正しいポンピングは脚でする
実際のカジキに役立つワンポイントアドバイスです。
ファイトの基本は“巻ける時にはドンドン巻け”ですが、カジキのパワーが優れラインがどんどん出ていってしまう状態では、いくらハンドルを回しても体力を消耗してしまうだけなので、じっくり我慢しましょう。それでもラインの出が止まり、なおかつカジキの引く力が強くてリールのハンドルを回す事もできないような状況---パワーが拮抗している状態----になった場合に“ポンピング”というテクニックを使います。
この“ポンピング”はアングラーがカジキとの力比べというイメージシーンによく利用されます。多くの場合、上体を反らして腕力だけで竿を持ち上げてカジキと対面していますが、こうしたやり方では5分も経たないうちに腕と背中がパンパンになり、その後は精も根も尽き果てることになるでしょう。「腕がパンパンになった」「死ぬほど疲れた」とはよく聞く言葉ですが、経験豊富なアングラーほどファイトからランディングまであっという間に行うことが多いのは、このポンピングの正しいやり方をマスターしているからと言っても過言ではありません。
ポンピングの原理は、竿先を持ち上げて、その粘り(反発)を利用して相手を引き寄せ、再びロッドを倒した時に生じるラインの余裕を巻き取ること。これを繰り返す事でカジキを引き寄せます。そして最も効率よくポンピングを行うには、腕ではなく脚をスムーズに動かすことが大切です。
「ポンピングは脚でする」。ではどのように動かせば、疲れないポンピングが行えるのでしょうか?
ポンピングは脚でする
1)ロッドに一杯のテンションが掛かった状態で脚の力を抜くと、2)竿先がカジキに引き込まれ竿全体が水平方向へ下がります。リールとバケットシートは結ばれているので、アングラーの体も同じように前方へ引っ張られます。この時に膝を曲げるようにしてバケットハーネスを滑らせて、体全体をチェアの前部へ移動します。ラインに緩みが出るのでこれをスムーズに巻き取りましょう。
3)次に脚を踏ん張り、脚力を使って膝を伸ばすとアングラーの体はバケットハーネスごと元の位置(後方)に戻り、同時にリールと竿も後方へ移動します。その結果、ジンバルに差した竿尻を中心として竿が回り竿先が持ち上がります。
この動作を繰り返すことで、腕を使わないでもポンピングを楽に続けることができます。極端な言い方では、「脚を屈伸させてバケットハーネスを前後に移動させるだけでポンピングはできるので、上体を前後に傾ける必要はない。故に上体は疲れる事がない。また左手はリールに置いてサミング(ラインの巻き取り位置をコントロール)するだけなので、こちらも疲れる事がない」ということになります。
では、この正しいポンピングを行う時の注意点を挙げてみましょう。
●リフトアップはゆっくりじっくり行いましょう。力まかせに行いますと針掛かりしている場所が広がり、フックの外れる可能性が高くなるし、カジキを刺激して走らせてしまう場合もあります。
●スムーズにラインを巻き取るというよりも、なめらかにスピードに合わせて竿を下げる意識を持ちましょう。無理に巻き取るわけではありませんから、ハンドルに力を入れる必要もありません。
●カジキのパワーが強いときは、無理して竿を強く煽る必要はありません。10センチでも20センチでも巻き取れればよいというつもりで、少しづつリズミカルにポンピングを続けてみましょう。
●ポンピングの時のハンドル回転数は最大でも2回転ぐらい。ハンドルを止める場所をいつも一定にしておくと、次に回し始める時に力が入れやすくなります。
●ナイロンの硬いベルトを底に縫いつけてあるバケットハーネスは滑りがよいのでお奨めです。中性洗剤などでチェアの座面をぬらしてハーネスの滑りを良くする方法もあります。
ポンピングは脚で行うとイメージトレーニングしておけば、初めてのファイトでも疲れ果てるようなことはないと思います。ぜひ覚えておきましょう。