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漁業近代化

「安全な航行・操業」と「環境との共生」による継続的な沿岸漁業の発展と産業振興。

漁業近代化イメージ

ヤマハ発動機の
「ブルー・エコノミー」

沿岸漁業は気候変動、海洋汚染、資源枯渇、安定的な食糧供給や環境の観点から、「獲る」から「育てる」「養殖する」が大きなトレンドです。しかしながら養殖一辺倒では、沿岸漁業に関わる漁民や関連する多くの人々が漁業に携われなくなり、生活の糧を失ってしまいます。
私たちは「資源の保護」や「環境との共生」による沿岸漁業の持続的な成長を目指すべきだと考えています。
ヤマハ発動機はマリン総合メーカーとして漁民の航行と操業の安全を大前提とした漁業近代化で、沿岸漁業発展と産業振興による「ブルー・エコノミー」を提案し、その実現に向けて活動を続けています。

ブルー・エコノミー

安全な操作・運営

  • 設備事故による人命・機器の損失を防ぎたい。
  • 安全設備の普及や安全思想の啓発により、事故発生時の損失を減らしたい。

環境保護

  • 木製ボートからFRPボートへの変更による森林減少の削減
  • 「漁獲量を減らし、より高く売る」ことによる資源保護

沿岸漁業

  • 健全な沿岸漁業を続けることで、多くの人が働く産業を守りたい。

産業振興・就業機会

  • 現地FRP造船による産業振興
  • 安全運航による運輸・観光産業の振興

海のエンジンがもたらす漁業振興

わたしたちは、帆やオールだけの木造船で漁をしていた国々に、船外機の導入だけでなく、日本式の漁や漁獲物の管理・加工法の紹介を進めることで、漁業の近代化と航行の安全性向上を支援してきました。これによって漁場が広がり、獲れる魚の種類も増え、獲れた魚をいち早く市場に届けられるようになっています。
1980年代、粗悪な燃料、厳しい使用環境に耐えうる船外機を目指して「Enduro」シリーズは生まれました。今尚、多くの漁業従事者から支持されています。(2021年9月現在)

関連動画:セネガルにおける漁業近代化
関連動画:ヤマハ船外機クオリティ
関連情報:製品開発

木造船からFRP船へ

木造船のFRP化は、森林伐採の削減、燃費改善によるCO2排出削減、漁船のランニングコスト低減に貢献するとともに、木造船に起因する事故の軽減で航行・操業の安全性を向上させています。わたしたちは、世界各地にFRP船の「技術援助工場」を立ち上げ、現在は年間2,000隻を生産し、技術者育成、雇用創出、漁業・観光・運輸業の振興に貢献しています。

関連情報:Moving You - メイド・イン・モーリタニア、国境を越えた師弟関係。

漁業近代化ストーリー

伝統的な木製カヌーをベースとしたFRPボートの開発

開発理念は、地元漁民の漁業文化や伝統的な漁法を守ること。
1980年、アフリカのセネガルでは伝統的なカヌー漁が一般的でした。総漁獲量の70%以上がこの漁法によるもので、全人口の10%がカヌー漁に携わっていました。この伝統を守りながら発展するため、セネガル政府は3つの方法にフォーカスしました。

  • カヌー漁の効率化の追求
  • ビーチ上陸可能な漁船の近代化、動力化、安全性の向上
  • 木製カヌーからFRPカヌーへの転換

セネガル政府の要望に応えるため、ヤマハ発動機はFRP漁船の技術とノウハウを活かし、FRPビーチランディングカヌー(BLC)を開発しました。木製カヌーには本来、地元の漁業文化を守る意味がありましたが、地元の漁師の気持ちを考えながら、海上での安全性や長年の研究成果など、技術的・社会的な要件を織り込みました。

伝統的なカヌー漁をベースとしたBLCは、アフリカだけでなく、類似した状況下の中米の国々でも使用されています。
1997年、ヤマハ発動機とモーリタニアの現地パートナーは、西アフリカで最も人気のある40フィートのBLCを建設するため、技術援助契約を締結。これにより、新たなビジネスと雇用の機会が生まれ、カヌーの生産コスト低減にも繋がりました。モーリタニアは、現地製造のBLC40を用いて漁獲されたタコを日本に輸出しています。木製カヌーからFRPカヌーへの転換は、樹木の伐採を回避することで、森林破壊の防止にも繋がっています。

ガソリン以外の燃料で動く船外機の開発

ヤマハ発動機は、現地の燃料事情に対応した船外機の開発・流通に取り組んできました。
「船外機は何で動いているでしょうか」と問われれば、ほとんどの人は「もちろん、ガソリン」と答えるでしょう。しかし、現地の燃料事情により、ガソリン以外の燃料で船外機を動かす必要がある国もあります。ヤマハ発動機では、このような地域に対応した船外機を提供するため、アルコールや灯油を使用したエンジンを開発・流通するとともに、定期的なメンテナンス教育を実施しています。例えば、ブラジルではアルコールが燃料として使用されています。インドやスリランカでは、灯油価格がガソリン価格の1/3であったころ、船外機には家庭用灯油が使われていました。灯油を使った低速航行で不具合を抱えた地元のお客様の要望に応えるため、低速の航行開始時はガソリンで、それ以降は灯油で動く船外機を開発しました。

より効率的で近代的な漁法を導入し、漁業の発展を支援

ヤマハ発動機は、船外機やFRP(繊維強化プラスチック)漁船といった製品だけで、さまざまな国・地域の漁業振興ができるとは考えていません。現地のお客さまとの交流から、豊富な漁業資源を有効に活用するため、効率的な漁法や保存方法を知りたいという要望があることを学びました。
このことから、漁業の方法論を伝えることの重要性を認識し、1977年に日本の沿岸漁法や養殖の方法を先進技術とともに説明した「フィッシャリージャーナル」を発行。イラストや写真を使って、漁法や魚の保存・流通の方法を紹介しました。
1977年から1995年にかけて、3カ月から4カ月ごとに、タブロイドサイズの新聞フォーマットで発行。18年間にわたり、近代的な漁業の確立に向け、漁業の方法や技術に関する情報を提供してきました。魚を食べる習慣のない地域に住む人々のために料理本も出版しました。
英語、スペイン語などの言語に翻訳し、多くの国で間接的な漁業開発の支援として活用いただいています。FAOを含む6000以上の世界の主要な組織、研究機関、大学に配信され、大英図書館にアーカイブされました。

フィッシャリージャーナル デジタルアーカイブ

注釈
フィッシャリージャーナルは、漁法、科学的に分類された魚種、加工された水産食品、それらの調理方法に広く用いられている用語を使用しています。最初に日本語で発行され、その後、英語、スペイン語、フランス語に翻訳されています。一部の統計データは1980年代初頭に更新されました。漁業協同組合や地方自治体など、ここで使用されている団体名、所在地名などは、すべて発行当時のものと同じです。登場する人々の肩書きや役職名も、同様に発行当時のものと同じです。収録された写真はすべて、現地で直接撮影されたもので、日本の漁業、魚の保存、流通の実際の状況を示しています。本資料(写真、イラスト等を含む)に記載された内容はすべて著作権で保護されています。個人の非営利目的以外での使用、および無断転用・配布は固く禁じられています。

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