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延縄

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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タイ延縄漁

長崎県対馬

朝鮮海峡を漁場にタイ縄を行う漁優丸と土脇さん親子

対馬海峡を隔てて隣国・韓国まで50km。福岡までは玄界灘を隔てて120kmに位置する国境の島・対馬。 その対馬の水崎漁港に年間を通じて延縄漁を行っている土脇岩雄さんと道治さん親子を訪ねました。 今回は漁業が盛んな対馬でも数少ないといわれるタイ漁(底延縄)漁に同行しました。

 土脇さんが乗る<DY-45G>は今年の2月に進水式を終わらせたばかりの新艇で、軽量でありながら高い強度を保ち、高速性と静止安定性に優れた漁船です。
 「いままでは木船を使っていたので、FRPの船にはスピードで勝つことはできなかったんだけど、この船に乗り換えてからは他の船を抜くことはあっても抜かれることはなくなったね」と道治さん。父、岩雄さんも「漁場まで3時間ぐらいかかっていたのが、今は1時間。まだこのスピードに慣れなくて」と笑います。
 土脇さん親子は、この漁優丸を駆り、年間を通して延縄漁を営みます。ベースとなるのは、タイ縄(底延縄)で、その合間を縫って、赤ムツ、アラ、ブリなどを延縄で獲るといいます。タイ縄を行っているのは浜でも土脇さん親子だけですが、他の魚種については競争もあり、いい漁場を確保するために新艇に乗り換えました。
 取材に伺った3月初旬は、まだ水温も低くタイの喰いもあまりよくありません。「大漁は期待しないでね」という土脇さん。
 夜明けと同時に操業開始。岩雄さんが船の舵を取り、道治さんが次々と縄を投げ込んでいきます。「喰いが良くないから」と話していた道治さんでしたが、型が良く魚体の綺麗なマダイが揚がってきます。漁はひと縄を入れ終えるとすぐに揚げるというもので、いったん漁が始まれば休む暇は無くなります。道治さんは縄を入れては、ローラーで引き揚げ、岩雄さんが舵を取りながら揚がった仕掛けを整理していきます。
 「この船は速いだけじゃなくて、作業のスペースも広くて、作業しているときに大波がきてもどっしりと安定している。漁をしていてもすごく安心できるんですよ。まだ使いだして2ヶ月ですが、うんと楽になりましたよ」(岩雄さん)
 広いデッキが漁を手伝い、ひと縄分の作業が格段に短くなったという土脇さん親子。最後に道治さんが「せっかく足の速い船を手に入れたんだから、これからは漁場を広げて今までは行けなかったところまで足を伸ばしてみたいね。これからはもっと稼がなくちゃいけない」と満面の笑みで抱負を語りました。

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「まだ水温が低いから喰いが悪い」といいながらも良形のマダイが次々と揚がってくる

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船首部分には延縄を保管する縄箱用の艤装が施されていた

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漁優丸のコックピット。玄界灘を漁場にもつ他船と同様、レーダーや魚探など計器類はフル装備となっている

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「ヤマハの船は頑丈だから安心して漁ができる」と口を揃える土脇さん親子

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軽快な走行性能が自慢の漁優丸。<DY-45G-0A>をベースに<DY-43>のブリッジを搭載した特艤仕様

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