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船体や艤装

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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『和船がなぜうさぎ跳びをするのか?』

大漁ニュース 第17号掲載

 先日、ある漁師さんから次のような質問を受けました。

 「今まで和船に15馬力の船外機を使っていたけど、奮発して25馬力に載せ換えた。さぞスピードが出ると思って走ったが、馬力が大きくなりすぎたのか、頭を上下にふってまるで兎か馬が飛び跳ねているようで仕方ありません。なんとかならないものでしょうか」

 このような走行状態はポーポイジングと呼ばれ、軽い、もしくは全長の短い船体に、大馬力の船外機を載せて走行するとよく起る現象です。では何故このうさぎ跳びが起こるのか説明しましょう。

 この原因は15から25馬力になったため、スピードが増し、今まで船体を支えていた浸水面積(水面と接している船底部の面積)の縦配分が変わったことと、船外機の大型化により、船の重心が船尾に移動したために生じる航行時のトリム変化がこうした現象を起こすと考えられています。

 これを図で示すと、

<図1>
停船状態では上向き合成力(=船底水圧=C)は重心(=G)より前方にあり、船尾に近づくにつれて船底水圧は小さくなります。

図1

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<図2>
船が走り出すと船首船底部の水圧により、船首を持ち上げる運動が生じます。そして更にスピードが増しトリム角が大きくなって船が浮き上がると、船底浸水部分が船尾の一部となるため、水圧による上向き合成力(=C)は重心(=G)のほうへ移動し、やがて重心と重なります。

図2

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<図3>
この状態が続き、図3のような状態にまで進むと次は重力の働きで、船首を下げる運動が始まり、船首を水面に叩きつけ、図1の状態に戻ります。

この繰り返しがうさぎ跳び(ポーポイジング)となるわけです。

図3

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 以上のことから、ポーポイジングには、トリム角、浸水面積及び形状が大きく関係していることがおわかりいただけたと思います。又、このトリム角、浸水面積及び形状に影響するのが重心位置と船底形状なのです。従って正常走行させるには、

1)速度を落とす。
速度を落とすことで浸水面積が多くなり、上向き合成力が船首部に移動する
2)船外機の取り付け角度を調整する。
走行時のトリム角度を小さくすることで浸水部分を広げる
3)重量物を船首部に移動する。
重量物が船首を下げる働きをし、トリム角度を補正し、浸水部分を広げる
4)船尾に船底版などを追加する。
船底版により浸水部分を広げると共に、フックをつけることによりトリム角度を補正する

 以上のような方法で解決されるものと考えます。
 なお、ご質問の漁師さんの場合もそうですが、『船外機は適正なパワーで、ゆとりある走航』をお奨めします。


※「設計室だより」は大漁ニュース掲載号の原稿を掲載している為、内容がお客様の船に合致しない場合がございます。漁船、エンジン、艤装品の詳細については必ず最寄りの販売店にてご確認をお願いします。

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