採貝藻
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。
シジミ漁
青森県小川原湖
小川原湖のシジミ漁は二人で行うのが基本。浜田さんが鋤簾でシジミを採り、奥様の弘子さんがシジミを選別する
午前7時の時報と共に鋤簾を乗せたシジミ船が一斉に漁場へと向かいます。30尺弱の艇体に150馬力前後の船外機が搭載された和船が多く、それらが一斉に漁場へ向かう姿は、幽玄な湖の夜明けを告げているかのようでもあります。 今回はヤマトシジミの生産地として知られる青森県の小川原湖を訪ねました。
宍道湖や十三湖と並び、ヤマトシジミの生産地として知られている小川原湖の面積は全国で11番目、青森県内では最大の湖です。この小川原湖にシジミ漁が定着したのが今からおおよそ23年前。当時は湖全体で35人が取り組むシジミ漁でしたが、現在では許可者だけで約460名という基幹漁業へと発達しました。小川原湖漁協の青年部長を務める浜田良博さんにシジミ漁についてお話を聞きました。
「シジミ漁は朝7時のスタートで、入札が始まる14時までに漁協へ持っていかなければいけません。また量もその時々で上限を設けていますので、いかに効率よく、質の良いシジミを採るかが腕の見せ所といえるでしょう。夏場は浅いところ、冬場は深いところというのがこの漁の基本で、次に南や北といった場所の要素や土とか岩とかの底質を把握していないと決められた量は採れても、いい値が付くシジミは採ることは難しいです。ですから、前の日には翌日のアタリをつけておきますが、朝一番で自分の狙った場所にいっても、そこでいいシジミが採れるかどうかはやってみないとわかりません(笑)。運も必要な漁ですよ」
良質なシジミを採り続けるには“勘や運”が必要だといいますが、経験や技術があるからこその言葉ともいえます。その浜田さんが漁のパートナーとして長年使用しているのがヤマハの和船、船外機。この小川原湖では150~200馬力の和船に30尺弱の和船を組み合わせており、浜田さんもF150を使用しています。
「エンジンはOFFにしていることが多いので2ストロークとそれほど変わらないんじゃないか? と思っていましたが、やはり4ストロークは違いますね。スピードも申し分なく、燃費も以前と比べると格段に良くなっているのがわかりました。このあたりでは150馬力から200馬力の船外機を使っている人が多いのですが、みんなが選ぶのもよく分かります」
鋤簾でシジミを採るスタイルは今も昔も変わらないといいますが、この変わらないスタイルこそが、小川原湖のヤマトシジミブランドを築いているといっても過言ではありません。
ヤマトシジミの産地として名を馳せる小川原湖。浜田さんのパートナーであるヤマハの和船・船外機は、小川原湖のシジミ漁で圧倒的な信頼を得ていました。
船上での漁の他、浅い場所では水に入り鋤簾でシジミを採る
鋤簾は3mm幅の刃を使用する以外、決まりはない
一袋10kgのシジミ貝。ここ数年は輸入シジミの影響もあり、高値が着かない状態となっている
小川原湖ブランドのシジミ貝。資源管理による肉質の良さが小川原湖産の特徴
『走りも燃費も文句ナシ』とF150に好印象の浜田さん。今後の漁にも期待が持ているという
小川原湖で最も多く使用されている和船がW-27。安定性と風立ち性を両立しているのがその理由だ