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TRACER9 GT “KEYLESS SIDE CASE” 開発者の戯言 Vol.04

何を想って企画したか、どのように創ったのか、アクセサリー開発の裏側を覗き見

開発者の戯言 本記事はKEYLESSシステム開発チームの回顧および主観を含んでおり、機能・性能に関する表現の正確性を保証するものではありません。また、製品の機能・性能は予告なく変更される場合があります。 開発者の戯言 本記事はKEYLESSシステム開発チームの回顧および主観を含んでおり、機能・性能に関する表現の正確性を保証するものではありません。また、製品の機能・性能は予告なく変更される場合があります。

何を想って企画したか、どのように創ったのか、アクセサリー開発の裏側を覗き見

本記事はKEYLESSシステム開発チームの回顧および主観を含んでおり、機能・性能に関する表現の正確性を保証するものではありません。
また、製品の機能・性能は予告なく変更される場合があります。

よー知らん人は動画見て

ヤマハ発動機アクセサリ
”KEYLESS SIDE CASE” 紹介動画

キーレスサイドケースの着脱と開閉方法

キーレストップケースの着脱と開閉方法

“非接触”って何が偉いん? “非接触”って何が偉いん?

電装開発者

カスタマーエクスペリエンス事業部
企画戦略部 ボルトオンアクセサリ開発グループ

まさやんさん

ガレこもり

年中ガレージに引きこもるガレこもり。外に出ると風邪をひく。
産業用ロボットの電装開発を経て、オートバイのアクセサリ開発者になる。
ハイテク業界に長く従事し今もハイテク系アクセサリを担当しているが、個人の嗜好はローテク至上主義。空冷キャブ車ばかり7台所有。
バイクで遊ぶかガレージで遊ぶ以外の遊び方をよく知らない。
遊びが忙しくて仕事する暇がない。

ご存知の通り(願望)、KEYLESSサイドケースは非接触給電・非接触通信(以下”非接触”と省略)で動作している。
ケース脱着にはコネクタの脱着も、メカリンクの縁切りも必要ない。

「非接触はハイテクだから偉い、凄い」なんてことは一切なくて、同じ機能であればよりローテクな、枯れた技術で動く方が偉いに決まっている。
それが分かっていながら何故大きなコストをかけて非接触のシステムを開発したのか?

まずTRACER特有の理由がひとつ。
TRACERのキャラクターとして
「ツアラーとしての性能:積載したまま高速走行」
「スポーツバイクとしての性能:MT-09譲りの痛快な走り」
この両立ということが当たり前に求められていること。

TRACERのサイドケースは車体にガチガチに固定されず、ある程度揺れるようにフローティングマウントしてある。
積載時の高速走行時に効果を発揮し、TRACERの軽快さを損なわずに操縦安定性を高める効果がある。

サイドケースは本文に記述するように非接触タイプ。
上図の水色部分がレシーバー。
トップケースは動揺機構をもたないため、
シンプルな回転リンクを採用。
キャリアプレートから生えているノブがトップケース底面に噛み合い、動きを伝える。
サイドケースの動揺機構の概略。
この仕組みが積載時の操縦安定性に貢献。
その一方でKEULESSケース開発のチャレンジ要素にもなった。

この「揺れる」というのはKEYLESSサイドケースにとって最大のネックでもある。
・メカリンクでの接続⇒動揺を吸収する複雑な機構が必要 ・電気的に接続⇒接点摩耗や接触不良、可動ケーブルの断線等のリスクがある

次に、サイドケースの内側にはリアタイヤが待ち構えており、水はねや泥はねでメカリンクやコネクタの期待寿命が極めて短くなるということ。 その対策を完璧に打ってしまうと、今度はサイドケースの脱着が面倒になる。

他にも様々な理由があるが、総合的に判断してKEYLESSサイドケースは非接触とすることになった。

一方、トップケースはフローティングマウントされておらず、水はね泥はねも軽微であるためコストに優れた機械式接続となっている。
サイドケースはフローティングマウントに対応し、水や泥はねにも強く、理論上摩耗せず、脱着もワンタッチ。

ケースには内部電池等は一切入っていないため、経年や高温・低温でも劣化しにくい。
基本原理は携帯電話の「置くだけ充電」にかなり近い。
一般化し枯れ始めた技術は安定しているため、オートバイにも向いている。

サイドケースのKEYLESSトランスミッター。
樹脂で封止され完全防水になっている。

ただし当然のことながらオートバイ用の非接触給電モジュールなんて存在しない。
そのため、新たに専用の非接触給電・非接触通信システムを開発する必要があった。

そのためだけに電気系エンジニアを新たに他部署から引き抜き、3年の月日をかけて実現したのがKEYLESSサイドケースのトランスミッタモジュールだ。

余談だが給電機能を活かした副産物としてサイドケースにはルームランプが装備されている。
脚光を浴びるほど革新的なものではないけれど、使うと分かる地味な便利さ。
キッチンのお玉をちょっと立てておくアレくらいの便利さ。

この記事のまとめ

  • TRACER9 GT+のKEYLESSサイドケースは、非接触給電・非接触通信によりコネクタ不要で脱着可能な構造を採用。
  • 非接触技術はハイテク志向ではなく、構造上の課題を解決するための合理的な選択として採用された。
  • サイドケースはフローティングマウント構造により揺動するため、従来の機械接続や配線では耐久性や信頼性に課題があった。
  • 水はねや泥による劣化リスクも考慮し、接点摩耗や断線のない非接触方式が最適解となった。
  • トップケースは固定構造のため、コストと信頼性を優先し機械式接続を採用するなど使い分け設計がされている。
  • 非接触システムは「置くだけ充電」に近い原理で、摩耗がなく耐環境性に優れたメンテナンス性の高い構造となっている。
  • 専用モジュールは新規開発され、電気エンジニアによる3年の開発期間を経て実現された独自技術である。
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