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その他網漁

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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チリメンジャコ漁

兵庫県南あわじ市

網船は右側が緑、左側が赤の旗を掲げて網を曵く。淡路ではチリメンジャコ漁の網船は船体を黄色系統の色で塗る慣わしがある

7月からお盆休みまでが最盛期を迎える南淡路のチリメンジャコ漁。数多くの漁船が操業するこの漁は情報戦とも言われるほど、漁場の選択が水揚げ量を左右します。作業時の安定性に加え機動力が求められるチリメンジャコ漁にDT-55が進水しました。

 1艘の手船と2艘の網船の船団で漁を行う、南あわじのチリメンジャコ漁。GPS魚探、レーダー、ソナーと電子機器をフル装備した先船がチリメンジャコ(カタクチイワシの稚魚)の群れを正確に捕捉して、網船に網を入れる位置を指示します。網を入れてからも、先船は網船の前方の海面を丹念に探査し、刻一刻と変化する状況に応じて針路変更の指示を網船に逐一伝えます。
 1時間半ほど網を曵くと、先船はチリメンジャコで満タンになった網の先の袋部分をファスナーで切り離し、代わりに新しい網の袋を取り付けます。新しい網に取り替えられた網船は再び網を曵きはじめ、その間に先船は水揚げしたチリメンジャコを素早く氷漬けにして、港へと急行します。足の早いチリメンジャコの鮮度は、こうした切れ目ないチームワークによって保たれているのです。
 2艘の網船は同時に進水した新造船のDT-55。緑の旗を掲げて右側を曳く〈第二祐規丸〉を駆るのは本山光彦さん。赤い旗を掲げて左側を曳く〈第三祐規丸〉の柴田佳周さんとは従兄弟同士。平成22年に進水した先船〈祐規丸〉の中尾博満さんも本山さんの伯父に当たる親戚筋によって構成されているのがチーム〈祐規丸〉です。
 進水してから、まだ数回しか漁に出ていない網船は、まだ網の設定を行う段階です。
 「船の走りとか形状とかに合わせて網を調整していく必要があるんです」と本山さんが言うように、網船の船頭は実に繊細な感覚で網を曵いているようです。さらに、こうした繊細な感覚が要求される漁だからこそ、そのベースとなる船が大切だと本山さんは言います。
 「ヤマハの船は実にしっかりしている。波の中で走ってもねじれる感覚はまったくないし、本当に安心感がありますよね。周りの船を見ていても、長く乗るほどにヤマハの船と他の船との差が出てくる」(本山さん)
 チリメンジャコ漁の最盛期は7月からお盆までの盛夏。その頃には、新造船と網の調整も完了し、船もチームワークも100%を超える力を発揮しているはずです。

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ドラムに巻かれた網が海に投入される。この作業のため、網船の後部はフラットで広いスペースが確保されている

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ファスナーで取り外された網の袋は先船のクレーンによって揚げられる

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網に掛かったチリメンジャコは、すぐさま氷漬けにされ鮮度が保たれる

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出港は午前4時半。異なる周波数で表された魚探の画面を参考にチリメンジャコの魚影を追う

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先船の舵を取るのは中尾博満さん(中央)。後列左から、この日は応援に駆けつけた漁協職員の杉田直裕さん、ベテラン乗組員の西田昌弘さん、今年から乗り始めた新人の松谷泰成さん

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網船の船主、本山光彦さん(左)と柴田佳周さんは、従兄弟同士で息もピッタリ

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