船体や艤装
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。
ドライブ船の大きな特徴・・・・旋回性能
大漁ニュース 第68号掲載
その24ではドライブ船のスピード性能における特徴をインボード船など他の推進装置と比較しながらお話ししましたが、今回はドライブ船の大きなメリットのひとつである旋回性能についてご説明しましょう。
ヤマハドライブ船をお使いの漁師さんたちに、その使い勝手について訪ねるとほとんどの方が、「小回りのきく船、大変扱いやすい船」と言われます。言い換えればこれは“旋回性能が良い”ということで、ドライブ船や船外機船の最も特徴のある点です。
ドライブ船や船外機船がインボード船より旋回性能が良くなる理由をご説明しましょう。
インボード船の通常の舵を使っての旋回はプロペラ後流も利用し、水の流れの方向も一部変えます。しかし大部分は舵板の表と裏の水の圧力差によって生じる力を受けることによって、曲がろうとする方向と反対方向に船尾をずらすことで旋回するのです。
これに対し、ドライブ船や船外機船ではプロペラ後流を100%利用することができ、旋回径は小さくなります。とくに低速時における両者の差は大きくなり、ドライブ船や船外機船は一段と機動性に富んだ操業が可能となります。
しかもヤマハドライブ船の大きさは和船と漁船の間の20~30尺クラスの船体。その大きさからくる取り扱いの良さともあいまって“小回りの効く船”ということになるわけです。
小回りが効くという観点からはこのようにドライブ船と船外機船が優れているわけですが、船外機船のほうがより機動性重視した使われ方をしています。とくに女性の方が扱う場合は船外機船が多く用いられています。
一方スターンドライブ船は釣漁、刺網漁、養殖作業など、その用途は船外機船以上の広がりが見られます。また、魚種によりインボード船とスターンドライブ船の両方を所有し、魚種によって使い分け、年間作業を効率よく行っている漁師さんたちも増えつつあります。
※「設計室だより」は大漁ニュース掲載号の原稿を掲載している為、内容がお客様の船に合致しない場合がございます。漁船、エンジン、艤装品の詳細については必ず最寄りの販売店にてご確認をお願いします。