本文へ進みます
サイト内検索

船体や艤装

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

MENU

『風流れを防ぐにはどうすればよいでしょうか?』

大漁ニュース 第16号掲載

 まず、どんな条件が風流れに影響しているかを考えてみましょう。

 第一に、風は船の水面上の部分を押すわけですが、この部分の面積が大きければ大きいほど、風から受ける力が大きくなり、当然風流れしやすくなります。

 船の形状の影響も無視できません。図1を見てください。左舷に風を受けている状態を示していますが、海洗具(かいしんぐ)の段、ブルーワークレールの段、あるいはブリッジやエンジンルームの屋根の出っ張りなどが、風の吹く方向に対し凹状となり、風をはらみやすい形状となっています。
 船全体の重量はどうでしょうか。操業中の船の重量も、やはり影響します。この点は、日常の経験から理解していただけるでしょう。また、ヨットのように水中深くに突き刺さっているものがある場合は、風流れが起きにくいと言えます。

 以上のことをまとめてみると

1)水面上の面積が大きいか、小さいか
2)形状が凹か凸か
3)船の重量(排水量)が大きいか小さいか
4)水中の側面積が大きいか小さいか

 となります。この4項目が主として風流れに大きな影響を与えると考えて良いでしょう。

図1

イメージ

 要因がわかれば、対策は比較的容易になります。FRP船は、木船に比べ重量が軽いため風にながされやすいのが特徴です。そこで船の設計では空中の側面積と水中側面積との比を始め、各部の形状について計算を行い、風流れの対策を施しています。

 その対策としては、

1)空中側面積をできるだけ小さくするように工夫する。
2)海洗具の下に斜めの袋棚を設けて風をはらみにくくする、もしくは海洗具の張り出し量を小さくする方法を考えます。(図2)
3)船の重量を増やすわけにはいきませんが、吃水を深くする工夫はいろいろあります。たとえば、雑用水ポンプを利用してバラストタンク区画を設け、吃水を深くすると同時に船の排水量を増加させる方法があります。
4)地方によっては、船首部に甲板からヨットのように板を吊り下げ、横流れの抵抗を増やすようなことも行っています。(図3
5)水中側面積を大きくするために、船底を「付けキール」とか「キール式」にする。または、引き揚げ式でも、敷の部分にスレ材をつけるなどの方法もあります。ただし、水中側面積を増やしたために推進効率が低下するようなことだけは、避けなければならないので後方まで延長するのは望ましくないと考えています。

図2

イメージ

図3

イメージ

※「設計室だより」は大漁ニュース掲載号の原稿を掲載している為、内容がお客様の船に合致しない場合がございます。漁船、エンジン、艤装品の詳細については必ず最寄りの販売店にてご確認をお願いします。

ページ
先頭へ