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55mph - 自転車ロードレースを支える黄色いTMAX

自転車ロードレースの現場で奮闘するヤマハ・モーターサイクル、その名も「MAVICニュートラル・モト」。イエローにペイントされたヤマハTMAX530は、いまやロードレースの円滑な運営には欠かせない存在なのである。

自転車ロードレースの現場で奮闘するヤマハ・モーターサイクルをご存知だろうか?その名も「MAVICニュートラル・モト」。イエローにペイントされたヤマハTMAX 530は、いまやロードレースの円滑な運営には欠かせない存在なのである。
2016年6月4日、伊豆・修善寺の日本サイクルスポーツセンターで大阪、東京など全6ステージで行われる国内最大規模の自転車レース「ツアー・オブ・ジャパン2016」の伊豆ステージが開催された。ここではそこで活躍する2台のTMAXの模様をリポートしよう。

写真/井上六郎

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はじめにまずMAVICニュートラル・モトの役割について説明する前に、自転車のロードレースがどういうものかについてざっくり知ってもらう必要がある。

自転車ロードレースというのは1日100㎞以上の長距離を走って順位を競うマラソンのような競技だが、大きな違いとしてチーム同士で争うチーム戦であることが挙げられる。今回取材したツアー・オブ・ジャパンでは1チームあたり6名の選手で構成されているが、各チームはエースを先頭でゴールさせることを最大の目標としている。

レース中は各チーム1台ずつ、スペアの機材(ホイールや自転車)やドリンク、補給食などを載せたチームカー(四輪)を一緒に走らせ、選手のサポートを行っている。それに対しMAVICは「ニュートラルサービス」として、すべての競技者に対し中立的に技術サポートを行う。車両の故障などのトラブルに対処するのは原則的に各チームのチームカーだが、レース中にはいくつもの集団ができるため1台では対応しきれないエリアが出てくる。そこを「埋めて」補うのがMAVICのニュートラルカー(四輪)、ニュートラル・モト(二輪)という訳である。MAVICはスポーツサイクルの世界では知らぬ者はいないフランスの大手自転車部品メーカーだが、40年以上にわたってこうしたサポートを行っている。

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モーターサイクルなら自転車をサポートすることなんてたやすいのでは?、そんなことを思う読者もいるかも知れない。否である。レースで選手たちが乗っているロードバイクは重量わずか7㎏たらず。ころがり抵抗の低い高圧タイヤや22段変速などによって平地では時速50㎞以上、山岳コースの下り坂では瞬間的に時速100㎞以上もの速度が出る。ロードレースにはチームカーのほかにも審判車やカメラバイクなど、多くの車両が伴走しているが、下り坂になるとこちらもレースをしているんじゃないかと思うぐらいの勢いでかっ飛ばす。そうしないと後方の選手達にあっという間に追いつかれてしまうからだ。

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したがって、ニュートラル・モトで使用するマシンには高い走行性能が求められることになる。ニュートラル・モトを運営する「MAVIC SSC(スペシャル・サービス・コース)チーム」のディレクターを務める松村拓紀氏はこう話す。

「我々は基本的に集団と集団の間に入ってサポートを行いますが、四輪の場合は集団同士の間隔が1分30秒以上開いていないと間に入ることができない規定になっています。それに対し、二輪は30秒の間隔があればその間に車両を入れることができる。ニュートラル・モトには刻々と変化する状況のなかで指示された場所に迅速に移動できる加速性能が極めて重要なのです。大排気量のオートバイをベースにしているのはそのためです。TMAX530ならではの美点を挙げると、まずオートマチックであること。ロードレースの競技時間は3時間以上と長いため、これだけで疲労度がかなり違ってきます。また座面が広いことも疲労の軽減にひと役買ってます。次にコーナリング性能が優れること。峠の下り区間などでは、後ろにメカニックを乗せた状態でワインディングをかなりのハイペースで走ることになります。TMAX530はフレーム剛性やサスペンション、ブレーキの性能がスクータータイプのマシンとしては異例に高いため、そういったシチュエーションでも不安なく走ることができます。またハイグリップの高性能タイヤを履くことができるのも強みのひとつでしょう。壮大なヨーロッパの山々を超える世界最高峰の自転車レース「ツール・ド・フランス」でもこのTMAX530はニュートラル・モトとして使用されており、その素晴らしい機動力は世界的に認知されてます」

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ニュートラル・モトのTMAXはワンオフで製作されたキャリアを装備し、4本のホイールが搭載されている。ロードバイクは前後のホイールを素早く交換できる構造になっているため、故障の場合はもちろん、パンクした場合でもホイールごと交換して対応する。交換時間はフロントで10~15秒、リアで15~20秒程度だとか。ちなみに故障やパンクをしたホイールはすぐにニュートラルカーに渡し、代わりの新しいホイールを補充することになるが、場合によってはこれを走りながら行うこともある。自転車ロードレースのサポートとはかほど忙しいものなのだ。

自転車ロードレースは「強者優先」の理念によって運営されているという。上位を走っている選手が不本意な形で順位を落としてしまうことがないようTMAX530も献身的なサポートを行う。選手にとっては幸福の黄色いTMAX、なのかもしれない。

TMAX530

オートマチック・スーパースポーツという独自のジャンルを築いたモデル。エンジンはスムーズかつ低中速からのレスポンスに優れる530㏄水冷直列2気筒DOHC4バルブを搭載。アルミダイキャスト製のフレーム&リアアーム、倒立式フロントサスペンション、ベルトドライブによる2次駆動、15インチの大径ホイールなどの採用により、走行性能と実用性を高次元で両立させている。フルLED式のデュアルヘッドライトもスポーツバイクらしい精悍なスタイリングを演出する。 TMAX530製品ページ

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