純正アクセサリーのシゴト
何を想って企画したか、どのように創ったのか、アクセサリー開発の裏側を覗き見
何を想って企画したか、どのように創ったのか、アクセサリー開発の裏側を覗き見
本記事はKEYLESSシステム開発チームの回顧および主観を含んでおり、機能・性能に関する表現の正確性を保証するものではありません。
また、製品の機能・性能は予告なく変更される場合があります。
電装開発者

カスタマーエクスペリエンス事業部
企画戦略部 ボルトオンアクセサリ開発グループ
まさやんさん
年中ガレージに引きこもるガレこもり。外に出ると風邪をひく。
産業用ロボットの電装開発を経て、オートバイのアクセサリ開発者になる。
ハイテク業界に長く従事し今もハイテク系アクセサリを担当しているが、個人の嗜好はローテク至上主義。空冷キャブ車ばかり7台所有。
バイクで遊ぶかガレージで遊ぶ以外の遊び方をよく知らない。
遊びが忙しくて仕事する暇がない。
KEYLESSケースの電気的接続は簡単。キットを買って、ブラケットをつけて、トランスミッターと車両をコネクタで繋げばすぐ動く。
3つのケースと1つのスイッチはヒューズ付きの中間ケーブルで1つにまとめられ、6ピンのコネクタ1個だけで車両と接続される。
開錠ボタンが押されると、メインスイッチがONでもOFFでも、車輌側のスマートキーのシステムから「これはスマートキーを持った人による操作だから開錠しなさいよ」という指令をケース側が受ける。
だからオーナーはケースの開閉に物理キーを持つ必要はないし、当然スマートキーもその車両用のものがポケットに入っていればいい。KEYLESSケース専用に別のスマートキーも必要ない。車輌が本来持つスマートキーの認証システムにKEYLESSケースが組み込まれた状態になる。
これを実現するためには、車両そのものがこの機能を受け入れ、対応する必要がある。そのためには車両の開発段階から「この機能を入れてくれ!」と車両開発チームに訴えかけ、プロジェクトメンバーを説得する必要がある。それは簡単なことではなくて、車両が出来ることを増やす=コストアップ=販売価格アップor収益ダウンにつながる。
接続するためのコネクタ一つだって、内部プログラムの1行だってコストだ。
けれど、コストだけが開発のミソじゃない。だって魅力にこそ値段が付くんだから。
ただ安いだけのバイクを作るためのヤマハじゃないし、セレブのための宝石のようなバイクを売るプレミアムメーカーでもない。
値段も魅力もいい感じ。ちょっと割安でお買い得かも。そのバランス点を探し出して実現するのが量産メーカーの仕事。特にアクセサリ部品(オプションパーツ)は、お客様全員が受益者になるわけではないので、これが必要ないお客様にとって損になってしまうこと(=車両価格上昇)は避けなければならない。受益者の利益を最大化して、非受益者には損をさせない。このバランスがキモ。
そこのところはみんな分かっているから「この機能は、±のトータルで価値が+側に振れますよ」ということを車両本体開発メンバーに説得して、実演して、納得してもらい、協力してもらうことがとても大切で、実は一番大変かもしれないポイント。
さらに車両のシステムに関与するという事は、アクセサリが悪さをして車のシステムを毀損する可能性がゼロではなくなるという事。そのリスクを限りなくゼロに近づけるために、数多のイジワル試験や過酷な耐久試験、日常生活ではまずお目にかかれないほど強烈な電磁ノイズを投射するなど、本体開発基準に匹敵する厳しい試験をアクセサリに対しても実施して、ようやく「繋げば動く」まで持ち込める。
だから、ただ繋げば動くというのは、ただ事じゃないと伝えたい。
この記事のまとめ
- TRACER9 GT+のKEYLESSケースは、中間ケーブルと6ピンコネクタ1つで簡単に車両接続できる設計となっている。
- 3つのケースと操作スイッチは一体化され、ヒューズ付きケーブルで安全かつシンプルに接続可能。
- 開錠操作は車両のスマートキーシステムと連動し、物理キーや専用キー不要で操作できる。
- KEYLESSケースは車両システムに組み込まれ、純正スマートキーによる認証で動作する一体型設計を採用。
- この機能実現には車両開発段階からの組み込みが必要で、コストや開発負担とのバランス調整が重要な課題だった。
- アクセサリー開発では、受益者と非受益者のバランスを考慮し、価値と価格の最適化が求められる。
- 車両システムへの影響を防ぐため、耐久・ノイズ試験など本体同等レベルの厳しい検証を経て「繋げば動く」品質を実現している。
