企画担当者の思い出話
RZVにもFZに親しんできたベテラン社員だからこそ実現できたこの企画。企画担当者とデザイナーが当時を振り返って雑談します。

カスタマーエクスペリエンス事業部
桝井さん
1990年入社。学生時代はミニバイクレースに夢中になり、アルバイトで稼いだお金を全て部品やタイヤに注ぎ込んでいました。これまで乗り継いできたバイクは14台で、現在はTYS外装セットを装着したトリッカーに乗っています。ヤマハでは、主に純正アクセサリーの商品企画を担当し、アパレルからボルトオンパーツまで幅広い商品化に携わってきました。現在はYRA(ヤマハライディングアカデミー)を担当しています。
RZVにもFZに親しんできたベテラン社員だからこそ実現できたこの企画。
企画担当者とデザイナーが当時を振り返って雑談します。
こんにちは、この商品の企画を担当した桝井です。
私はバイクブームだった’80年代に学生時代を過ごし、当時の愛車はXJR400ZS(FZ400Rのベースとなったモデル)でした。また、この商品のデザインを担当してくれたのがGKダイナミックスの吉田さんで、彼の当時の愛車はRZ250。共にバイク好きが高じて会社に入り、もう30年以上のお付き合いです。
「タカヤ~(デザイナー吉田さん)、次は900GPで80年代やるよ~。流れだと次はTZRかな~? 他にもFZ750、RZV500とか描いてみて~。」
私がデザインをオーダーする時のいつもの言葉は「とにかくヤマハらしいの」「アクセサリーらしいの」。その勘所をよく知っている吉田さんが当時のモデルデザインを900GPに映してくれました。そのイメージスケッチがコチラ。



こうやって並べてみると・・・
「FZ750だと車体形状が違い過ぎてイメージが伝わりにくいね。」
「TZRも悪くないけどアクセサリーとしてはシンプル過ぎるかな。YSRにも見えるし。」
「やっぱイメージの伝わりやすさと付加価値が高そうなデザインはRZVだねぇ。」
「あれ?これってRZVの色変えたらFZにならないか?」
デザイナーの力って凄いですね。 “百聞は一見にしかず”で、打合せは30分程で終わり、早速FZ400Rのイメージスケッチを吉田さんが描いてくれました。それがコチラ。

FZ400Rのデザインパターンを検討
「ほう、RZVの色替えパターンでも特に違和感は無いね。」
「塗装治具やグラフィック版も共通化できるので、コスト的にも実現可能性高いし。」
ということでFZイメージはB案で決定とし、RZVと共に細部デザインを作り込んで最終スケッチを仕上げることにしました。 それがコチラ。

よし、スケッチできた!
ここから具体的にモノ作りを始めるのですが、まずは塗装色を決めるところからです。
- ・当時の塗装色のうち、白は既に廃色となっていて塗料が無く、色味もクリームっぽいため、新型車両であるXSR900GPに使うと古ボケた感じになってしまう。
- ・紺は良いが、赤はかなり朱色っぽくて白と同じように色褪せた感がでる。
- ・生産車のオレンジ色に近くて、外装KITとしての変化を感じにくい。
なので、よりシャープで引き締まった赤色(ヒートレッド)と白色(ラジカルホワイト)に変更しました。
開発担当のさと31才さんも言っていますが、大切なのは、過去をそのままコピーすることではありません。XSR900 GPという現代の車体で最も美しく見えるバランスを追求しました。



(企画当時の記録写真)


RW/ HTR / DPBMU の組合せ
色が決まれば実車へのデザイン展開ですが、2Dスケッチがそのまま3Dにはなりません。
デザイナー吉田さんが車体にテープで何度もラインを引き、そのラインに合わせて製造要件検討用のデザイン車を作製していきます。




このように、デザインの作り込みと同時に製造コストや販売方法などの条件を検討し、「商品としての実現可能性」を担保するのが商品企画&デザイナーの役割なのです。
ここからは具体的な開発のお話になりますので、さと31才さんへとバトンタッチします。
この記事のまとめ
- 80年代のバイクブームを経験した企画担当とデザイナーが、当時の思い出や経験を生かして新たな外装キットを企画した。
- XSR900 GPに80年代のヤマハ車の世界観を再現するため、FZ750やTZR250、RZV500を候補に検討した。
- 各モデルのデザインを比較した結果、イメージの伝わりやすさとアクセサリーとしての付加価値からRZVを選んだ。
- RZVのデザインをベースに配色を変更すればFZ400Rも再現でき、塗装治具などの共通化でコストも抑えられると判断した。
- 当時の塗装色は色褪せた印象になるため、現代の車体に合うヒートレッドとラジカルホワイトを採用した。
- 過去のデザインをそのまま再現するのではなく、XSR900 GPの車体で最も美しく見える色とバランスを追求した。
- 平面のスケッチを実車へ落とし込むため、車体に何度もテープでラインを引き、デザイン車を製作して細部を検証した。
- デザインの完成度だけでなく、製造コストや販売方法も検討し、商品として実現できる条件を整えることが企画の役割となる。