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採貝藻

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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アサリ漁

静岡県浜名湖

下駄を履き鋤簾を使うアサリ漁。その沖では船上から長尺の鋤簾を使ったアサリ漁が行われていた

日の出と共に始まる浜名湖のアサリ漁は古くからの習わしを受け継ぎ、現在でも人力による採集が行われています。今回同行させていただいた景山寿さんと和船に乗り、漁場へと船を走らせました。

 「ここのアサリ漁は日の出から1時までが漁期で、機械曳きはだめ。1日の水揚げも110キロまでと決まっているから、今でもこの漁が続けられると思う。アサリをやっているところが150軒ぐらいあるからね」
 「朝は苦手だ」と笑う景山さんの出航は午前7時。この日の漁場となる湖西、鷲津に向けて船を走らせます。浜名湖のアサリ漁は船の上から長尺の鋤簾を使って採る漁法と、下駄を履いて直接海底を覗きながら行う二つの漁法があります。
 「船の上からやるのはやっぱり経験がいる。当たれば大きいけど、その分外れるリスクも大きい。比較的実入りの大きい貝が採れるよね。下駄を使った漁は直接覗けるから、やればコンスタントに採れる。その違いかな。どちらが良く採れるかはその日しだいだし、やる人の好みだよね」
 すでに漁を始めている仲間の漁師に声をかけながら船を止める影山さん。水に浸かるこのアサリ漁は、干満の差が影響するために、鉄製の下駄を履き鋤簾を振るいます。下駄の高さは5寸から3尺5寸まで、5寸刻みに用意されています。
「腕と肩を使うんだけど、疲れが溜まるのは不思議と腰なんだよ」
 辺り一面にいた僚船が次々と引き揚げるなか、最後までねばり強く漁を続けます。「根気がいる仕事だよ」と微笑みながら仕分けの作業を手際よく行います。
 水揚げは3袋で約70キロ弱。「粒の小さいのが多かったからね」と話す傍ら、エンジンを始動させ港に向かいます。この日は一番最後の帰港となった影山さん。湖面には4ストロークエンジン特有の低い音がこだましていました。

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バランスを取りながら鋤簾を曳く、根気のいる仕事だ

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特製の水中眼鏡を使って海底を見つめる。影山さん曰く「いるところは"芽"が出ているからすぐ分かる」とのこと

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この漁には欠かせない下駄と鋤簾

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タイヤチューブに網を着けた特製の篭。この篭が一杯になるとおおよそ規定の110kgになる

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漁の締めくくりは貝の選別作業。12~13mmの隙間を設けた篩いにかけ残ったものだけを水揚げする

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影山寿さん。カツオの一本釣り、トラフグの延縄、アサリ漁など一年を通じて休むことなく漁に出る

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