TRACER9 GT “KEYLESS SIDE CASE” 開発者の戯言 Vol.05
何を想って企画したか、どのように創ったのか、アクセサリー開発の裏側を覗き見
何を想って企画したか、どのように創ったのか、アクセサリー開発の裏側を覗き見
本記事はKEYLESSシステム開発チームの回顧および主観を含んでおり、機能・性能に関する表現の正確性を保証するものではありません。
また、製品の機能・性能は予告なく変更される場合があります。
電装開発者

カスタマーエクスペリエンス事業部
企画戦略部 ボルトオンアクセサリ開発グループ
まさやんさん
年中ガレージに引きこもるガレこもり。外に出ると風邪をひく。
産業用ロボットの電装開発を経て、オートバイのアクセサリ開発者になる。
ハイテク業界に長く従事し今もハイテク系アクセサリを担当しているが、個人の嗜好はローテク至上主義。空冷キャブ車ばかり7台所有。
バイクで遊ぶかガレージで遊ぶ以外の遊び方をよく知らない。
遊びが忙しくて仕事する暇がない。
電気系アクセサリにおいて、お客様からの心配の声が最も多いのがコレ。
旅を快適にするはずのKEYLESSケースが原因になって旅先で車両のバッテリーが上がるなんてことになったら本末転倒。
開発チームも大多数がバイク乗りなので、そんなことは絶対に許さない。
もちろんバッテリーへの影響はゼロではないが、その影響を最小化するために様々な工夫を織り込んだ。
まず基本的な所として、ロック動作を行っていないときの消費電力の徹底的な削減を行っている。
回路の詳細説明は省くが、動作命令を受ける瞬間までKEYLESSシステムは半休眠状態ともいえる超低消費電力で待機している
また、夜間使用時などに便利なルームランプではあるが、もちろん車両のバッテリーを消費する。
ではそれでバッテリーが上がってしまうかというと答えはNOだ。
正確に表現すると、仕組みをわかったうえで意図的にイジワルをしない限り、KEYLESSシステム起因のバッテリー上がりは発生しない。
ルームランプはKEYLESSシステムで物理キーを使わず開錠すると自動点灯し、施錠すると消灯する。
開錠状態のまま鍵を閉め忘れてしまった場合は、5分後に自動消灯するようになっている。
開錠状態のまま走行を開始すると時速10km/h以上で自動的に施錠されるが、その際もルームランプは消灯する。
オートバイがライダーを待っている間、スマートキーシステムは待機状態になるが、バッテリー保護のため約9日間経過するとより深い休眠状態に入る(この仕組みはTRACER標準機能)。
このように、TRACERとKEYLESSケースには旅の楽しみを台無しにしないような仕組みを用意した。
ヤマハ発動機としても初めての試みで、非接触で動作するサイドケースは世界初。
モノづくりに100点はないため、作った傍からすぐに改良のアイデアが湧いてくる。
これからも「旅するケース」として改良を続けていきたい。

KEYLESSシステムのお手入れ:基本的に大掛かりなメンテナンスは不要。簡単に掃除するくらいでOK
トップケース:回転部分に汚れが溜まっていたら、柔らかい綿棒などで優しく拭き取る。パッキンやシールが傷むのでパークリとか使っちゃダメ。エアで吹き飛ばそうとすると可動部の隙間に押し込まれちゃうからやらない方が良いと思う。
サイドケース:トランスミッター同士の合わせ面が汚れていたら硬く絞った柔らかい濡れ布巾とかで拭く。効率落ちるからここにステッカーとか貼っちゃダメだよ
この記事のまとめ
- KEYLESSケース開発では、バッテリー上がり防止が最重要課題として設計されている。
- 非使用時はシステムを**超低消費電力の待機状態(半休眠)**にすることで電力消費を最小化。
- ルームランプは開錠時に自動点灯し、施錠時や5分後に自動消灯する安全設計を採用。
- 走行開始時(約10km/h以上)には自動施錠され、消し忘れによる電力消費も防止される。
- 車両側スマートキーシステムも約9日後に深い休眠状態へ移行しバッテリーを保護する。
- これらの制御により、通常使用ではKEYLESSシステム起因のバッテリー上がりは発生しない設計となっている。
- メンテナンスは簡易清掃のみで対応可能で、低負担かつ長期使用を前提とした設計となっている。
