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乗合船・渡船

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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乗合船

千葉県大原町

過去最高の売り上げを記録した新艇、松栄丸<FG-180>

黒潮と親潮が出会う外房沖は、多様な魚種に恵まれた屈指の漁場として知られています。そんな好漁場はプロの漁師だけでなく、アマチュア釣師の太公望たちをも魅了して止みません。 その港となる大原港には60軒もの船宿が連なり、100艇あまりの遊漁船が並びます。

 「きれいな鉄筋建てのホテルとちっぽけな民宿が同じ値段だったら、どっちに泊まりますか?」
 千葉県は外房、大原で乗り合い釣り船を営んでいる中井一也さん(38歳)は、人当たりのいい笑顔を浮かべながら語ってくれました。
 この地で遊漁船を始めて三代目となる松栄丸では、昨年の3月10日、新艇の<FG-180>を進水させました。それは、お客様へのサービス第一との考えから、購入に踏み切ったのだといいます。
「船の大きさにはこだわらないよ、というお客様もいますけど、自分が客だったらと考えたら、そりゃホテルに泊まりたいですよ、同じ値段なら」
 ひとつの港に60件もの船宿が軒を連ねる大原では、過当な値引き合戦を抑えるため乗船料を一律に規定しています(今回取材させていただいたヒラメ釣りでは餌代込みで11000円)。
 「まだ1年ですけど、売り上げ的には過去最高の数字を弾き出してますね。まあ、元手が掛かってるから、そうでなくちゃ困っちゃうんだけど(笑)」
 今回取材させていただいたヒラメ釣りには、小雪が舞うほどの寒さにもかかわらず、15名の釣り人が集まりました。ほとんどの釣り人は昨日の釣果を新聞紙上で知って駆けつけてきた太公望たちです。
 元々、大原と言えばマダイ釣りで有名な場所でしたが、現在では多様な魚が揚がるところとして人気を高めています。
 最近では、バス釣りの影響で、ルアー・フィッシング指向のお客さんも増えてきているといいます。
 「ウチもたまに(ルアー釣りを)やりますよ。大原にもそれ専門でやってるところもいくつかあるし。ただ、本格的に取り組むためには、ある程度専門化してやらなきゃいけないし、そのためには今やってる釣りの何かを犠牲にしなくちゃいけないわけだからね。まあ(ルアー釣りが)増えたといっても、ヒラメ釣りみたいに大原の船全部がそれでやっていけるほどじゃないわけだから……難しいところだね」
 新しい動きをしっかりと見据えつつもこれまでの伝統を大切に守っていく、そんな姿勢が三代にわたる遊漁船業を守ってきたのかもしれません。

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余裕があれば積極的にたもを持ち、お客さまとのコミュニケーションを図る一也さん

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小雪が舞ってもヒラメ釣りは好調。お客様の顔も笑顔が絶えない

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松栄丸の礎を築いた父、中井光夫さんと船頭を努める息子、一也さん

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一也さんからはお客様の要望を取り入れながら伝統を大切に守っていく姿勢が伝わってきた

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余裕のある船体は釣り人からも好評だ

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