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事例紹介05 笑顔あふれる、御厨をつくろう。BLUE STATION MIKURIYA 2023

まちと人、そして企業がひとつになって目指すのは──理想のまち・御厨。

まちと人、そして企業がひとつになって目指すのは──理想のまち・御厨。

2020年3月の駅の開業をきっかけに住民とヤマハ発動機による“まちづくり”に向けた具体的なアクションがスタートした磐田市御厨で、先日、新たな取り組みが実施された。
「産官民が一体となり、御厨住民との共創コンテンツを作成する」──。
今後、数年にわたって計画されているというアプローチの第一弾となる9月30日のイベント「BLUE STATION MIKURIYA 〜笑顔あふれる、御厨をつくろう。〜」でみえた、御厨の、そしてさまざまな課題解決に向けて奮闘する日本各地のまちの未来を輝かせるためのヒントとは?

2020年3月の駅の開業をきっかけに住民とヤマハ発動機による“まちづくり”に向けた具体的なアクションがスタートした磐田市御厨で、先日、新たな取り組みが実施された。
「産官民が一体となり、御厨住民との共創コンテンツを作成する」──。
今後、数年にわたって計画されているというアプローチの第一弾となる9月30日のイベント「BLUE STATION MIKURIYA 〜笑顔あふれる、御厨をつくろう。〜」でみえた、御厨の、そしてさまざまな課題解決に向けて奮闘する日本各地のまちの未来を輝かせるためのヒントとは?

世代を超えて楽しめるさまざまな出展に地域外からも多くの来場者が

かつては一面が茶畑だったという御厨の駅から続く新設の目抜き通り。その両サイド、整備途中の更地にはキッチンカーや特設テントが並び、午前10時の開会と同時に家族連れや学生グループ、年配の方々などが続々と集まりはじめる。

「BLUE STATION MIKURIYA 〜笑顔あふれる、御厨をつくろう。〜」。
前夜の雨空から一転、イベント名に冠されたBLUE/青を象徴するかのような雲ひとつない蒼天のもとで迎えることになったイベントは、今年3月に同地区で開催された、地域の有志によるイベント「Dream Catcher Cafe」「しんめいの森マルシェ」の2つの会場をグリーンスローモビリティ(通称 グリスロ・GSM ※時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービス)<※以下、グリスロ>の運行で結んだことをきっかけに地域住民とヤマハ発動機のリレーションが強化されて実現に至ったもの。

民と産、地域の人々と企業が企画したイベントの会場には、オレンジのユニフォームに身を包んだレスキュー隊や地元の消防団、そして警察官の姿も。
そう「BLUE STATION MIKURIYA 〜笑顔あふれる、御厨をつくろう。〜」は、地元の人々とヤマハ発動機、そして自治体も「協力」に名を連ねた「産官民」の連携によるもの。
「磐田市御厨を、住みよく、より素敵なまちにするために」──。
想いを共にする三者による新たな取り組みとは、はたして......。

「BLUE STATION MIKURIYA」の意味と意義

笑顔と歓声に沸くイベント会場の一画、「ブリアージュ御厨」内に設営されたワークショップのスペース。この場所こそが今回のイベント「BLUE STATION MIKURIYA 〜笑顔あふれる、御厨をつくろう。〜」が担う最大のミッションを司る重要なポイントとなる。

壁面にプロジェクターで投影されているのは、レーザースキャンを使用して3Dデータ化されたJR御厨駅の付近の映像。広角での撮影データは、人の目線の高さだけでなく、まるでドローンで空撮したかのような高い視点からの風景も抜群の立体感で再現している。
ここでおこなわれるワークショップのテーマは「理想のまち・御厨を作ること」。

「ロータリーにコンビニがあると嬉しい」

「駅前に居酒屋やバーがあればいいな」

「アートギャラリーや図書館があったら楽しいかも」

イベントに参加した地域住民の声をヒヤリングし、その場でビジュアル化して3Dマップ内に配置。理想のまちを“魅せる化”することで、地域の人たちに現実感をもって御厨の未来像を描いてもらおうというユニークな取り組みなのだが......ワークショップの本分は、そのユニークネスや3Dテクノロジーの活用ではない。
「社会課題の吸い上げ」。
駅周辺の土地の造成は進んでいるものの、店舗やテナントが入居するビルなどがなく、駅に公共交通の路線が乗り入れていないこともあり、地域コミュニティの活性化には至っていないのが現状。

それら磐田市御厨とそこに住む人々が抱えている“社会課題”を最新テクノロジーを用いて“ニーズ”というポジティブな思考に変換し、共有する。興味深いアイデアを提案してくれた参加者にはデプスインタビューを実施し、インサイトを深掘りすることでクリティカルな意見を聞き出す。
その一連のオペレーションを通じて浮き彫りになった課題を次のステップに活かすことこそが、産官民による開催となった「BLUE STATION MIKURIYA 〜笑顔あふれる、御厨をつくろう。〜」の目的だった。

まちと企業と、そこに住む人たちのリレーションとセッション

2020年に生まれ故郷である御厨にヘアサロンをオープンし、これまで地域の活性化に向けたさまざまなイベントを企画、運営しつつ、「BLUE STATION MIKURIYA 〜笑顔あふれる、御厨をつくろう。〜」では実行委員長を務めた「Dream Catcher」代表・川島靖貴氏は、イベントについてこう語る。

「もともとは“御厨から磐田を元気に”というスローガンのもと『Dream Catcher Cafe』というイベントをやっていて、縁あってヤマハ発動機と組んで今回のイベントを実施するに至りました。 新型コロナウイルスの影響で一旦ストップしていた駅前の開発が再始動したので、それを加速させることができればと考えています。 かつて、自分のような民間の有志が集っておこなってきたものに比べて、規模も拡大し、コンテンツも増えたことで、さらに多くの人が楽しめるものになったんじゃないかなと感じています。 ただ、参加してくださったみなさんに楽しんでもらうことはもちろん重要ですが、今回のイベントは産官民、つまりヤマハ発動機と自治体、そして私たち地域住民が一丸となって、さまざまな社会課題の解決への糸口を見出すのが目的。 前回のイベントでも大好評だったグリスロをバスが運行していないエリアの新たな移動手段のひとつとして地域の方に体験してもらい、その利便性の高さを感じてもらったり、3Dデータを使ったワークショップを開催したり、まずは多くの地域の方々に参加してもらい、それぞれが感じている“理想のまち・御厨”を想像してもらうことが重要だと考えています」

磐田市御厨の住民としてまちの活性化を心から望む川島氏の想いがこもったイベント「BLUE STATION MIKURIYA 〜笑顔あふれる、御厨をつくろう。〜」。
その想いと趣旨に賛同して「協力」として参画した「磐田市 経済産業部 産業政策課」の産業振興グループ長・鈴木崇寛氏は、草地ひろあき磐田市長のイベントの視察に随行したのちにこう話してくれた。

「普段は地域の事業者さんの支援をしていて、ヤマハ発動機さんとのお付き合いもあるなかで、“新たな価値創造”に取り組んでいることは知っていました。 『磐田・御厨で新たな価値を創造したい』といわれたとき、いち住民としても本当に嬉しくて......。 企業と地域のみなさんをうまくつないでいきたいなという気持ちで、今回のイベントには“協力”という立場で参加させていただきました。 民間だけでも企業だけでも、自治体だけでも解決するのが難しい社会課題や実現が困難な未来も、それぞれの強みやつながりを活かすことで叶えることができると信じています。 そのひとつの答えが、グリスロに乗っている方々の表情に表れていたんじゃないかと感じます。子どもも親御さんも、年配の方も、磐田市の住人の方もそうでない方も、総じてみんなが“笑顔”だったことに象徴されているんじゃないかと......。 これはいち磐田市民としての個人的な願いではありますが、いつかグリスロが『御厨で走ってるあれでしょ?』といわれるような、取り組みそのものが地域振興のケーススタディになればいいなと思います」

「このまちは人にパワーがあるし、企業も地域の活性化に本気で取り組んでくれている。“理想のまち・御厨”はいつかきっと、実現できると信じています」──最後をそう締め括った磐田市役所・鈴木氏。
そして、イベントの企画や運営、当日はグリスロのドライバーも務めたヤマハ発動機 クリエイティブ本部 プランニングデザイン部長にして株式会社P'sでボランティアアドバイザーとして地域の活性化などに取り組んでいる吹田善一氏は、イベントへの想いをこう明かす。

「もともと“モビリティとその感動体験を提供し、まちづくり/課題解決を通じて、新たな製品価値/事業モデルを具現化する活動”をテーマにして『Town eMotion』というプロジェクトにかかわってきました。 3月に今回のイベントの実行委員長・川島さんが主催するイベント『Dream Catcher Cafe』にヤマハ発動機として参加させていただいたのが共創のきっかけになります。 企業が関係するイベントや取り組みというと、これまでは企業サイドからの提案でおこなわれることが多かったと思うのですが、『Town eMotion』では、その地域の方々と共に創り上げることを大切に考えていて。 私はもともとモーターサイクルの設計に携わってきました。私自身もバイクに乗りますし、自分たちが「いいな」というものは受け入れてもらえることが多いんです。 でも、まちづくりとなると、実際にそこに住んでいる人の言葉を聞いてみないと、はたして何が正解なのかまったくわからない。“産”がそこに身を置いて、“民”といっしょにヒントを探す。それは“官”、つまりは行政も同じだと思うんです。 想いを共にする産官民が一体となって、感動するような未来を想像し、創造する──。 ヤマハ発動機は自身を“感動創造企業”と位置付けています。 もちろん、将来的に事業に直結するようなアイデアが生まれればベストではありますが、企業として掲げている“感動”を呼び起こすための“共感”を得ることが、このイベントや一連の取り組みをおこなう重要な意義のひとつだと私は考えています」

御厨が、そして日本中の“まち”がさらに輝くために......

磐田市御厨を舞台に、今後、数年にわたって地域住民が感じている社会課題やニーズを吸い上げながら、アイデアの実装に向けて各方面とのリレーションを強化していく同プロジェクト。
産官民による連携がはじめて実現した「BLUE STATION MIKURIYA 〜笑顔あふれる、御厨をつくろう。〜」の終了後、それぞれのパートを代表して前出の三氏にイベントを振り返ってもらった。

川島靖貴氏(以下:川島)「お客さんにも恵まれて、いいイベントになりました」

吹田善一氏(以下:吹田)「午前中からこんなにお越しいただけるとは思わなかったですね。お客さんを待たせたくなくて、GSM(グリーンスローモビリティ)もフル稼働させたので、最後は電池が切れちゃって......反省して次に活かします」

鈴木崇寛氏(以下:鈴木)「でも、みなさん、本当にいい顔して乗られてましたね」

吹田「ですね。あと、交通空白地帯なので『日常の足として、こんな乗り物が運行してくれたら便利』という声もあれば、『これに乗ることを目的に外出するようになるかも』なんて意見もいただけて」

川島「いいですね。ちなみに、今回ははじめて“産官民”という座組での実施でしたけど、明確に『ここからここが官、ここからが民』みたいに明確に線引きはしませんでしたよね?」

吹田「そうですね。企画から一緒に話して決めていったので。行政も『許可します』とかではなかったですし」

鈴木「場所の手配をサポートをしたり。自分もあまり意識はしていなかったかもしれません。私が意識したところがあったとしたら、役所のなかに理解者を増やすということだったかもしれません。具体的には、公共交通を担う部署の方々に声をかけて、グリスロの活用方法について模索してもらったり」

吹田「ありがたい話ですが、それはこちらからはお願いはしてなくて......」

一同(笑)

吹田「そもそもこのイベントでは、まず企業や自治体が住民の方に寄り添うことが需要だと考えていて、それがこのイベントの大きなポイントだと思います」

鈴木「まさに。同じ磐田市のなかでも、それぞれの地域が抱えている課題はそれぞれで、ひとつの答えで解決するほど単純ではないと感じています。行政が『これが最善策です。これをやりましょう』でうまくいくはずがないと思うんです」

川島「自分はシンプルに、このまちのいち住民として『このまちをよくしたい』という一心なので、そこに産や官がバックアップしてくれるのは感謝しかないですね。今日は、これまで私たち民間だけで実施してきたイベントより規模も大きくなって、新しいつながりも生まれて、次のステップがみえた感じです」

吹田「今日みたいにお客さんがたくさんきてくださって、みなさんから貴重な意見をたくさんいただけると、それをすぐにビジネスに結びつけたくなる気持ちもわかるんですが、まずは共感を得ることをしばらくの目的に据えて活動できればいいなって感じましたね」

鈴木「市の職員も何人もきていましたし、今後、どんな話ができるか非常に楽しみです。あと、磐田市には事業者さんもたくさんいて、地域に貢献したいと考えてくれている企業も多いので、こういった取り組みをもっと知ってもらえると嬉しいですよね」

吹田「ちょっと詭弁かもしれませんけど、こういう取り組みって“ゴールを定めない”というのもひとつの方法じゃないかと思っているんです。まちづくりにおいて、ゴールってないんじゃないかなって。ただ、ひとつの小さな成功をきっかけに、新たな取り組みが次々に生まれていくような有機的でサステイナブルなカタチが理想なのかなって」

川島「自分も、今の時点で『ゴールはこれ』とは決めません。生まれも育ちも御厨の自分がいうのもなんですが、このまちは本当に魅力的なところです。自分たち地域の住民と、ヤマハ発動機のような企業と、そして行政がひとつになって、このまちの素晴らしさを発信していくなかで、きっとゴールがみえてくるはずだと信じています」

鈴木「私も詭弁に聞こえちゃうかもしれませんが、今は企業が答えを出す、行政が答えを出す、住民が答えを出すっていうシンプルな時代じゃなくなっているなと感じていて......。地域の人と企業と行政がゴールを共創していくことこそが、この時代のまちづくりの理想のあり方だと考えています」

御厨で地域住民が立ち上げた小さなイベントにおいてグリスロを運行させてリレーションを構築し、その約半年後、行政も運営に加わる大規模なイベントを実施。
最新のテクノロジーを活用したユニークなアイデアで地域の課題を吸い上げつつ、同じ目線に立ってそのまちの活性化に向けて奔走する。
磐田市役所・鈴木氏は今回の取り組みが、将来、こう名付けられて日本に発信さえることを願っているという。

「磐田市御厨モデル」──。

地域住民と行政、そしてヤマハ発動機との連携により開始された一連のプロジェクトが“感動を創造する取り組み”として知られる日は、そう遠くないかもしれない。


【BLUE STATION MIKURIYA 実行委員会】
<実行委員長>
川島靖貴(Dream Catcher)
<事務局>
阪田康平、山根由咲(ヤマハ発動機株式会社 クリエイティブ本部)
<実行委員会>
Dream Catcher、株式会社P's、DOIIRAエンタメ製作所、磐田市消防団見付方面隊、株式会社エリジオン、ヤマハ発動機株式会社
<協力>
磐田市鎌田第一土地区画整理組合、磐田市役所 産業政策課、磐田市役所 自治デザイン課、磐田市役所 観光経済課、磐田市消防本部、磐田警察署 交通課、郵便局東遠江地区連絡会磐田部会、朝市in新貝、ヤマハ発動機森マウンテンバイククラブ

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