーキパッド摩擦材のベースとなる素材(基材)は金属繊維や化学繊維を単独、または組み合わせて使用し、ブレーキディスクとブレーキパッドがさまざまな条件下で目標とする制動力が得られるように作られています。
純正ブレーキパッドは、摩擦材に使用する素材と製造加工技術を研究開発されています。それにより、高い制動力と低い消耗量の両立が可能となっています。
安全規格
純正ブレーキパッドは、仕向け地毎に異なる安全規格や使用環境まで考慮して開発する必要があります。欧州、USA、カナダ、日本など、保安部品のブレーキに安全規格を設けている国は多く、それらの国で車輌を販売するためには性能試験をクリアして安全性を実証しなければなりません。規格は正確で公平な測定を行うため、実走試験時のタイヤ空気圧や風速、テストライダーの姿勢など、検査条件も厳しく定められています。純正ブレーキパッドは、最も厳しい安全規格をクリア出来る性能と品質を確保した上で、さらにブレーキフィーリングや快適性を追求しています。
国・地域 | 規格名 | ドライ試験 | ウェット試験 | フェード試験 | ||
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一般走行速度 60km/h |
高速走行速度 最高160km/h |
一般走行速度 60km/h |
加熱状態(制動回数10回直後) 60km/h |
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欧州 | ECE 78 | 停止距離または減速度 | 減速度 | 停止距離または減速度 | ||
EEC 93/14 | ||||||
日本 | 保安基準12条 | |||||
USA | FMVSS122 | 停止距離 | 減速度 | |||
カナダ | CMVSS12 |
試験時注意事項および条件(ECE R78-02)
1. 試験データは車輪をロックせず、車輌が走行コースを外れず、異常な振動を生じることなく得られること。
2. 操作力は規定された最大値を超えないこと。
3. ブレーキレバーでの操作力はレバーの外側端より50mmの所で入力すること。
4. タイヤ空気圧はコールド状態で所定の圧力に合わせること。
5. ウェット試験では、ブレーキはコールド状態から制動すること(ディスク温度は100℃以下のこと)。
6. ライダー姿勢は通常運転状態で行うこと。
7. テスト路面は、水平で乾燥した良好な摩擦力の路面であること。
8. 風速は5m/s以下で実施のこと。