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採貝藻

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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ウニ潜水漁

鹿児島県桜島

安文さんが潜ると奈知子さんが舵を握る。奈知子さんが舵を握りだしてからはもう10年になる

今も噴煙を上げている桜島の麓、竹ノ下安文は桜島周辺でウニの潜水漁を営んでいます。 錦江湾でも4名しかいないという潜りによるウニ漁。ガンカゼやムラサキウニがその対象となります。

 「10年ぐらい前に始めて、まだ独立したばっかりだったから少し不安もあったけど、ちょうど2年ぐらいで軌道に乗りだして、景気も後押しして1箱が今の倍、だいたい400円で取り引きされていましたね。それが4,5年ぐらい前から外国産のウニが増えだして、景気の低迷もあって、だいぶ潜る人が減りましたね」
 当時は密漁船も出るぐらい漁が良かったという竹ノ下さん。ウニは贅沢品だから景気がそのまま値段に影響する厳しい漁だといいます。
 取材に伺った日の出港は午前7時。3月の桜島は2艘曳きによるサヨリ漁が旬を迎えますが漁協の協定により組合員は奇数日と偶数日の操業に分けられているため、竹ノ下さんはサヨリ漁のない日に潜水を行っています。
 ウニ漁は1年を通じて行われますが、時期によって採る深度が異なります。夏場は深い棚、それ以外は水深15m前後の浅瀬が主な漁場となります。
 また、魚に比べウニは生育環境に影響されやすく、適度な潮流や適度な日照、そして藻場の発育が良質なウニの育つ最低条件となります。
 「結婚したときは網の修繕ぐらいは手伝うつもりでいたんですが、まさか自分が舵を持つとは考えもしなかったですよ」
と話す奈知子さんが潜るあいだ舵を取ります。1回の潜水でおおよそ1時間から2時間。最盛期では1日に150Lの網で6個分を取っていたウニ漁ですが、この日は3網分で漁を終えました。
 「漁を終えてから箱詰めしてその日のうちに出荷しますので、3網分ぐらいが適量なんですよ。以前は人を雇っていましたが、今は家内と二人だけですから、出荷する分しか採りません。あまり採りすぎても次が育ちませんからね。長くやっていくにはその兼ね合いが難しいですよね」
 ウニを始めた当時は加工技術がなく、すべてが試行錯誤だったという安文さん。漁が減少する中でも潜水漁を行うのは、海に潜るのが好きだからと微笑みます。
 「子どもの頃から海が近かったから潜りも自然と身に付いたんだ。釣る漁も好きだけど、ウニ漁のように夫婦二人でゆっくりできる漁もいいものですよ」
 この日箱詰めの作業が終わったのが午後4時。新鮮なウニを鹿児島の市場に出荷すると竹ノ下さんの作業が終わります。

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桜島周辺で行われる潜り漁。ウニ漁は現在4名の漁師さんによって行われている

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港に戻るとすぐにウニの棘を削ぎ落とす。ガンガゼ、ムラサキウニはウニの中でも棘が大きい

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ウニのからを割るのは安文さんが行う。ウニの身は割ってみなければわからないそうだ

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腑と身の選別作業では形や身の色までも分ける。身を崩さない慎重さが要求される

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「もう一回ぐらい船を買い換えたいと思う。その時は迷わずヤマハ船だね」と竹ノ下さんの信頼は厚い

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竹ノ下さんの「綾乃丸」は<DY-39M>。曳き網や延縄を行うための艤装も施されている

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