FAZER R
FAZER R / 細部に至る詳細な解説と鮮明な画像で、ヤマハの無人ヘリコプターのディテールを紹介。オンライン版カタログとしてお楽しみください。
機能・特長
高品質な散布性能を実現するために
「高い作業効率」と「安全への配慮」を追求
ヤマハ発動機の産業用ヘリコプターは、より農業の現場に寄り添った仕様を目指し、技術開発を行っています。
そして、作業の「効率」と「安全」を両立するための機能は常に進化しています。
障害物検知機能を標準搭載
衝突事故防止を補助
前方・後方にあるレーダーで障害物を検知。機体の進行方向にある障害物を認識し、進行中で、なおかつ衝突の恐れがある場合、ワーニングランプによる警告とブレーキをかける制御が働きます。障害物は、ほ場にある電柱・木・鉄塔などを想定し、自動制御による散布作業中の衝突事故防止を補助します。
障害物検知機能のON/OFF
障害物検知機能は機体送信機のスイッチ操作により有効化・無効化を選択できます。
ワーニングランプ通知機能
障害物を15m以内に検知した際にワーニングランプが点灯し警告します。
【警告】●障害物検知機能および散布装置自動停止機能は、オペレーターの安全な操縦を前提としたシステムであり、操縦の負担や衝突被害を軽減することを目的としています。システムの検知機能や制御機能には限界があるため、これらのシステムに頼った操縦はせず、常に安全な操縦を心がけてください。●障害物検知機能はオペレーターの目視による操縦を前提としたシステムです。障害物の検知状態、センサーの作動状態の確認のため、常に障害物検知ワーニングランプを確認してください。●障害物検知はあらゆる状況下で機能するものではありません。安全に配慮し、ルールに沿った飛行を行ってください。●使用前に必ず取扱説明書をよくお読みください。
対地高度制御
機体から地面までの距離(対地高度)を、機体下部に搭載したミリ波レーダーで計測し、対地高度を一定に維持します。ホバリング中は対地高度を一定に保つ制御を行い、移動中は地形の凹凸に沿うように機体を上下に制御します。(対地高度制御可能高度は1.5~8mです)※障害物検知機能をOFFにすると対地高度制御もOFFになります。
障害物検知範囲
作業効率を大幅に向上する10m幅散布装置(オプション)
低速時は左右のノズルから噴霧、高速時は左右ノズルと高速用センターノズルから噴霧。増速時は18km/hからセンターノズル噴霧が始まり、減速時は17km/hでセンターノズルからの噴霧が停止します。
※上限速度設定可能範囲(16〜20km/h)で速度連動機能を選択可能 ※従来のセンターノズルからの噴霧は5m幅となります
自動ターンアシストモードを標準搭載
操縦簡素化と散布精度のさらなる向上が可能に
自動クルーズコントロールモードに加えて、自動ターンアシストモード(以下:TAモード)により散布スイッチのON/OFFだけで一定の散布間隔でのターン、等間隔での飛行ラインおよび飛行速度維持を行うことが可能になりました。
スイッチのON/OFFだけで簡単操作
CCモードで散布を開始し、ほ場のエンドラインで散布スイッチをOFFにするとTAモードで機体が減速し、一定の間隔でターン&元のスピードまで加速してくれるので、再びエンドラインにあわせて散布スイッチを押すだけ。また、ほ場の形状に合わせて減速・ターンの位置は自由に決めることができます。
作業者の負荷を低減
- ●オペレーターの場合
- 散布幅を自分の歩幅で測りながら農道やあぜ道を移動し、一定の散布間隔を保つには熟練した飛行経験が必要でした。もっとも集中力を要する一定間隔でのターンをTAモードによりアシストすることで、周囲を確認し安全に配慮するためのさらなる余裕を生み出すことが出来ます。
- ●ナビゲーターの場合
- オペレーターごとに飛行技能やクセは様々。TAモードによってターン時の挙動や飛行速度もマニュアル操作と比べて平準化されるため、ナビゲーターにも余裕が生まれ、より安全を意識した効率的な指示を送ることが可能になります。
新型カセットタンクの開発
大容量32L
32L(16Lタンク×2)の大容量を実現するため、素材とデザインを基本から再検討。試作品製作と落下テストを繰り返し、新たな素材を開発することで、既存の材料では実現できなかった理想のタンクに辿り着きました。
<現場の声をフィードバック>
- 軽さと強度を両立、透明度アップで薬剤残量も判別しやすい
- 機体装着用の金属部品がタンクと一体化(インサート成形)
タンク外部からの取り付けが可能となり、内部突起がなくなり洗浄が容易に - 内容量表示の数字を見やすく大きく、目盛りラインもくっきり
高い信頼性を生むFAZER Rの基本性能
RMAX、FAZER、FAZER Rと培ってきた技術は、優れた機能と高い信頼性を兼ね備えた基本性能として結実しています。
スムーズな離着陸
- メインマストを2.5度右へ傾斜させたことで、エルロンを操舵することなく、水平離陸、左右ランナーの同時着地で着陸の安定性が向上
- 離陸から着陸までをカバーするGPS制御
信頼の機体性能
- 機体制御系を2重化
- 操作性を考慮し、フライトスイッチを送信機側に設置
- エンジン自動停止機能(地上で10分以上アイドリング状態が続くとエンジンが自動停止)
- セキュリティ強化のため、機体送受信機は1対1で対応
軽量・シャープなボディ
- デザイン性と全方位冷却性を両立したカバー形状と装備品レイアウト
- テールローター駆動にカーボンシャフトドライブを採用
- フルチタンマフラー、スターターなど、各種部材の軽量化の工夫
環境配慮
- 機体制御系を2重化
- 従来機『RMAX』の73dBから70dBに騒音を軽減
(50m離れた地点での測定値・当社計測方法による) - 4サイクルエンジンでクリーンな排気ガス
ロングフライトの実現
- 5.8Lの燃料タンクは、24L散布2回の連続フライトも行えます。
※ほ場条件により異なります。
オペレーターに優しい簡単操作
- シンプルで分かり易いコントロールパネル
- 送信機バッテリーの小型化、着脱性向上、
利用時間を延長するなど利便性がアップ - ワーニングランプ表示の一元化
初級者から上級者までサポートする機体制御システム
- 速度維持飛行(クルーズコントロール)により、「一定速度でのフライト」が容易に可能
- 2020年モデルより、上限速度が1km/h 刻みで設定可能(16~20㎞ /h の範囲内)
- YACSⅡ制御システムにより、飛行速度・高度・方位の安定性が高まり、狙い通りの散布を実現
- 突風・気圧変化など使用環境の変化によるフライトへの影響が低減
速度維持飛行(クルーズコントロール)
散布装置
薬剤の搭載量向上のため、新たに開発された大容量カセットタンクと大容量ホッパーに対応。
使いやすさと安定した散布を追及したシステムにより作業効率がさらに向上。
液剤散布装置
- ダウンウォッシュによる空気の流れを利用し、さらに飛散低減を実現するセンターノズル付き
- 薬剤タンク装着時のエア抜き作業が不要
※スプレイヤーサブセット(オプション)追加で多量散布に変更可能
16L大容量タンクを採用
粒剤散布装置
- 落下分散性能の向上
- 装置形状や機体メインマストを2.5度右へ傾斜させたことにより薬剤詰まりを低減
15㎏ホッパーを採用
「空から農業を創る」搭載量アップで広がる無人ヘリ活躍の場
仕様諸元
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
製造型式 | L31 | |
性能 | 実用距離(目視範囲) | 150mまで |
制御システム | YACSⅡ(YAMAHA Attitude Control System-Cruise control) | |
操作寸法 | メインローター径 | 3,115mm |
テールローター径 | 550mm | |
全長・全幅・全高 | 3,665mm・770mm・1,078mm | |
取扱重量 ※2 | 73kg | |
エンジン | 種類 | 4サイクル・水平対向2気筒 |
排気量 | 390cc | |
最高出力 | 20.6kw | |
始動方式 | セルスターター式 | |
燃料 | レギュラーガソリン |
※1 設計図面による寸法のため実計測では±10mmの計測誤差があります。
※2 取扱重量とは、オイル・燃料満タンの機体にL59散布装置本体(散布タンクは含まず)を取り付けた状態での重量です。
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
液剤散布装置32ℓ | 型式 | L59 |
カセットタンク容量 | 16ℓ×2 | |
吐出方法 | ギヤ方式ポンプ・フラットタイプノズル | |
吐出量 | サイドノズル 1.3~2.0ℓ/分(速度連動方式) センターノズル 0.65~1.0ℓ/分(速度連動方式) |
|
ノズル間隔 | 1,434mm | |
装置重量 | 7.9kg(16Lタンク×2搭載時) |
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
粒剤散布装置30kg | 型式 | L48 |
ホッパー容量 | 15kg×2 | |
吐出方法 | スピンナ方式(直径300mm) | |
吐出量 | 2.5kg/分 | |
インペラ回転数 | 720rpm | |
装置重量 | 7.6kg(15kgホッパー×2搭載時) |