磐田市かぶと塚公園でヤマハクリーンウォーターシステムの実証実験を開始
平時の有効活用と災害時利用の両立へ向けた取り組み、分散型水インフラとしての可能性を検証
2026年5月20日
ヤマハ発動機は、静岡県磐田市と連携し、災害時における生活用水確保手段の一つとして、その有効性を検証する実証実験を2026年4月15日から開始しました。
本取り組みでは、「ヤマハクリーンウォーターシステム」を新たな水インフラとして発展させていくため、浄水技術そのものだけでなく、運用や平時の利活用を含めた価値の提供を目指します。導入の背景や実証内容、そして見えてきた新たな活用の方向性について、担当者へのインタビューをもとにご紹介します。
PROFILE 担当者プロフィール

海外市場開拓事業部 企画推進部
クリーンウオーターグループ 手塚 七彩
2021年入社。当グループでは主にクリーンウォーターシステム導入の候補地選定やODA(政府開発援助)との調整、書類作成、予算管理など、設置までの各種アレンジメントを担当。
近年は磐田市へのクリーンウォーターシステム導入を主導するなど、国内外を問わず当システムの普及に奔走している。
プロジェクトの背景
今回の磐田市での取り組みは、災害時における水供給の課題に対して、ヤマハクリーンウォーターシステムがどのように活用できるかを検証する実証実験です。
これまで当社は、主に海外で安心して利用できる水へのアクセスが難しい地域に向けて、ヤマハクリーンウォーターシステムを展開してきました。国内に目を向けてみると、水道インフラは整備されている一方で、地震や台風などの災害時には断水が発生するリスクがあります。また、深刻な水不足により衛生環境が悪化すると、災害関連死も懸念されます。「非常時にも水を確保できる仕組み」の構築は、多くの自治体にとって重要な課題と認識しています。
磐田市は、災害時に洗濯やトイレの洗浄など地域住民の生活用水を確保する目的で、「災害時協力井戸」の募集を行っていますが、全ての避難所で水源が確保されている状況ではありません。また、被災生活が長期化した場合、さらなる水源の確保が課題となっています。
ヤマハクリーンウォーターシステムを設置することで、その選択肢を増やすことができないかという社内外の声が、本取り組みのスタートラインとなりました。
災害時だけにとどまらない、水供給のあり方を模索
今回の実証では、指定避難所および緊急指定避難場所である磐田市総合体育館に隣接する、かぶと塚公園(磐田市見付)に設置しました。
地域の皆さんに、「有事の際にはここに来れば水がある」と平時から認識していただくため、「非常時のための設備」ではなく、「日常の中にあるインフラ」として機能させることを意識しています。
誰もが利用できる公園という場所に設置していることに加え、自治体の防災訓練や市内の小中学校におけるSDGs教育、防災学習を通じてヤマハクリーンウォーターシステムを身近に感じてもらい、水、防災、教育、地域連携を一つの装置でつなげることを目標にしています。
3月27日には、地域の子どもたち約30名に集まっていただき、同地のタンクにペインティングを行うイベントを開催しました。子どもたちは夢中になって色を重ね、ヤマハクリーンウォーターシステムを地域と共に育てていく、良いスタートとなりました。このように日常からヤマハクリーンウォーターシステムを目にする機会や触れる体験を積み重ねていくことが、有事の際に有効的に機能するため重要なポイントになると考えています。


法規対応と自治体との調整を乗り越えて
今回の設置にあたり最も苦労したのは、日本の法規や制度への対応でした。海外と比較しても、日本では水質基準や安全管理、設置条件などクリアすべき要件が多くあります。実際に進めていく中で、想像以上にハードルが高いと感じましたが、その難しさを知れたことも実証の成果の一つだと考えています。
さらに今回は自治体との連携プロジェクトであるため、運用方法や管理体制についても細かな調整が必要でした。
安全性をどう担保するのか、誰が何を管理するのかー
さまざまな課題を一つ一つ整理しながら解決していくのは時間がかかりましたし、良い技術を持っているだけでは前に進めないことを実感しました。それでもこうした調整を重ねたことで、単なる設備導入ではなく、国内で運用可能なモデルにより近づけることができたのではないでしょうか。
MESSAGE 担当者メッセージ

「防災」も「日常」も支える、新しい水のあり方へ
磐田市の実証実験では生活用水としての活用を想定したものですが、やはり「飲用水」の価値は高いと感じていますので、将来的には「飲める水」としての提供も視野に入れ、製品の改良を続けていきます。
今回の実証実験については、リリース後に多くの関係者の方から前向きな反応をいただきました。防災と日常利用を両立する取り組みとして、地域に新しい備えの選択肢が増えることへの期待を感じています。この磐田市での取り組みを一つのモデルケースとして、同様の課題を抱える他の自治体への展開を目指しつつ、将来的には地域の方々から「こう使いたい」という声が自然と上がってくるような、地域とヤマハ発動機をつなぐツールになることを目指していきたいです。


