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Yamaha Motor Revs Your Heart

Town eMotion 未来のまちとモビリティ

事例紹介04 グリーンスローモビリティがつないだのは、まちと人。

グリーンスローモビリティがつないだのは、まちと人。
運んだのは笑顔と地域の未来への可能性

グリーンスローモビリティがつないだのは、まちと人。
運んだのは笑顔と地域の未来への可能性

「モビリティとその感動体験を提供し、まちづくり/課題解決を通じて、新たな製品価値/事業モデルを具現化する活動」──。クリエイティブ本部フロンティアデザイン部のメンバーを中心に、こんなコンセプトのもとに活動するプロジェクト「Town eMotion」、略して「TeM」。
TeMが3月19日(日)に参加したのは、磐田市・御厨エリアで開催されたふたつのイベント「Dream Catcher Cafe」と「しんめいの森マルシェ」です。今回はTeM活動の一環として、約900m離れた場所で開催されたふたつのイベント会場をグリーンスローモビリティ(GSM)で結びました。
グリーンスローモビリティとは、時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスのことです。グリーンスローモビリティが、当日、何をつなぎ、何を運んだのか。そこで私たちは何を見て、何を感じたのか......。ご協力いただいた運営メンバー、そして参加者や利用者の声とともにお伝えします。

「モビリティとその感動体験を提供し、まちづくり/課題解決を通じて、新たな製品価値/事業モデルを具現化する活動」──。クリエイティブ本部フロンティアデザイン部のメンバーを中心に、こんなコンセプトのもとに活動するプロジェクト「Town eMotion」、略して「TeM」。
TeMが3月19日(日)に参加したのは、磐田市・御厨エリアで開催されたふたつのイベント「Dream Catcher Cafe」と「しんめいの森マルシェ」です。今回はTeM活動の一環として、約900m離れた場所で開催されたふたつのイベント会場をグリーンスローモビリティ(GSM)で結びました。
グリーンスローモビリティとは、時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスのことです。グリーンスローモビリティが、当日、何をつなぎ、何を運んだのか。そこで私たちは何を見て、何を感じたのか......。ご協力いただいた運営メンバー、そして参加者や利用者の声とともにお伝えします。

有志によって開催された地域密着型のアットホームなふたつのイベント

まずは、JR御厨駅から南へ200mほど下った場所で開催された「Dream Catcher Cafe」の様子を。
朝10:00の開始時間を待たず、イベントを主催するヘアサロン「Dream Catcher」の周辺は、お子様連れのご家族やカップル、近隣にお住まいのご高齢の方や若い人たちのグループで賑わいをみせていました。イベント会場である、再開発に向けて造成途中となっているスペースには、この日のために集まったキッチンカーがずらり。人気のハンバーガーショップやハンドメイドのお菓子、有名シェフが監修した丼メニューなど、幅広いラインナップで来場者を迎えます。

ランチタイムをめがけて、徒歩や自転車、自家用車で訪れる多くの人たち。前日までの雨模様から一変、春の陽がさんさんと降り注ぐなか、DJブースから流れる心地よい音楽をBGMに、おいしいフードと楽しげな会話の共演がそこかしこで溢れていました。そして、グリーンスローモビリティが「Dream Catcher Cafe」とつないだのは、同日に開催された「しんめいの森マルシェ」。こちらは、651年に創建されたといわれる「鎌田神明宮」が会場です。

静岡県の「ふるさと自然百景」にも選ばれた風光明媚な景色のなか、昔ながらの出店が並び、子どもたちが笑顔になれるワークショップ形式の催しが満載のイベントです。

ガラスアートや貝殻アート体験、子どもたちを対象としたご祈祷会、ハワイアンフラのライブなどさまざまな体験型イベントが実施されるなか、参加100組を超えるほどの大きな盛り上がりをみせたのは......

ファンで空気を送り込んだナイロン性の着ぐるみを着て全力疾走し、そのタイム(と一部パフォーマンスも)を競う「ティラノサウルスレース」。MCを務める人気YouTuberコンビのさすがのマイクパフォーマンスも光り、会場周辺は応援と歓声に包まれていました。

「バスがなく、地域住民の交流も少ない」イベント開催者が語る御厨の課題

3年前、地元である御厨にヘアサロンをオープンし、2020年3月のJR御厨駅の開業をきっかけに自身のサロン名を冠したイベント「Dream Catcher Cafe」をスタートさせた川島靖貴さんは、こう言います。

地元の多くの人たちに望まれて、長い構想の末に完成した御厨駅ですが、開業したのはコロナ禍の真っ只中。本来であれば駅の誕生は盛大に祝われ、まちが活気づくことを期待でしたんですが......。この一帯にはもともと茶畑が広がっていて、駅の開設のために整備されたエリアなので、ビルもテナントも、お店もありません。せっかくきれいな駅ができたのに、人が集まれる場所や機会がないことで若い人たちはまちを離れ、地域コミュニティから活気が失われていく。それが、すごく寂しかったんです。そこでスタートさせたのが今日のイベント「Dream Catcher Cafe」です。若い人たちをこのまちに呼び戻して、地域の高齢者の方々や地元の人と交流してもらい、御厨というまちのよさを再確認してもらう。そんなイベントにできたらなって。 そんな想いで開催している『Dream Catcher Cafe』ですが、このまちは大きな課題を抱えていました。誰もが手軽に利用できる交通インフラの不足です。駅ができる数年前に、それまで高齢の方や体の不自由な方、そして子どもたちの重要な移動手段だったバスが廃線。現在は一本も走っていません。 地域と地域、コミュニティとコミュニティをつなぐ手段がないことに、利用者だけでなく、多くの地元の人が頭を悩ませていました。そんななか、ヤマハ発動機さんから、こんなご提案をいただいたんです。「グリーンスローモビリティで、その課題解決のお手伝いをさせてもらえませんか?」って。

ふたつの会場を結んだ グリーンスローモビリティ。利用者が感じたこととは......?

ともに地域コミュニティの活性化を目指すふたつのイベントは、約900m離れた場所での開催。先の川島さんの言葉にもありましたが、このエリア一帯には、もともとは茶畑が一面に広がっていました。茶の栽培には、風通しのいい高低差のある地形が求められます。そして、水捌けのいい地質も重要な要素のひとつとされているのですが、御厨はまさにその好条件が揃った地域。なだらかながらも起伏にとみ、そこかしこに農業用の水路や小規模の河川が流れています。水路にかかった橋を縫い、高低差のあるエリアを徒歩や自転車で行き来するのは、地域のご高齢の方々や小さなお子様連れのご家族にとっては一苦労。

そこで私たちは考えました。
「これこそが、私たちTeMが掲げる“モビリティとその感動体験を提供し、まちづくり/課題解決を通じて、新たな製品価値/事業モデルを具現化”を試すチャンスなのではないか」と──。

それぞれの会場から来場者を乗せてピストン運行するのは、2台のグリーンスローモビリティ。実施前、はじめての試みのため利用率や利用者数などに多少の不安を感じてはいましたが、臨時の停留場所には、つねに搭乗を待つ来場者の方々の姿が。移動の足としてはもちろんですが、小さなお子様には、新しく、そして楽しそうなアクティビティとしてその目に映ったようです。結果、2台合計で20往復以上、200名以上の来場者の方々にご利用いただきました。

以下、利用者からいただいたコメントの一部をご紹介します。
「自動車とも自転車とも違う、新しい乗り物体験ができた」
「開放感からか、はじめて会った人とも会話が弾んだ」
「楽しい。気持ちいい」
「細い道も入っていけるので便利」
「(稼働音/走行音が)静かだから、落ち着いたまちと風景に馴染む」

イベントへの参加で得た気付きと あるべきモビリティの未来像

ほんの1日限り、たった2台のグリーンスローモビリティの導入という、規模としては決して大きなものではありませんでしたが、私たちTeMは、イベント関係者や来場者の方々との会話のなかで、大きな手応えと気付き、そして、ここ御厨だけでなく、日本中でさまざまな課題を抱える地域やコミュニティとの協業、共創のアイデアの種を見出すことができました。

新規事業推進部 企画グループでグリーンスローモビリティの推進を担当している森田浩之さんは、こう言います。

「御厨駅の周辺、とくに南側のエリアでは、高齢者を中心に“移動が不便”と感じている方が多いと伺っています。また、若い方と高齢者の方の接点がないという課題もあります。高齢者や体の不自由な方々は、交通や移動の便が悪いことで、外出機会が減り、人との接点が失われ、個人や地域にとってよくない循環......つまりは“負の連鎖”が生まれてしまうのではないかと思います。これは、ここ御厨だけではなく、日本全国、多くの地域やコミュニティが抱えている社会課題といえます。私は、サステナブルな社会を実現するための要素のひとつとして、“誰もが自由に移動できる”ことが重要だと考えています。というのは、移動が不便になると、特に高齢者の方は、外出する機会も減り、人とのコミュニケーションもなくなり、介護が必要な状態、例えば認知症などになりやすくなってしまいます。そうなると自治体の社会保障費も増大し、その街の住民だけでなく、町全体の元気が低下してしまいます。我々は、その負の連鎖を止める モビリティを提供したいと考えています。我々が開発したグリーンスローモビリティは、単なる移動手段ではなく、ひとつのコミュニケーションツールです。人と人をつなぐモビリティです。 過去の研究では、乗った方の95%が“誰かしらと会話をした”という結果が出ています。さらに、そのうち2割の方は“同乗者だけでなく、走行中に道行く人と会話をした”とのデータがあります。それは、ドアもなく、時速20キロもでないからです。街の風を感じながら、ゆっくりとリラックスできるからだと思っています。さらに、課題解決という側面では、移動サービスのスタッフも地域の方々で担うことも重要なポイントではないかと思います。乗客としてだけでなく移動スタッフとしても多世代で繋がることができます。日常に於いてそういった機会を保てていれば、防災の観点でも、いざという時にも皆で助け合える、そんな街にもなっていくのではと期待しています。今日のイベントでグリーンスローモビリティを利用してくださったみなさんの笑顔や、異なる世代が交流している様子をみて、このモビリティなら、そんな社会の実現のお手伝いができるのではないかと思いました」

そして、TeMをリードし、イベント当日の運営を担当されたクリエイティブ本部 フロンティアデザイン部 フロンティアハブグループの阪田康平さんは、プロジェクトの未来をこう語ってくれました。

「私たちは、2020年ごろから関東を中心にTeMという活動を続けてきました。 神奈川・鎌倉、東京の世田谷などで、グリーンスローモビリティやパーソナルモビリティを用いて、さまざまな社会実験をおこなってきました。その活動をヤマハ発動機の本社がある磐田でも実施したいと地域の方々と会話していくなかで感じたんです。そして、『Dream Catcher Cafe』の主催である川島さんと出会い、今回のイベントでの協業が実現しました。私たちTeMが、ふたつのイベントとの連動を決めたのには、主にふたつの理由があります。ひとつは、ここ御厨の地を盛り上げたいという想い。御厨駅が完成し、ヤマハ発動機の事業所ができた御厨というまちを盛り上げたいという気持ちです。ふたつ目は、このまちの移動インフラの圧倒的な不足にあります。このまちでは、バスが数年前に廃止になったため、移動手段は主に徒歩、自転車、自動車のいずれかになります。そんななかで、今回導入した公道仕様の電動カートをベースにしたグリーンスローモビリティを利用することで、地域と地域、人と人、コミュニティとコミュニティをつなげることができるのではないかと考えました。そもそもTeMは、“ヤマハ発動機らしい、モビリティとその感動体験を提供し、まちづくり/課題解決を通じて、新たな製品価値/事業モデル、更には自社の社会価値を具現化する活動”をテーマに掲げています。今回のイベントでは、そんなテーマに沿った、移動手段の提供だけではない貢献や価値、そして可能性を感じることができました。今後は、グリーンスローモビリティだけでなく、ヤマハ発動機のさまざまなモビリティやソリューションを活用して、新たな地域貢献や課題の解決に取り組んでいきたいと考えています」

人と、地域と、ともに前へ。

TeMが、人に、地域に、そして社会に貢献できるカタチはさまざまです。今回、グリーンスローモビリティでふたつの地域を結ぶことで得られた気付きや発見は、今後に計画されているさまざまな施策のアイデアの種になります。

モビリティが移動の手段以外の価値や意義をもつ未来──。

私たちは、これからも社内外問わず連携をはかることで、ヤマハ発動機とモビリティのさらなる可能性を探っていきたいと考えています。

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