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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

グリーンスローモビリティ(電動カート公道仕様)

新時代のアートヴィレッジを繋ぐ次世代モビリティ体験(京都府京都市)

全国で活躍するグリーンスローモビリティ(電動カート公道仕様)の様子をお届けします。

描いた明日が、目的地。

立命館大学衣笠キャンパス

京都・衣笠

新時代のアートヴィレッジを繋ぐ次世代モビリティ体験

京都の歴史と自然に抱かれた立命館大学衣笠キャンパスで、2025年6月1日に「衣笠アートヴィレッジ フェスティバル」が開催され、低速小型EV「グリーンスローモビリティ(略称:グリスロ)」を活用した周遊ツアーが実施されました。次世代のアートヴィレッジを目指す街を五感で楽しみながら課題解決にも繋がる新しい移動体験とは――。

POINT

知られざる芸術の街「京都・衣笠」の魅力を再発見

京都の北西部に位置し、名勝金閣寺や総本山仁和寺、北野天満宮など京都を代表する名所が集積する衣笠エリア。かつてこの地は、日本画の大家・木島櫻谷をはじめ芸術家やその門弟が集まり「衣笠絵描き村」と称され、芸術文化の中心地のひとつとして栄えました。

立命館大学は京都を代表する学び舎のひとつ

衣笠山の南東麓に立地する立命館大学は2025年に創立125周年を迎え、翌年4月には新たに「デザイン・アート学部/デザイン・アート学研究科(設置構想中)」が新設されます。その取り組みを背景に、京都市や近郊の神社仏閣、文化施設などと共働し、世界に向けて再び芸術の街として発信する「KINUGASA Redesign Project」が2025年春より始動しました。

1939年より歴史が続く立命館大学衣笠キャンパス

このプロジェクトは、現代的な視点と感性で「アートコンテンツの創出・発信」、アートヴィレッジとして交流を促進する「アートイベントの企画・開催」、そしてアート拠点を繋ぎ、エンタメ要素も取り入れる「MaaSによるアートヴィレッジの一本化」といった3本柱を基盤に、衣笠エリアの新たな価値創出を目指すもの。

「本学は総合大学だからこそ、その中核を担うことができると考えております」と話すのは、プロジェクトを主導する立命館大学副学長の小川さやかさん。

立命館大学副学長 小川さやかさん

「たとえば本学のアート・リサーチセンターは、浮世絵や古書、建築物、能などのパフォーマンスといった伝統芸能に至るまで、国内外にある日本の文化資源のデジタル・アーカイブ化を行い、その数は国内最多の150万点に及びます。その他にも分離が融合した多彩な研究があります。京都の歴史や伝統に本学の人的資源や最新のテクノロジーを活用した革新性を融合させることで、衣笠を世界に誇るアートヴィレッジとして発信していきたいという思いが根底にあります」

移動に新たな価値を付与する次世代モビリティ

「KINUGASA Redesign Project」の一環として、6月第一日曜日を「アートの日」と制定し、衣笠キャンパスを中心にアートを発信・交流する「KINUGASA ART VILLAGE FESTIVAL」が開催されました。

美術、デザイン、パフォーマンス、音楽、食、伝統芸能など多種多彩な企画を開催

記念すべき第一回目は、茂山千五郎家の狂言特別ステージや異彩を放つ作家による「ヘラルボニー×立命館」のアートエキシビション、新入生企画「FRESH ART」、原田マハ×高岩シュンのアートトークなど、子どもから大人まで五感で京都とアートを楽しむ多種多彩な70超の企画を実施。約12,000名で賑わい、大盛況を博しました。

学生だけでなく地域のファミリーなど老若男女で賑わった

このイベントは衣笠キャンパス内だけでなく、北野天満宮や総本山仁和寺、等持院、大本山妙心寺、櫻谷文庫(旧木島櫻谷住宅)といった周辺の神社仏閣・文化施設の協力のもと、グリスロや電動アシスト自転車を活用した周遊企画も実際されました。

「そもそも衣笠エリアは、交通課題が根深くあります」と小川さん。

「京都は路線バスが発達していますが、オーバーツーリズムで市民の日常生活に支障をきたしています。他方、魅力的な観光資源が数多くあるにも関わらず、人気のスポットにしか観光客がこないという現状もあります。また、坂道やバスも入れない路地も多く、高齢者や身体が不自由な方にとって不便といった問題があります。グリーンスローモビリティは、そういった課題解決に繋がる一つの手段であると同時に、京都でまだ普及していないMaaSでアート拠点を繋ぐ可能性を秘めていると思い、今回電動カート体験を企画しました」

グリスロでキャンパスと名刹を快適に体感!

今回のグリスロを活用したモビリティ体験の舞台は、衣笠キャンパスと総本山仁和寺。

衣笠キャンパスでは予約不要で、体験者は以学館前と恒心館前に設置された乗降場から乗り込みます。

グリスロに乗り込む参加者

グリスロの魅力は、オープンエアで静かに時速20km未満の低速走行をすること。そしてドアがないので、乗り降りもしやすいのもポイントです。

新緑が彩る広いキャンパスで初夏の風を感じていると、自然と笑顔になります。

キャンパス内をゆっくり走行する

キャンパスを歩く人たちから注目を集め、手を振る子どもも。シームレスなコミュニケーションが楽しめるのもグリスロならではです。

子どもたちは目を輝かせて乗車していた

乗車中は車内に搭載されたヤマハ発動機の音声ガイドがキャンパス内の施設や衣笠山、等持院などの逸話を案内してくれるので、地域への理解が深まります。

音声ガイドはGPSを活用し、場所に合わせたガイドが流れる

30分おきの運行は、家族連れが列を成し常に満席で、予定より増発するほど活況を呈しました。

一方で、総本山仁和寺は専用アプリ「GOGOシェア」から事前予約で乗車。
こちらでは「立命館大学神社仏閣ボランティアガイド」サークルで活動する学生ガイドが同乗します。

運転手の隣にボランティアガイドが乗車

3.3ヘクタールにも及ぶ広大な仁和寺の境内は、世界遺産にも登録されている歴史的建造物と四季折々の自然が調和した空間が魅力です。

静謐が漂う荘厳な空間を快適に走行しながら、確かな知識にユーモアや逸話を織り交ぜたガイドを聞く時間に心が躍ります。

五重塔へと向かうグリスロ

仁和寺のシンボルとしてそびえ立つ五重の塔などを巡り、約30分のモビリティ体験は終了。
ガイドを務めた安野幹人さんはこう話します。

「ガイドをする際は、ただ訪れた以上の価値を感じていただけるよう、参加する方の嗜好などに合わせて内容を変え、施設の魅力を伝えることを大切にしています。今回初めてグリーンスローモビリティに乗車してのガイドでしたが、歩くよりスピードが速く、非日常感も相まって参加された方がより前のめりに楽しまれていたと感じました」

ガイドする安野幹人さん(左)

参加された方にも感想を聞きました。

「若い方がこれだけ勉強されていることに感動しました。そのガイドを聞く環境としてゆっくり走るスピードが快適で、横揺れなどもなかったので、本当に楽しかったです。これまでになかった新しい観光体験だと思いました」

砂利道などでも快適に走行できるのもグリスロの魅力

伝統と革新が融合する“アートの街・KINUGASA”へ

今回のイベントを終え、小川さんはこう話します。

「想像していた以上に多くの方がこられて、第一回目として大成功だったと思います。
その中でグリーンスローモビリティや電動アシスト自転車での周遊は、移動に新たな体験価値を付与するものとして可能性を感じました。アート拠点や観光スポットを繋ぐだけでなく、たとえば本学ではゲームの分野で日本唯一の学術的機関である『ゲーム研究センター』があります。そこで開発したゲームアプリケーションと連動し、歴史物語の主人公になって実際の京都の街を舞台に冒険に出るような『エンターテインメント』『学習』『観光』が一体になった新しいイベントを仕掛けたり、グリーンスローモビリティとエンタメの融合で移動課題の解決だけでなく観光価値体験を上げ、本学ならではの新しい社会的価値をモビリティで創出していきたいです」

グリスロは大きな施設内の移動手段としても有効活用できる

また、日常の移動手段として課題解決にも繋がる、と続けます。

「通勤や通学など住民の足としての活用はもちろん、高齢者や体の不自由な方にもやさしいツールとして、誰もとりこぼさない社会の創造に寄与すると思います」

既存の公共交通機関がグリスロなどのモビリティと連携したMaaSで繋ぐ新時代のアートヴィレッジ構想とは――。

「まず、かつてのように様々なアーティストや芸術家が滞在し、本学の研究や人的資源、テクノロジーを活用しながら自治体や神社仏閣とも連携することで、国内外に誇るアートヴィレッジを目指します。そして、グリーンスローモビリティなどニューモビリティの導入により毛細エリアまで網羅する回遊環境を整備すると共に、学びとエンタメ・観光要素の効果的な融合を図る。さらにエンタメ要素のさらなる拡充を図り、アートを軸に衣笠を回遊できるように散策マップの作成やMaaSの実現によりパッケージとして提供することで、歴史ある衣笠エリアの魅力を五感を通して楽しんでいただく。本学は、これまで以上に地域に開かれた学び舎として、そういった未来をデザインしていきたいです」

「伝統と革新が融合したアートを全世界にアピールしていきたいです」

取材:2025年6月時点

Green Slow Mobility travelogue

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