ヒストリー
高性能なシャシー開発を進める中「車体粘性」に着目することでパフォーマンスダンパーの開発がスタートしました。
パフォーマンスダンパーのルーツは、ヤマハのエンジン開発の歴史に求めることができます。
ヤマハでは、長年にわたって高性能エンジンのOEM開発と生産を行ってきましたが、その過程で注目されたのが「高性能エンジンを受け止めるためのシャシー技術」の重要性でした。
最初に生まれたのが、左右のショックアブソーバを連結し、操縦安定性と乗り心地を高めた相互連携アブソーバシステム「REAS」です。REASはさらに対角上のショックアブソーバを結ぶX-REASに発展し、エンジンの高性能化に伴って高速域でのボディーの振動=揺らぎを抑えるべく、車体剛性を高める方向で開発が進められていきました。しかし、高速走行テストを行っていたテストドライバーの閃きが、開発の方向性を大きく変えることになります。それが、「ボディーの振動をなくして気持ちのいい走りを実現するには、車体剛性ではなく“車体粘性”に注目すべきではないか」という、パフォーマンスダンパーの基本原理でした。
こうして開発が始まったパフォーマンスダンパーは、写真のようにシンプルなバーから始まり、ゴムのサンドイッチ構造を経て専用の油圧ダンパーと組み合わせられ、今日の形態に進化していったのです。
沿革
パフォーマンスダンパーの開発前
1989年 | ヤマハ製高性能エンジンを受け止めるシャシー技術開発を独自にスタート |
---|---|
1991年 | 相互連携アブソーバシステム(REAS)の開発スタート |
1997年 | トヨタスープラにREAS採用 |
2000年 | トヨタハイラックスサーフにREAS採用 |
2001年 | トヨタクラウンアスリートVXにX-REAS採用 その後アウディRS6、トヨタ4ランナーへ採用拡大 |
パフォーマンスダンパーの着想
1999年 | REAS/X-REASを進化させ熟成する中でサスペンションダンパーのみでの高性能化に限界を感じる |
---|---|
2000年前半 | 車体剛性に関する研究開発に着手したが、思うような進歩が得られず、走りのイメージの中から必要なのは車体剛性ではなく「車体粘性」だとの仮説を立てる |
2000年後半 | 実験の結果、仮説が実証されただけでなく、予想外の素性の良さに手応えを得る |
パフォーマンスダンパーの開発・生産
2001年 | トヨタクラウンアスリートVXに搭載して発売 |
---|---|
2011年 | レクサスCT200hで採用 |
2016年 | 生産累計100万本達成 |
2020年 | 生産累計200万本達成 |