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Y-AMT(YAMAHA AUTOMATED MANUAL TRANSMISSION)

MT-09 Y-AMT開発者メッセージ

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ヤマハ発動機株式会社
PF車両ユニットPF車両開発統括部
MT-09 Y-AMT 開発プロジェクトリーダー
津谷 晃司
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ヤマハ発動機株式会社
PF電技システム開発部
MT-09 Y-AMT 制御開発グループリーダー
福嶋 健司

「Y-AMT」により次のステージへ進化する「人機官能」

高いレベルのスポーツライディングを、より多くのライダーに提供したい。その想いが「Y-AMT」の出発点になりました。「Y-AMT」は、大きく分けて「楽しさ、スポーツ性」と「快適・利便性」どちらも提供できるシステムですが、クラッチレバーやシフトペダルの操作を省くことで走りに集中でき、ベテランからエントリーユーザーまで、ヤマハハンドリングの世界を心ゆくまで堪能いただけるのではないか。我々はそう考え、今回の採用に至りました。快適性に重きが置かれるツアラーではなく、アジャイルな走りが楽しい「MT-09」にまず搭載したのもそのためです。当社がどのモデルにも例外なく注いできた「人機官能」の思想が「Y-AMT」 によって次のステージへと進化。人とモーターサイクルが一体となる感動体験がさらに推し進められることになります。

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「Y-AMT」が生み出すゆとりで走りに集中

「Y-AMT」は、「FJR1300AS」に搭載していた「YCC-S(Yamaha Chip Controlled Shift)」が目指してきた“Fun”、“Comfort”、”Confidence”といったテーマをさらに高め、モーターサイクルの醍醐味を、さらに拡大することを目的に開発。クラッチやシフトによる発進・変速を自動制御する機構を加えながらも軽量・スリム・コンパクトな車体を維持し、ライディングに集中できる環境を実現。素早くスムーズに安定したシフトチェンジを可能にしています。マニュアルバイクの操作って改めて見てみると意外に沢山のステップがあります。変速の時は、左手左足または右のアクセルワークなどの操作を複合的に行わなければなりません。コーナリングでは、コーナー手前でブレーキを掛けて減速し、エンジン回転数に合わせて足を離してシフトチェンジし、バイクが旋回を始めたら立ち上がりに備えて・・・と実に色々なことを行わなければなりません。スタンダード車両で、やるべきことが10あるとしたら、「Y-AMT」搭載車は、7くらいに減ります。足でガチャガチャ操作するのが ミッション車の醍醐味だと言われますし、我々自身も当初はそう考えたこともありました。操作が減ると退屈に感じるのではないかと思うかも知れませんが、実際そんなことは全くありません。機械が全部操作し車両を走らせるわけではありませんので、やるべき動作が減って生まれた3割のゆとりをライン取りやブレーキング、アクセルワークに使うもよし、少し楽して疲労軽減に使うもよし。また、足を離す必要がなく、ずっとニーグリップできるので体重移動に集中して乗りやすくなり、まさに人馬一体感がより味わえるのです。

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幅広いライダーが今までより使いこなせ楽しめる「Y-AMT」

「MT-09」は、ものすごく高性能なバイクで、その性能をフルに使い切ることは、正直なかなか難しいと思います。その高性能な車両を幅広いお客様に、より楽しんでいただきながら操ることができる、つまり新しいライディングスタイルを提供するのが「Y-AMT」のシステムなのです。そのためハードウェア、ソフトウェアいずれの構造も、あくまでも「MT-09」が持っている走行性能、魅力、楽しい要素をしっかり高めるために作り込んでいます。クラッチを機械に切らせるので、駆動切れの時間をいかに短くするか、また「MTモード」で楽しく、走って・止まって・曲がれるためにハンドシフトの操作性をいかにダイレクトなものにするかに注力しました。「MT-09 Y-AMT」は、選択するモードにもよりますが、基本、時速80kmくらいにならないと6速に入らない設定です。というのも街中を走るときに、早めにシフトアップをして燃費を稼ぐという設定も可能ですが、早くに6速に上げてしまうと駆動力が出にくくなり、機敏に走れないので、「MT-09」の特性にはそぐわないから。そういったベース車両の特性を活かすことにこだわっています。「ATモード」では、加速はアクセルだけ、減速はアクセルを閉じてブレーキだけ操作すればいいんです。クラッチ操作がなくアクセルワークや体重移動に集中して運転できる状態です。「ATモード」の変速タイミングとして、加速に関しては、加速度とアクセル開度に応じて変速タイミングを決めています。一方、減速は状態の見極めがとても難しい。例えば4速でアクセルを閉じたときにそのままエンジンブレーキを効かせたいのか、3速、2速とギアを落として行きたいのか。そこでブレーキ操作も含めた減速度を計算し、減速に合わせたシフトタイミングを組んでいます。 とにかくライダーが行っているアクセル操作とブレーキ操作に合わせて自動制御を細かくつくり込んでいるんです。ストップ&ゴーの多い街中でクラッチを使わないことは、本当にラクで、便利です。しかしその利便性のためにスポーツ性能が下がったり、何かしらベース車両をスポイルすることがあってはなりません。それなら搭載しないほうが良いと我々は考えます。あくまでもベース車の性能、魅力をさらに引き上げた結果、利便性・快適性も引き上げられたという格好です。「MT-09」というファンライドのスポーツバイクに「Y-AMT」というシステムを搭載することで、「MT-09」の世界観をさらに高めているのです。バイクの魅力をより多くのユーザーに知ってもらい、ファンライディングの世界を堪能していただきたい。 「Y-AMT」が、その一翼を担うことを願っています。

YCC-SからY-AMTへ。

熟成が生んだ先進システム

ヤマハがMTとATの技術を融合させる研究に着手したのは、1990年代後半のことです。当時、すでに四輪車の世界ではAT車の普及が進んでおり、ドライバーが自分のタイミングでギアを変更できるセミAT機構も発展していました。その流れを受けて、二輪車市場でも同様の技術が求められるようになると予測し、2000年代初頭に本格的な開発がスタートしました。その結果、クラッチレバー操作が不要なMTモード“YCC-S”(Yamaha Chip Controlled Shift)が誕生。2006年にこの技術は、スポーツツアラー「FJR1300AS」に搭載されました。ライディングの快適さとスムーズさに加え、あえて自動シフトアップ&ダウン機能を織り込まないことでライダーが積極的にギアシフトを楽しむことができるスポーツ性能も兼ね備えたものとして受け入れられました。2013年には、さらに進化した電子制御スロットルを採用することで、シフトプログラムの緻密さが向上しました。また、YCC-Sの技術はROV(レクリエーショナルオフロードビークル)分野にも展開されました。オフロードを含む厳しい環境での使用でも耐えうるよう、ATモードも導入されるなど、多様な状況に対応できるよう進化。その結果、二輪車とは異なる新たなノウハウの蓄積に成功しました。こうして、二輪車で鍛えられたMTモードとROVで築かれたATモードに、QSS(クイックシフトシステム)の進化を加えることで、新たなデバイス「Y-AMT」が誕生。20世紀末の開発着手から一貫して制御を感じさせない自然な走りを目指したこの優れたドライバビリティを通じて、より多くの人々にモーターサイクルの楽しさを広げていくことを目指しています。

Y-AMT
(YAMAHA AUTOMATED MANUAL TRANSMISSION)

MT-09 Y-AMTのMTモードで目指したものは“FUN”

スポーツライディングに新たな一面をもたらす高度な変速技術で、新時代の幕開けを告げるYAMAHA AUTOMATED MANUAL TRANSMISSION(Y-AMT)シフト操作を手元のシーソー式シフトレバーで一元化し、エキスパートレベルのシフトチェンジを安定して実現。クラッチやシフト操作が不要になることで、ライダーはスロットルとブレーキの操作に集中できる。この恩恵は特に高速走行時やテクニカルなカーブで顕著に表れ、より繊細でスムーズなライディングが可能となる。加えて、高い操作性と素早いレスポンスを備えており、直感的に車体をコントロール。その結果、よりダイレクトな走行体験が楽しめる。また、シフトペダル操作が不要になることで、下半身が安定。ライダーは足元に余裕ができ、車体との一体感をもたらす。クラッチやシフト操作がもたらす肉体的・精神的な疲労を軽減し、景色や道路状況を観るゆとり、さらには操作に対する安心感の向上など、二輪車の楽しさの可能性を拡げます。

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小気味よく、素早く、ショックが少ない変速機構

マニュアルトランスミッション(MT)車でのギアチェンジは、左手によるクラッチ操作と、左足によるシフト操作によって行う。「Y-AMT」は、これらのアクションをアクチュエーターが担うことで、ギアチェンジを自動化したシステム。ベースとなるMT車の変速機構に大きな変更を加えることなく、人の操作をメカニズムが代替するため、MT車の魅力であるダイレクトな変速フィーリングや小気味よさはそのまま引き継がれる。ギアチェンジに際しては、ECU(エンジンの制御を司るエンジンコントロールユニット)とMCU(アクチュエーターの制御を司るモーターコントロールユニット)が通信で連携。ECUは、シフトアップ時のエンジン点火/噴射、シフトダウン時の電子制御スロットルなどをコントロール。また、MCUは最適なシフト操作/クラッチ操作をアクチュエーターに指示。高回転時にはクラッチを完全に切らない状況に応じた最適な制御や、シフトロッド内へのスプリング挿入による変速時間の短縮、前述のエンジン制御とクラッチ制御の協調等により、素早いギアチェンジと変速ショックの低減を両立。ライダーの意思に沿った自然な変速フィーリングを実現している。

CG画像はイメージです。
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ベース車両の良さを損なわない軽量・スリム・コンパクトなユニット

ベース車両のMT変速機構に、シフト操作を行うシフトアクチェーター、クラッチ操作を行うクラッチアクチュエーターなどを搭載したのが、「Y-AMT」の基本となる構成。ユニット重量は約2.8kgと軽量かつスリム・コンパクトな設計で、ベース車両本来のスタイリングやハンドリングへの影響を最小限に抑えた。

CG画像はイメージです。
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MTモードとATモードが選択可能

Y-AMTは、スポーツライディングの純度を高め、加速、ブレーキング、コーナリングなど、エキスパートのライダーと同等の技術を提供できるように開発された。ハンドル右側のAT/MTスイッチ操作によりマニュアルトランスミッション(MT)モードに加え、自動でギアシフトを行うオートマチックトランスミッション(AT)モードも搭載する。MTモードでは、手動でクラッチレバーを操作することなく、ワンタッチで高速かつ正確なギアシフトが可能。クラッチの作動は非常にリニアで、ライダーはどの速度域でもまったく自然な操作を楽しむことができ、ダイレクトに自在なライディング体験を楽しめる。また、シフトチェンジの精度はムラがなく安定してた走行が可能。ライダーはハンドリングに集中でき従来のマニュアルトランスミッションと変わらない純粋な興奮を味わえる。一方、ATモードでは、自動制御によるスムーズなギアシフトで、快適でリラクシングな走行が可能となっている。

CG画像はイメージです。
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よりスポーティな走行に対応するシーソー式シフトレバー

MTモードのシフト操作は、ハンドルの左側に設置されたシフトレバーを利用して行う。グローブを着用した状態でも正確に操作できるよう、配置や形状、素材、操作時のストロークなど、多岐にわたる要素が検討され、軽いタッチ感を実現し、ハンドルを保持したまま無理のない動きで入力が可能となっている。入力ポイントはライディングシーンに合わせて2ケ所を設定。通常の走行時には、「+」レバーを押すことでシフトアップ、「-」レバーを押すことでシフトダウンを制御。よりスポーティな走行においては、親指をグリップから離さず、人差し指だけで「+」レバーを引くことでシフトアップ、押すことでシフトダウンができる。例えば、人差し指で弾いてシフトダウンも可能で、ライダーは高い自由度と直感的な操作性を享受することができる。

CG画像はイメージです。
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搭載モデル

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