のんびりYPJ 散歩(大阪編)
「水の都」大阪のディープなスポットを巡る e-Bikeで大阪市内を一周サイクリング
「水の都」大阪のディープなスポットを巡る
e-Bikeで大阪市内を一周サイクリング
見慣れた街の、まだ見ぬ景色を探しに行きませんか?
サイクリングは身近な地域そのものを、レクリエーションのフィールドに変化させてくれます。
かつて「水の都」と呼ばれ、水運と共に経済と文化の中心都市として発展した大阪の今昔を、ヤマハのe-Bike(スポーツ電動アシスト自転車)で一日巡りました。
住之江公園で朝食タイム、サイクリングスタート!
スタートは住之江公園。まずはウォーミングアップ的に、公園内を通って北向きに出発。サイクリングの相棒は、ヤマハYPJシリーズの電動アシストクロスバイク CROSSCORE RC(クロスコア アールシー)。大容量バッテリーはフレームに内蔵する形で、これまでの電動アシストのイメージを覆すスタイリッシュな見た目が印象的です。一時停止の多い路地裏のストップ&ゴーも、ストレスに感じずスイスイこなしていきます。
軽くCROSSCORE RCに体を慣らしたところで、朝食タイム。公園のすぐ北側にある「カフェ・ドゥ・アンサンブル」で、モーニングをいただきました。こちらは「1日中サービスセット」と称したパン(トーストorサンドイッチ)とドリンクのセットが名物。なかでもチーズトーストは、厚切りパンに山盛りチーズ+αのボリューム&バラエティが魅力です。元気をチャージして、いざサイクリング本番スタートです。
歩行者や自転車も渡れる千本松大橋
カフェを出発し15分ほど走ると、何やら前方に巨大な高架道路が見えてきました。二重高架の高速道路?ジャンクション?と思いきや、実はこれは一般道。木津川を渡る千本松大橋で、自動車だけでなく、なんと歩行者や自転車も渡れる橋なのです。
千本松大橋は航路高(水面から橋桁の下部までの高さ)が33メートルと、ビル10階以上に相当します。木津川両岸には造船所や工業地帯が広がっていたことから、架橋当時には頻繁に航行していた大型船に配慮した高さの橋が作られたそう。両側が2連の720度ループとなっており、上空から見た橋の形から、地元では「めがね橋」の愛称で呼ばれています。
道路の片側には自歩道があり、自転車に乗って通ることができます。しかし見上げるほどの高さの橋を渡るには、当然その高さまで上る必要が。電動アシストなしの自転車なら躊躇したり憂鬱になるポイントですが、そこはドライブユニットを搭載したCROSSCORE RC。坂道の存在を感じることなく、鼻歌交じりでループ橋の景色を楽しみながら走ることができました。アシストユニットには勾配センサーも内蔵されており、坂道でも違和感の少ない自然なアシストが特徴。自力だけで上れているようにすら感じますが、もちろんそんなことはありません。
ループを抜けると大阪の景色が一望できます。今も木津川は各種船舶が頻繁に行き交い、橋の上からは工業都市・大阪の景色を覗くことができます。クルマだと通り過ぎるしかできませんが、自転車であれば橋の上からの眺めも好きなだけ堪能することができます。
歴史ある建物が点在する大阪築港
橋を渡りさらに進むと港区に。この付近は大阪築港といい、いわゆる昔からの大阪港の中心エリア。歴史ある建物も点在しており、築港赤レンガ倉庫もそのひとつ。1923年(大正12年)に建設され、取材時にはちょうど100周年だったそう。20世紀末には倉庫としての役割を終えて、現在はクラシックカーミュージアムになっています。
標高わずか4.53mの天保山でヒルクライム
ここで突然のヒルクライムタイム。客船ターミナルそばの天保山公園に入って緩やかな坂を1分弱上ると、そこは「天保山」の頂上です。天保山は、標高わずか4.53m。山頂には測量の基準となる二等三角点が設けられ、正式な「山」であることをアピールしています。
安治川を渡る渡船で対岸へ移動
ここから少しだけ船の旅となります。天保山に隣接した渡船場より、渡船で安治川を渡り対岸の桜島へ移動します。かつて「水の都」と呼ばれた大阪では公営の渡船が古くから多く運航されており、現在も8航路が現存しています。天保山の渡船は平日昼間は30分ごとに運航。歩行者道路の代わりという扱いで、運賃はなんと無料です。
利用者は歩行者・自転車ともに思ったより多い印象。天保山の船着き場を離れると、桜島へはおよそ2分の所要時間。先ほど入港してくるのが見えたクルーズ船を、今度は下から見上げるなど、普段見られない景色を楽しみました。桜島の船着き場へはUターン気味に一発で着岸。プロの技を見ました。
安治川の地下トンネルを押し歩き
タイヤを踏み入れたのは桜島。地名に島と入っていますが島ではなく、市中心部から地続きの先端付近にあたります。ここからルートは安治川(旧淀川)沿いに、東方向に市中心部へ向けて進んでいきます。しばらく走ると、西九条の阪神なんば線の高架橋のたもとの、古いビルの前に着きました。実はこのビルは安治川を地下で渡る「安治川トンネル」の出入り口。両岸に設けられたエレベーターで地下に降りて通行する、ちょっと珍しい形式のトンネルです。
ここは日本初の沈埋トンネルで、戦時中の1944年(昭和19年)に完成。1977年(昭和52年)までは自動車用トンネルも運用され、歩行者・自転車用エレベーターの他に、巨大な車両用エレベーターも設けられています。物資不足をおしても戦時中に完成をみたのは、大阪城そばの砲兵工廠(兵器工場)で作られた各種兵器を、港へ運ぶ目的があったそうです。現在は幅2mほどの歩行者・自転車用トンネルのみが現役です。
アップダウンもある中之島エリアも快適走行
トンネルを抜けると西区。安治川沿いの工業地帯をさらに上流へ向かいます。相棒のCROSSCORE RCの走りは、快調そのもの。電動アシストの恩恵は発進・加速・登坂など、大きく踏み込む必要がある場面で顕著で、軽く足を回しているだけで気持ち良く発進から巡航までをこなします。
そして2インチの太い27.5インチタイヤは、道路上のちょっとした穴や溝なども気にせず走れ、安心感と扱いやすさが絶妙。フロントサスペンションは路面の凸凹をしっかり吸収してくれます。こうしたサスペンションや太いタイヤは、通常なら重量増とのバランスで悩む部分ですが、電動アシストにより、これらのメリットを存分に享受できています。裏道を右へ左へ曲がっていきますが、ラインも狙った通りにスムーズに決まり、自転車としての設計の素性の良さが感じられます。
対岸の大阪市中央卸売市場を過ぎると、いよいよ市の中心部、北区の中之島エリアとなります。旧淀川は南北に、北は堂島川、南は土佐堀川の2つに分かれて並行。中之島は両川に挟まれた中州で、大阪市役所など公的機関のほか、国際会議場や図書館、美術館などの文化・芸術施設もあります。
中之島の内部は平坦と思いきや、最初は連続アップダウンが続きます。東西に細長い中之島は、南北に10本もの筋(大阪市内中心部では南北の通りを○○筋と呼びます)が貫きます。各筋の橋がある付近が高く、その間が低いすり鉢状。通常の自転車だと地味にしんどそう…と思う地形ですが、CROSSCORE RCはまるで苦になることはなく、スイスイと進んでいきます。
カフェレストランで昼食
淀屋橋のたもとで御堂筋を渡ると、大阪市役所の横を抜け、中之島図書館、中央公会堂といった、国の重要文化財に指定された歴史ある建物の施設が並びます。ここから先の東側は、市民の憩いの場となる公園ゾーン。その中にあるイタリアンカフェレストランで昼食を。心地の良いテラス席で、素材の味が生きた本格ナポリピッツァをたっぷり頬張りました。
勇壮な大阪城天守閣が姿を現わす
昼食を終えて再スタート。中之島の先、再び一本になった旧淀川。ここから上流は大川という呼び名になります。京橋を渡るとすぐ、大阪城公園。公園内の道を進んでいくと、勇壮な大阪城天守閣が眼前に現れました。現在の大阪城は、石垣などの造りは豊臣期のものではなく、江戸時代に徳川家がその上に築いたもの。天守は長く失われていたところを、昭和初期に鉄骨鉄筋コンクリート造で再建された復興天守です。この復興天守も昭和6年(1931年)の完成からすでに90年以上が経過し、今では国の登録有形文化財となっています。
大阪城は南北にのびる上町台地の北端に作られています。城の北・東・西の三方は城から見て低地で、さらに北側を淀川が流れていることから、堀に水を張り巡らせて強固な守りとしていました。大阪城の周囲は南側のみ台地上となっているので、城の周りを走っていると突然ちょっとした上りが出現します。
上町台地の上がおおよそ標高20m程度。下は5m弱といったところで、だいたい15mくらいの標高差があるようです。大昔、縄文時代ごろには台地の下は海で、生駒山地あたりまで大阪湾とつながっていたそうです。徐々に淀川や大和川などから流れる土砂が溜まり、現在の大阪平野が形成されたのだとか。
上町筋の向こうには「あべのハルカス」
大阪城公園を南側に抜け、上町台地の上を南北に走る上町筋に入ります。路面には自転車ナビラインもある、広い片側二車線の直線道路を、南に向け快調に飛ばします。近鉄大阪線のターミナル・大阪上本町駅の横を抜け、上町筋の南端に突き当たると、向こうにはミナミのランドマーク、あべのハルカスの姿が見えました。
このあたりは四天王寺の界隈です。四天王寺は6世紀に聖徳太子が建立した、日本仏教における最古の寺院といわれています。長い歴史の中で伽藍や五重塔などは幾度となく失われつつも再建され、現代までその教えと信仰を受け継いでいます。現在は既存仏教の宗派にこだわらない、全仏教的な立場の「和宗」の総本山となっています。
新世界で通天閣を見上げる
四天王寺前より針路を西に変え、台地の下へと坂を下ります。左手には天王寺公園。天王寺動物園が知られるところですが、美術館や日本庭園、古墳や城跡などもある、広大な都市公園です。一気に坂を下って阪神高速をくぐると、左に見えるのは通天閣。新世界の入口に着きました。
新世界ではシンボルタワーの通天閣が中央にそびえ立ち、街の入口からは通天閣に向けてタテ・ヨコ・ナナメの通りが、それぞれの表情を見せています。極彩色のさまざまな店舗が入り乱れる様相は、食い倒れの街・大阪のイメージそのままで、観光客でにぎわっていました。
「水の都」大阪のさまざまな顔を見てきた旅も、このあたりでフィナーレ。サイクリングで巡ってみると、工業地帯や港、官公庁オフィス街、そして繁華街までが思っていたよりも近接していて、変化に富んだ風景を楽しむことができました。クルマでは見逃すちょっとした景色を、徒歩では回りきれない範囲をつないで見て回る、自転車ならではの視点で、大阪を楽しむことができました。
そして、それなりの距離とアップダウンをこなした筈なのに、これといった疲労が当日も翌日も無かったのは、やはりe-Bikeならではでしょう。体力や脚力をほとんど気にすることなく、走りたい場所を走り、行きたい場所に行ける。サイクリングの発想を自由にしてくれるe-Bikeは、単なる自転車のパワーアップ版にとどまらない、全く新しい移動体験のためのツールだといえるのではないでしょうか。
最後に、今回のサイクリングは大阪市住之江区に拠点を構え、サイクリングツアー企画・レンタルサイクルを手掛けるXB Planning(クロスビープランニング)さんに一部ご協力頂きました。ヤマハYPJシリーズのレンタルも可能なので是非体験ください。
相棒