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ボッチャスペシャルインタビュー:杉村英孝選手

日本を代表するボッチャアスリート・杉村英孝選手に競技のことやヤマハJW製品のこと、毎日の生活のことなど、詳しく伺いました。

コートの上では自分の判断が全て

私がボッチャと出会ったのは高校3年生の時です。もともとスポーツが好きで、友人とツインバスケットやサッカーを楽しんでいました。高校卒業後も取り組めるスポーツを探していた際に、入所していた施設の先生がボッチャの国際大会のビデオをみせてくれました。そのときは、「へ〜こういう競技があるんだなぁ」といった印象でした。
翌年、静岡県内でボッチャの大会が開催され、幼馴染とチームを結成して出場しました。狙った通りのゲーム運びとはいきませんでしたが、相手との駆け引きやゲーム性の高さが面白く、初めての試合を純粋に楽しむことができました。結果は団体戦で3位となりましたが、負けた悔しさが強く次へのモチベーションが高まりました。もともと負けず嫌いで、今でもその気持ちがアスリートとしての原動力になっています。もし最初の試合で優勝していたら、ボッチャを続けていなかったかもしれません。
ボッチャの魅力はたくさんあります。日常生活で介助が必要であっても、コートの上では自分の考えたことを行動しプレーする。どんなに障がいが重くても最終的な判断は選手が下します。ボッチャは自己選択と自己決定の競技である、と常々言っているのですが、自分のやりたいことを表現できる部分がとても素晴らしいです。本当に素敵な競技に出会えたと思っています。

心おきなく自由に出かけられ活動範囲が拡大

施設に入所していた時は、松葉杖と手動車椅子を使い分けながら生活していました。そこから社会人になるにあたって、単独で移動する必要性が高くなっていきました。移動に掛かる時間や機能的に動けることを考慮して、JWを使用することにしました。
JWは手動車椅子よりも快適に移動できるし、電車やバス、福祉タクシーなどの公共交通機関を活用することで、圧倒的に行動範囲が広がります。
最近は外出機会が減ってしまいましたが、以前はアーティストのライブによく行っていました。これもJWだからできることです。私にとっては非日常的な空間にいることがリフレッシュになるので、コロナの状況が落ち着いたらまた行きたいですね。
普段自分一人でできないことは誰かにサポートしてもらうのですが、手伝ってくれる相手の都合を考えると必然的に遠慮や躊躇が生まれます。でもJWなら自分のタイミングで行きたいところに行けるため、活動の範囲が大きく広がりました。その代表的な活動がまさにボッチャです。以前は学校や病院だけで世界が完結していたのですが、ボッチャに取り組むことでたくさんの人に出会い世界が広がりました。そういう意味では、JWを利用することで社会との繋がりを構築できたと感じています。

コンパクトさと繊細な制御がボッチャにもってこい

ボッチャで勝つための要素の一つに「投球角度の確保」があります。
横幅1m奥行き2.5mのスローイングボックスの中から投球するのですが、車椅子が大きいと動ける範囲が限られてしまいます。コンパクトな車椅子の方が、空間を有効的に使えるというメリットがあります。
また、競技中はあとちょっと右を向きたいとか、1ミリ左に動きたいという場面がたびたび生じます。それが投球角度にもつながるのですが、私の場合、手動車椅子では細かく向きを変えることが難しいです。
一方でJWは制御の感度を高く設定することで小回りも効くし、ちょっとした位置合わせ、微調整がしやすく使いやすい。こういった機能を試合の中でうまく活用しています。JWは手動同等のコンパクトさと細やかな制御、まさにいいとこどりの機能を実現しているのです。

夢を持つことで意識と行動が変わる

ボッチャをきっかけにいろんな人と出会い、そのつながりの中で学び、経験を積んだことで今の私があります。自分にとってボッチャは生き甲斐と言えるほど大きな存在です。社会とのつながりを築いてくれたボッチャ、そして社会に出るパートナーになってくれたJWによって、自分の人生が本当に大きく変わりました。
ボッチャと出会って22年・・・東京大会で金メダルを獲得し、悲願を成し遂げた今、夢を持つことの大切さを強く感じています。夢を持つと意識が変わり、行動が変わります。夢中になれるものがあると心も身体もいきいきし、日々の生活が充実します。みなさんも夢中になれるもの、楽しいと思ってがんばれることをぜひ見つけてください。
私が金メダルを取ったことで「杉村が1位になれるなら、自分もできるんじゃないか?」と考える人も多いかも。私の金メダルがみなさんのモチベーションにつながっているのであればとても嬉しいです。目標や夢に向かってどんどんチャレンジして欲しいです。私は負ける気ありませんけどね(笑)。

PROFILE

杉村 英孝(すぎむら ひでたか)選手
1982年3月1日生まれ。静岡県出身。
2000年にボッチャと出会い、翌年大会に初めて出場。3位の成績に悔しさを覚え本格的に取り組み始める。2010年日本代表に選出され広州2010アジアパラ競技大会に出場。2011年にはボッチャワールドカップに出場し団体戦で銀メダル。2013年には日本ボッチャ選手権大会・個人戦BC2クラスで初優勝。2016年リオ大会にて団体戦銀メダル、2021年東京大会にて団体戦で銅メダル、個人戦では日本ボッチャ史上初となる金メダル獲得。
得意技は、密集するボールに自身のボールを載せてジャックボール(白い目標球)に近づける「スギムライジング」。
現在、伊豆介護センターに勤務しながら、競技生活とボッチャの普及活動に取り組んでいる。
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