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船体や艤装

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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鮮度を決める、氷室の断熱材について

大漁ニュース 第24号掲載

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 氷室は魚の鮮度を維持するために特に九州や沖縄といった暖かい地方の船には必ず設けられています。(現在では活魚以外で出荷をする船の多くに艤装されています)基本的には船に艤装されている氷室は氷の長期保存が可能で、トロ箱やプラスチックの桶などが効率良く収まる寸法であることが求められます。また、この氷室は南と北の船では気温差を反映させて作られることから構造も若干異なります。

 氷が溶けにくい状態を作るには魔法瓶やクーラーボックスのように外部の熱で氷室の温度が上がらないようにしてやればよいわけですが、FRPの熱伝導率は比較的高く、氷をそのまま保存するにはよほど条件の良いところでないと難しくなります。

 そこで現在艤装されている氷室には、船体や甲板隔壁からの熱を遮断するために断熱材を使用しています。もちろん艤装が前提となっていますので「軽くて破損しにくいもの」が条件となり、まさしくこの二つを満たしているのが、プラスチックの発泡材です。

 断熱という点では隔壁を中空の二重構造にする方法もあります。しかし、この場合は中空部分で空気の対流による熱が伝わることは避けられません。一方、プラスチックの発泡材の場合は、中空の空間を無数の小部屋に仕切って空気をとじ込めた、と考えればよいでしょう。もともと空気そのものは熱を伝える力は弱く、むしろ前述した対流で熱が伝わってしまうのです。

 こうした理由からプラスチックの発泡材は熱が伝わりにくいことがお解りいただけたかと思います。ちなみにこの厚さについては、これまでのテストから50mm以上は必要と考えています。仮に空気の小部屋を0.5mmの厚さで計算すれば壁の端から端までには100室以上の小部屋を通ることとなり、結局は熱が伝わりにくくなるからです。


※「設計室だより」は大漁ニュース掲載号の原稿を掲載している為、内容がお客様の船に合致しない場合がございます。漁船、エンジン、艤装品の詳細については必ず最寄りの販売店にてご確認をお願いします。

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