本文へ進みます
サイト内検索

JWキッズユーザーインタビュー:奈那さんとJW(Vol.2)

ヤマハJWX-1 PLUS+を装着した電動車椅子を利用されている濱田 奈那さん。お母さまの知加さんにお話を伺いました。

一歩踏み出すのは
すっごく難しい、
でも可能性を信じてやってみて!
電動車椅子なら叶うかも

濱田 奈那さん(9歳)

濱田 奈那さん(9歳)

自分の意思で行動させると3倍くらい時間がかかる
でもそこには9歳の奈那さんだからこその想いややりたいことが詰まっている

毎朝、各教室をまわって健康調べカードを集める係を担当している奈那さん
誰の健康調べカードかを先生に報告
全て集めたら保健の先生のところへ提出しに行く

「補装具費支給制度」への申請は、お医者さんやリハビリの先生方の理解がまず大事ですね。申請書を書いていただけませんから。うちの場合は、小学校に上がる時から電動車椅子が使えるようになればいいなと、幼稚園年長の5歳の時に申請しました。お医者さんをはじめとする支援者の方からは理解してもらえたものの、未就学児はまず前例がないと、市役所で却下されました。
その後、小学校に上がってもう一度申請しようとしたのですが、本人にちょっとトラブルがあって市役所の人に調査に来てもらえない状況でした。最近、体調がとても良く、改めて申請しました。

現状では、小さい子どもが電動車椅子の利点を体感したり操作の練習をしたりする機会がなかなかありません。各地の療育センターとかで、電動車椅子をお試しできるような制度ができるといいなぁと思いますね。というのも、先日、小児関係の学会で、「自分で動く」ことの重要性が話されていたんです。そこで重度障がいのお子さんが卒業式の時に電動車椅子に乗って卒業証書を取りに行く様子や、運動会でリレーに参加する姿が紹介されていて、めちゃくちゃ感動しました。なかには意思の表出が難しい子もいて、何を考えているのか、何をしたいのかがわかりにくいことがあります。それでもあっちに行ったりこっちに来たりと移動することで、意思表示するんですよね。

娘もバギーに乗せて朝の係をやらせたら、すっと終わるんです。電動車椅子に乗って自分の意思で行動させると、3倍くらい時間がかかる。でもその3倍かかる中に、彼女の想いとか、やりたいことが詰まっているんです。周りで支援する大人は大変ですが、その子どもの行動って今しかない。18歳になったら、あんなふざけた行動はしないと思うんです。9歳の奈那さんだからこその反応なんだろうなと思うので、全国の子ども達にその年齢でなければ叶わない経験をさせてあげたいですね。

※2015年に厚生労働省の補装具費支給事務取扱要領「電動車椅子に係る補装具費の支給について」の一部改訂があり、「学齢児以上であって、電動車椅子の特殊性を特に考慮し、少なくとも小学校高学年以上を対象とすることが望ましいこと」とされていたものから、「小学校高学年以上を対象とすることが望ましいこと」という文章が削られた。

私自身も諦めていたけれど、できないと思っていたことが意外とできるかもしれない
可能性があることを伝えたい

電動車椅子に乗って、いたずらさえする今のこの奈那さんを、病名を告知された直後には全く想像できませんでした。筋ジストロフィーという病名に対する私のイメージの中に、こんなにアクティブに活動できている彼女の姿は全く浮かばなかったんです。

好奇心満載の奈那さん。取材に訪れた私たちが気になって係の仕事になかなか集中できない

私たちはたまたま支援者の方に恵まれ、電動車椅子を紹介してもらえたことで、世界がすごく変わりました。ですので一人でも多くの親御さんやお子さんに、電動車椅子を使うことでこんなにも変わるんだ、こんなことできるんだ、ということを実際に経験してほしいです。

とはいえ、諦めないでって言うのは難しい。私自身も諦めていたし。けれど、いろんなことに挑戦してみたら、できないと思っていたことが意外とできるかもしれない。できるとは言い切れませんが、可能性があるかもしれないということを伝えたい。一歩踏み出すのはすっごく難しいですが、勇気を持ってやってみよう、無理かもしれないけれどやるだけやってみよう、と思ってほしいんです。

そして周りの支援者の方には、そうしたチャンスを一つでも増やしてあげてほしい。毎日の生活で忙しいと、良さそうなものや情報があったとしても、自分で調べて、取り寄せて、試すことはすごくハードルが高いと思います。

私はいろんな人との巡り合わせでバーンって扉をあけてもらったこともあって、いい先生がいると聞けば遠方でも駆けつけるなど、自分から積極的に行動してきました。高知県内に留まっていたら世界は広がらなかったと思います。なので、親御さんにはもっともっと積極的に活動してほしいです。
9歳の奈那さんは今しかいない。子どもはどんどん変わっていってしまうから。そのためにも電動車椅子の可能性を広く伝えたいですね。

プロフィール
濱田 奈那(はまだ なな)さん
高知県立高知ろう学校小学部3年生(9歳)
福山型筋ジストロフィーと重度の聴覚障がいの重複障がい。自力で座位姿勢を保持できず、寝返り介助も必要。
学校では健康調べカードを集める係に抜擢され、時折ふざけながらも、毎朝任務を全うする。先生の背後からそっと近づいておしりを触り、驚く様子を得意そうに見上げるお茶目な一面も。とにかくやんちゃでいたずら好き。先生によると、奈那さんがいると周りが明るくなるんだとか。
ページ
先頭へ