特長紹介:XSR900(2023)
伝統革新
そもそもヤマハのヘリテージとは何なのか。自問した。
革新的な新技術が日々刷新され、それが市販車に還元された熱狂の80年代レーシングシーン。デルタボックスフレーム、美しいトライアングルタンクと台形テール。多気筒シリンダーに繋がる複雑かつ芸術的な排気系。それは、機能を極限に導く為の必然の形態であり、ヤマハを含む日本勢のレース戦績とその技術フィードバックが後のスポーツバイクの世界的な潮流を決定づけた。つまり、誇るべきはエンジニア達の一瞬に賭ける情熱の絶え間ない積み重ねであり、これを具現化するのがヘリテージの伝承に値するのではないだろうか、と帰結した。
まずライダーありき、具現化したい走りのイメージありきでその必然性を積み上げていく過程に逆説的だがデザインはそこにいない。それこそが伝承すべきヘリテージであり、伝承されるべきエンジニア達の魂である。形のないその魂をどう具現化するのか、という逆説的な挑戦が新XSR900のコンセプトの根幹である。
スポーツライディングはもちろん、ちょっとした気ままなツーリング、忙しい日々でのライディング。あるいは、眺める、磨く、走りに限らないライダーとバイクの向き合う時間のあり方、その必然性とは何かという答えの無い問答の末にXSR900は生まれた。答えを導く最後の1ピース、ライダーというピースをどう埋めるのかはあなたにかかっている。あなたの新しい解釈のもと、次の伝統が作られていく。「FASTER=速くあること」は、ヤマハモーターサイクルをこの世に生み育てた作り手と乗り手の魂であり、後に続く者はその魂を「継ぐ者=SONS」。
XSR900に託したこのメッセージに、気づき、そして継いでいくライダーはあなたなのだろうか。
ヤマハレーシングヘリテージ×
最新テクノロジーの融合。
01新型888cm3・水冷・DOHC3気筒・4バルブ・エンジン
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- 写真は海外で撮影されたもので、交通法規、仕様が国内とは一部異なります。ウェア類は国内では販売しておりません。
エンジンコンポーネント部品、FIセッティングなどはMT-09/TRACER9 GT(2021年モデル)と同一仕様の新型エンジンを搭載。最大トルクは93N・m/7,000r/min、最高出力は88kW/10,000r/minを発揮し、トルクに押し出されるような力強さ、スロットルとタイヤが直結したようなダイレクト感あるエンジンフィーリングがライディングプレジャーをもたらす。インジェクターはスロットルバルブ側に配置。噴射はバルブ傘裏方向とし、燃料霧化促進とポートへの燃料粒子付着量を抑え、優れた燃焼効率を達成。スロットルバルブの駆動にはYCC-T(電子制御スロットル)を採用した。さらに、心地よく官能的な吸気音・排気音により、操る悦びや高揚感をもたらすサウンドデザインを追求。エンジン回転の上昇に伴い音圧が高まり、気持ちの良い加速を演出している。また、高トルクエンジンとのバランスを図ったアシスト&スリッパー®(A&S®)クラッチと、1速〜2速をハイギア化したトランスミッションもMT-09/TRACER9 GTと同様に採用した。
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- 「A&S」「アシスト&スリッパー」は、株式会社エフ・シー・シーの登録商標です。
02軽量CFアルミダイキャスト製の新フレーム&ボックス構造のアルミリアアーム
縦・横・捩り剛性を最適化。特に横剛性は現行比で約50%アップし、直進安定性に貢献。新設計のリアアームは現行モデル比で55mm延長、良好な直進安定性に寄与するとともに、走りを主張する足回りを強調した。専用設計のリアフレームは、フィッティング感のよいシート形状と相まって80年代レーシングマシンのようなやや腰を後に引いたライディングポジションに貢献。フロントブレーキは入力に対する効力がつかみやすく、優れたコントロール性をもたらすブレンボ製・純ラジアルマスターシリンダーを採用。またホイールには、バネ下重量を低減し、鋳造ホイールでありながら鍛造ホイールに匹敵する強度と靭性を実現した“SPINFORGED WHEEL”を装着。また、収納時はフレームと一体化して見える可倒式リアフットレストを装備した。
レーシングの文脈で、ディテールを考える。
03車両挙動のきめ細かな制御を支える「IMU」
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- ヘッドランプは撮影用に点灯したもので、実際の走行状態を示すものではありません。
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- テールランプは撮影用に点灯したもので、実際の走行状態を示すものではありません。
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- メーターパネルは撮影用に点灯したもので、実際の走行状態を示すものではありません。
高機能・6軸の「IMU」(Inertial Measurement Unit)を搭載。「3軸角速度センサー」と「3軸加速度センサー」を使用することで6軸を検出、小型軽量化を実現した。ECUには、3種の制御システム「バンク角も反映したトラクションコントロールシステム」「旋回性をサポートするSCS(スライドコントロールシステム)」「前輪の浮き上がり傾向時にライダーを支援するLIF(リフトコントロールシステム)」を搭載。加えて、直進時はもちろんコーナーでのやむを得ない緊急制動時にも対応するBC(ブレーキコントロール)も装備している。クイックシフターは、シフトアップに加えてシフトダウンに対応する機能を新たに追加。D-MODE(走行モード切替システム)は、3種から4種の切り替えが可能となり、クルーズコントロールシステムも搭載している。また照射方向左右の広がりや明るさ、さらにバンク時の配光特性にも配慮したLEDヘッドランプを新たに採用した。3.5 インチのフルカラーTFTメーターは、回転数に応じて色が変化するデジタルバータコメーター、燃料計、平均燃費、水温計、外気温計、シフトインジケーター(使用ギア表示エリア色反転)などの機能を搭載。別売アクセサリーのグリップウォーマーを装着した際の操作は、メーター表示を確認しながらハンドルスイッチで行うことができる。また、ETCインジケーターの表示機能※も備えている。
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- 二輪車用ETC車載器アンテナ分離型JRM-21を装着し、車両に装備されているETCコネクターに接続すると、メーター内のETCインジケーター表示機能を使用できます。
04ヤマハヘリテージの核心をつくデザイン
スタイリングは、人が乗って醸し出す全体像をまずイメージ。エンジンとタイヤが主張してくる虚飾を排し、モーターサイクルらしいシルエットを追求。マシンとライダーの一体感を強調する、低く構えたハンドルバーとバーエンドミラー、テールカウルを思わせるシート形状を採用。また伏せた姿勢を取りやすくするため、タンク上面はフラットな形状とした。さらにステーの形状や仕上げ、ボルト1本の選定など細部にこだわり、左右サイドカバーの脱着を容易にするDリングを装備するなど、シルエットとディテールから発するレーシングの香りと機能美を突き詰めた。ボディカラーは2色。ブルーメタリックCは、ヤマハレーシングヘリテージを色濃く反映するため、80年代に活躍したフランスソノートヤマハのカラーをイメージしたブルー/シアン/イエローのコンビネーションを採用。水平基調の車体デザインに合わせた配色とした。ブラックメタリックXは、ヘッドランプステーやフットレストプレート類もブラックアウトされ、要所にレッドを効かせた配色にすることで、モダンかつスポーティなセンスにまとめている。