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藻類

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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昆布養殖

北海道南茅部

養成綱に繋がれた昆布はこのように吊り上げて水揚げする

北海道南部、太平洋側に面した南茅部は真昆布漁の中心地であり、昆布養殖や北海道の定置網(大謀網)の発祥の地として知られ、古くから道内の沿岸漁業を引率してきた歴史があります。この南茅部の川汲(かっくみ)地区で真昆養殖を営む瓜田勝さんは、澤中一陵さんと共に、真昆布の養殖を行っています。

 「養殖ものは11月に種付けを行い、翌年の7月1日から本格的な水揚げを行います。時期によって昆布の名前も変わって、水揚げシーズン前の3月頃に出荷するのが身の薄いサラダなどに使われる若昆布。そして7月に出荷するのが早出し昆布と元揃え昆布です。早出し昆布はカットして束ねて出荷しますが、元揃え昆布は実入り(肉厚)のいい昆布を選んで、しわ伸ばしや折りたたみといった加工の作業をして8キロ詰めで出荷します。最近ではカット昆布などもありますが、出荷量では値段のいい元揃えが一番多いですね」(瓜田さん)
 製品になれば『白口浜元揃昆布』と呼ばれるブランド品になる南茅部産の真昆布ですが、養殖は日照時間に左右されるだけに、自然に委ねる要素が多いと言います。
 川汲地区における昆布養殖は1ヵ統あたり2つの漁場が割り当てられていますが、大きさとしては120m×50mの区画(1基)に加えて60m×30mの区画(半基)を持つ漁家が最も多く、1シーズンの水揚げ量は乾燥製品で7~8トンに上ります。また元揃え昆布は実入りの多さによって1級から4級まで等級分けが行われますが、金額に換算すると約3割の差が出るので、瓜田さんを始め組合員のみなさんが質の良い昆布を生産することに力を注いでいます。
 「昆布漁の専門だったら朝の3時半からだいたい1時間で水揚げをして、作業小屋で洗浄を行い、乾燥の準備をします。乾燥機にかけるのは11時間ぐらいで、早出しの場合はそのまま裁断して出荷しますが、元揃えの場合は蔵に積んでおいて、時間が空いた時にしわを伸ばしながら巻く作業をします」
 1日に700から800本の加工を行っても、最後の製品を出荷し終わるのは、翌年の昆布の種付けが始まる時期になると言います。
 「なんといっても南茅部の真昆布は献上昆布だからね」と生産者としての誇りを見せる瓜田さんと澤中さん。日本一の昆布の水揚げを誇る南茅部では、養殖昆布の水揚げに加えて天然昆布漁が行われる盛夏に向けての準備が始まっていました。

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実入りの厚い昆布を「元揃え昆布」、7月25日までに出荷する昆布を「早出し昆布」という

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乾燥機にかける前の昆布。このように干して水気を切ってから乾燥機に入れる

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出荷される昆布。がごめ昆布は抗ガン作用、血圧降下作用の点から注目されている

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牧丸で昆布漁を行う澤中さん(左)と船主の瓜田さん(右)

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瓜田さんと澤中さんの昆布漁を支えるF90B。粘りがあって使いやすいと好評だ

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