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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

クリーンウォーターシステム(CW)

長崎県五島市福江島半泊地区にヤマハクリーンウォーターシステムを国内初導入

国内の水質基準をクリアした「地域の名水」をハイブリッド電源システムで供給

2026年5月20日

ヤマハ発動機は、2022年10月から長崎県五島市福江島半泊地区において、「ヤマハクリーンウォーターシステム」の国内初導入となる実証事業を実施しました。
本取り組みは、行政の給水区域外に位置する地域において、民間主体で水の供給・運用を行う新たな水インフラモデルの構築を目的としたものです。
導入の背景や現場での取り組み、そして見えてきた国内展開の可能性について、担当者へのインタビューを通じてご紹介します。

PROFILE 担当者プロフィール

海外市場開拓事業部 企画推進部
クリーンウオーターグループ 明樂 知浩

青年海外協力隊での活動を経て2023年にヤマハ発動機へ入社。クリーンウォーターシステムの商品企画・技術開発に携わるほか、西アフリカを中心に現地へ数週間単位で滞在し、設置や運用支援にも従事。海外で培った知見をもとに、日本国内の環境や基準に合わせた新たな活用の可能性を探っている。

プロジェクトの背景

長崎県五島市半泊地区は、五島列島の中でも中心地から車で約30分離れた場所にある地域です。道幅も狭く、過疎化が進んでいる地域で、公共の水道インフラの整備が難しい給水区域外に位置しています。一方でこの一帯は、豊かな自然環境と湧き水に恵まれ、観光資源としての可能性も期待されていました。
そして2020年、五島市が募集した「旧戸岐小学校半泊分校活用事業」において、民間事業者であるMONTE CASAが採択され、当地で廃校となった小学校を活用した宿泊・ワーケーション施設「めぐりめぐらす」の開発プロジェクトが立ち上がります。もともと半泊地区には井戸水を利用してきた歴史がありましたが、宿泊施設として運営する以上、水質基準を満たした上で、安定して使える水を供給する必要があります。
たまたま別部署の社員が本プロジェクトを紹介してくれたことがきっかけで、私たちが関わることになったのが、今回の取り組みの始まりです。

導入の経緯と本プロジェクトの特徴

半泊地区のケースで特徴的だったのは、「水がない」のではなく、「水はあるが、そのままでは使えない」という点でした。 これまで当社が海外で取り組んできた地域の多くは、そもそも安全な水へのアクセス自体が難しい環境です。一方で半泊地区では、水資源そのものは豊富に存在しています。しかし市の給水区域外であるため上下水道の整備が行われておらず、雨の影響で水が濁ることや、水質が安定しないといった課題がありました。
さらに今回は宿泊施設としての利用が前提となるため、飲料水として一定の水質基準を満たし続ける必要があります。五島市では“水のおいしさ”も価値の一つです。そのため、「緩速ろ過」というヤマハクリーンウォーターシステム特有の自然界と同じ水浄化機能を生かしつつ、一般的な上水道で用いられる塩素処理ではなく、紫外線殺菌を採用することで、水の風味を損なわずに安全性を確保する仕組みとしました。
海外とは異なり、「安全な水をつくる」だけではなく、「水の価値を保ちながら水質基準に合致させる」という点が、今回の取り組みの大きな特徴です。

安定稼働と省エネを両立。初のハイブリッド電源システム

このプロジェクトでは、水処理だけでなく、エネルギー設計の面でも新たな試みがありました。
これまでのヤマハクリーンウォーターシステムは、電力インフラが整っていない地域での利用を前提に、太陽光発電による独立型の運用を基本としてきました。
しかし今回は、宿泊施設としての安定稼働が最優先事項であり、かつ同地区では商用電源が利用できる環境が整っていました。そこで、通常は太陽光発電と蓄電池をベースとしながら、天候不順など必要に応じて商用電源も併用するハイブリッド型の構成を、ヤマハクリーンウォーターシステムとして初めて導入。加えて、ポンプを使わず、地形の高低差を生かして湧水がタンクへ流れ込む給水設計を取り入れ、エネルギー消費を抑えています。
このように海外向けに最適化してきた技術をそのまま持ち込むのではなく、日本国内の基準や環境、ニーズに合わせて再設計する必要があった点は、今回の大きなチャレンジでした。

MESSAGE 担当者メッセージ

「防災」も「日常」も支える、新しい水のあり方へ

2024年4月19日、当社は約1年半にわたる実証事業を終え、ヤマハクリーンウォーターシステムをMONTE CASAに寄付。現在でも「めぐりめぐらす」ならびに近隣の住民にご利用いただいています。今回の五島市での取り組みでは、クリーンウォーター事業の新たな可能性を実感しました。
これまで私たちは、主に海外の水課題に対して取り組んできましたが、日本国内にも、給水区域外の集落やインフラ整備が難しい地域が存在しています。また、災害時や観光地など、「一時的に水需要が高まる場所」や「安定供給が求められる環境」においても、今回のような仕組みが有効に機能する可能性があります。
実際に、プロジェクト後には自治体や研究機関からの問い合わせも増えており、五島市の取り組みは、単なる一事例ではなく、今後の国内展開に向けた重要な検証の場になったと考えています。今回の実証で得られたデータや知見を設計にフィードバックしながら、クリーンウォーターシステムの可能性を拡大していきたいですね。

関連リンク

めぐりめぐらす

https://megurimegurasu.jp/

その他 事例

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